椋 muku

Open App

誰かとの将来を考える時。別に恋愛だけとは限らないけど、それは相手を知ることで決まる。私はそう思っている。だから、その、なんて言うか、コイツとは産まれる前から家族ぐるみで仲良くてコイツのことならなんでも知ってるから…うーん、わかんねぇや。

「なぁ。今更なんだけど、俺らって進路同じだよな?」

コイツの唐突な質問に私は正直焦った。だって、私はコイツの進路を知っていて変えたからだ。両親は同じ学校にすれば良かったのに…だのなんだの言っていたが、私にも一応やりたい事があったのだ。

「あー…んーじゃあ、せーので言って確認する?」

「お、良いねー……せーのっ」

「*§♭#*$"☆!」

「え……なんで……なんで違うの?」

初めて見る表情。焦りや不安を含んだ声。コイツが傷付いたのは言うまでもなくわかった。

「お、俺、今からでも進路変える!お前と一緒に…」

「いや。やめとけ。お前にも将来就きたい職とかあんだろ?全部俺と一緒にしてたら1人で生きていけなくなるぞ」

はっと我に返ったように少しの間沈黙が流れた。確かに進路が一緒になっても困ることはない。でも、私とコイツが一緒にいることで、私はコイツの可能性を狭めているんじゃないかって思った。だから、私の将来の夢により近づける進路へ変えた、たった一人で。

「いいよ……」

「え?」

「1人で生きていけなくてもいいって言ってんだろ!俺は……お前が一緒じゃなきゃ生きていけないんだよ…」

想定内だった。こうなる事もわかっていた。私はコイツとずっと一緒にいたのだから。ここまで執着してしまうと多分本当に私達は末期だ。正直なところ、私もコイツがいないときっと生きていけない。恋人ができたなんで日には無理心中さえもしてしまうかもしれない。それでも、それを伝えようとすると言葉が喉に引っかかった。

「わかった。じゃあ、受験合格したら家を出て、一緒に住もうか」

「……へ?」

「嫌?」

「全然!嫌じゃない!約束だ。絶対守れよな!」

「はいはい」

そう言って私たちは指切りをした。この約束が私たちの関係を変える未来への鍵となる事を祈って。

題材「未来への鍵」

1/11/2025, 9:38:24 AM