ミントチョコ

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12/2/2024, 2:52:23 PM

題 光と闇の狭間で

「私って暗いなぁ」

そんなこと考えちゃう私は天使。天界でいつもみんなの陽キャモードについてけない天使。

「ねーねー、今日は神様誘って皆でパーッと雲固めて雲ドッジしようよ~」

「いいね~!その後は純度100パーセントの雪解け水でカンパイね~!あ、ナーシャも来るでしょ?」

「あ、私仕事がまだ残ってるから・・・」

はぁぁぁ

先程の会話を思い出してため息を再び吐く。

なんでみんなあんなに明るいんだろう。
私は何で天使なのに、こんななんだろう。

「あ、今日もいた」

「あ、どうも」

天界と地上界の間の雲で出来た休憩所でいた私
に声をかけてきたのは悪魔。

悪魔だけど、別に仕事が違うだけで、そんなに敵対してる訳じゃない。
普段干渉しないだけだ。

でも、この悪魔とはよくこの休憩所で一緒になる。

・・・なぜなら

「はぁぁ、なんでみんなあんなに元気なんだろ」

「あ、やっぱり?」

悪魔のボキに言われて、私はいつもの展開だと頷く。

「今日は地獄鬼ごっこするらしい、捕まった人は地獄に放り込まれるっていう、みんな楽しそうなんだけど。その後血のカクテルパーティーだって」

「分かる~!なんだろね、毎日のお祭り騒ぎ、本当に疲れちゃう」

「うんうん、そうだよな、悪魔だって、仕事終わったら家でゆっくり眠りたいよ!」

「激しく同意っ、でもさ、家にいるとわざわざ誘いに来るじゃん?」

「そうなんだよ、だからここにいる訳だ」

「同じく」

私たちは顔を見合せて深いため息をついた。

天界と地上界の間は、仕事時間は良く天使と悪魔がそれぞれ干渉せずにグループ作って雑談してるけど、今は仕事終わりだから、まず誰も来ない。

だから、私とボキはよく仕事終わり、打ち上げ?から逃れるべくここで2人になる。

「眠い~!」

いつもの様に私が言うと、ボキも頷く。

「眠いよな、寝る?」

「うん」

手招きするボキの傍に行って一緒にボキの腕枕で眠る。

枕がない安定しない雲の上で寝るのが困難で、困ってたらボキが提案してくれた。

「ありがとうね、いつも」

私が傍にあるボキの顔を見てお礼を言うと、ボキは微笑む。

「こっちこそ、近くに眠ってる人がいる方がよく眠れるから」

私たち、傍から見るとヤバいよね?
天使と悪魔が一緒に腕枕して寝ちゃってるなんて・・・。

でも、こうして眠れる一時はちょっとした癒しの時間なの。
ただ、傍に賑やさもなく、静かな時間。

だからね、光の存在の天使と闇の存在の悪魔が一緒に寝てるなんて変かもしれないけど・・・。

この狭間でだけは・・・。

天界と地上界の狭間でだけは、このかけがえのない時間を持つことを許して欲しいと思っているんだ。

12/2/2024, 4:02:03 AM

題 距離


もうちょっと離れて・・・

私が横の彼氏に言うと、彼氏は「ん?」ととぼけた顔でこっちを見る。

「どうして?」

「どうしてって近いから・・・」

「え?近くないよ」

「・・・近いから言ってるんだけど」

近くないと言い張る彼氏は、私の部屋のソファーのすぐ横に座ってて、私に抱きついてる。

「これが近くないなら何が近いのよ?」

「だって、くっつきたいんだもん、普通じゃない?」

犬系だ。

完全な犬系というか犬が目の前にいる。

「ほら、よーく見てください、ここにスマホがあります」

「ふむふむ」

「私は今このスマホでゲームをしています」

と言いながら、私はゲーム画面を彼氏に見せる。

「してるね〜あ、レベル15までいったの?えらいえらい」

なぜか頭をなでなでされる。

「そーなの!頑張って昨日やってたらハマっっちゃって・・・ってそーじゃなくてっ」

あやういあやうい。
危うく籠絡される所だった。

「私がゲームしててもさ、君がそーやって抱きついてたら動けないわけ。その結果、このゲームでもう3回もハート使っちゃってるの」

「そっか〜それは悲しかったね」

「誰のせいだと思ってるの?」

と言いながらまだニコニコして私に抱きついている彼氏を軽く睨む。

「あ、はいはい、言いたいことあるっ」

「はい、どうぞ」

彼氏が、急に手を挙げるから仕方なく指名する。

「デートの時にスマホ見てるのってどうかと思います〜!せっかく久々に会えるんだしさ〜」

「・・・うっ」

痛いところ突かれた。確かにね、それは彼氏の方が正しいかもしれない。

でも、昨日インストールしたこのネジ外してくゲーム楽しすぎて、やめられない止められない状態だ。

・・・それに、何もしてないとベタベタされまくってしまう。
それはそれで照れるしなぁ〜。

「もっと一緒にいようよ〜」

彼氏が、さらにぎゅうううっと私を抱きしめる。

「ま、まって窒息するから・・・」

私が頑張って振りほどこうとすると、彼氏は、拘束を弱めて私を見る。

「・・・僕のこと、嫌い?」

うるうるした目。

・・・・この小悪魔め。

「・・・いやっ、嫌い・・・とかじゃないけど・・・」

しどろもどろに返すと、わーいっとベッドに押し倒される。

やばい!!!このままじゃ抜け出せないっ。

「あっ、ねぇねぇ、もうすぐクリスマスじゃない!私、プレゼント欲しいなぁ、カナタくんにも買ってあげたいっ、一緒に選びに行かない?」

「えっ?!そーだねっクリスマスだ」

やった、絶対クリスマスとかイベントには飛びつくと思った。さすが犬系彼氏!

「じゃあ、行こうよ、ゆりちゃん何欲しい?イルミネーションとかも綺麗かな?」

ワクワクした目で私に問いかける彼氏。

うん、君はとってもカワイイよ・・・。

「イルミネーション、こないだ駅前ですっごく綺麗だった。プレゼントは欲しかったピアスがあるから、それでもいい?」

「もちろんっ、可愛い彼女のためならいくらでも買うよっ」

「いくらでもはだめでしょ・・・」

君のほうが可愛いと思いながら私は答える。

「行こうか?」

甘々犬系彼氏の問いかけに頷くと、私たちはどちらからともなく手を繋いで歩き出した。

11/29/2024, 4:12:20 PM

題 冬のはじまり

冬のはじまり

「あ、ねえねえ見て」

私は隣にいる彼氏の袖をつつく。
今日はひときわ寒い日。

もうすぐ12月になろうかというこの時期、毎年、寒すぎて、こんなに寒かったっけ?!という話題を友人とする。

厚手のコートを着て、街で歩いてるけど、暖がほしくて、横にいる彼氏の暖かい手を思わず取ってしまうほど。

「冷たっ雪女かよ?」

とか言う彼氏だけど、手は繋いでくれたまま。

いーんだもんっ、あったかいほうが暖める義務があるんだからね?!

なんて思いつつ、空を見上げると、何かチラチラしたものが・・・。

ホコリ・・・いや?!粉雪みたい・・・。


「雪っ雪っ」

「え?うん、雪女って言ったけど?」

私の言葉に怪訝そうな顔で言う彼氏に私は激しくブンブンと首を振ると、空を指差して言う。

「見て、ほらっ」

「え・・・?」

彼氏が上を見上げる。

「ね?ね?細かいチリみたいな雪が降ってるでしょ?」

「ホコリなんじゃないの?」

確かに、あまりに細かすぎてその指摘に明確な反論ができない私がいる。

いや・・・でも。

手を伸ばしてみると、ヒラヒラというほどもないくらい細かく手の上に着地した粉雪らしきものは、かすかな冷たさを手のひらに残して消滅した。

「冷たいもん、絶対雪だよ、うわぁ、こんなに早く雪が降るなんてっ、今年はホワイトクリスマスかもねっ」

なんだか雪が降ったことに嬉しすぎてニヤニヤしてしまう。

「寒っ、楽しそうだな・・・クリスマスまで風邪ひくなよ」

ロマンの欠片もないコメントを残す彼氏に、ちょっと不満気な顔をしてみせるけど、彼氏は私の手を更にギュッと強く包むと、自分のポケットに手を繋いだまま入れる。

「クリスマス、おまえと過ごしたいからな」

「あ・・・うん・・・」

急な直球な言葉に思考が一時停止して、照れて曖昧な言葉しか出てこなくなる私。

そんな私を見て少し笑うと、彼氏は、

「雪見れて良かったな、じゃあ、暖かいものでも飲むか?」

と言う。

私はそんな彼氏の言葉に、幸せを感じながら頷く。

「うん!」

そして、クリスマスまでしっかり暖かくして、大好きな彼と元気にデートしたいなって心から思ったんだ。

11/28/2024, 10:01:25 AM

題 おわらせないで

「やだ、別れたくない」

「いや、もう遅いから帰れよ」

「やだっ、絶対離れないっ」

わたしはぎゅうううっと彼氏に抱きつく。

ちらっと上を見上げると困惑しきった顔の彼氏。

「門限あるんだろ?送ってってやるからさ」

「だって別れたくないんだもん」

ずっと一緒にいたいから。
会えば離れたくない。

帰る時間にこんなやりとりが続く私達。
困らせちゃってるよね?分かってる。

でもさ、感情ってどうにもならないじゃん。

・・・好きなんだもん。
離れたくないんだもん。

その気持ち、私にはどうしようも出来ないんだもん。 

しがみついていると、彼氏がはぁとため息をつく。

不安になって上を見上げると、彼は優しいちょっと呆れたような顔で、私の頭をポンポンする。

「分かったよ、あと5分だけ座って話そうか?」

「うん!」

いいの、1秒でも別れの時が伸びるなら、駄々こねたかいもあったよ。

困らせてる自覚があるから私も彼氏に罪悪感も沸くんだけど、嬉しさの方が勝ってしまう現金さ。

ちょっと自分が嫌になる。

「・・・ごめんね、いつも別れるのごねて」

そう言うと彼氏はニコッと笑って私を見る。

「そこが可愛いとこでもあるからな」

「ホント?」

「・・・ん〜ホントだけど、5分経ったら帰ろうな?ずっとごねられると俺負けそう・・・」

彼氏が複雑な顔して私を見るのが愛しくてたまらない。

「分かった、ほどほどにごねるようにするね〜」

「方向性間違ってないか?」

そんな風につぶやく彼氏の言葉も耳に入らず、私はこうして一緒に今いられること、そして、ごねるのも可愛いと言ってくれた彼氏に心は舞い上がっていた。

私と彼氏の別れの儀式はこの先も続きそうだ。

11/28/2024, 9:47:06 AM

題 愛情

「好きだよ」

そんな言葉は呪いだ。

だって・・・だって、何とも思ってなかったのに、そう言われた次の日から意識してしまっている私。

しかも、告白した当の本人は話しかけてこないくせに、私のことチラチラ見てる。

今日だけで教室で何度も視線がかみ合ってしまっている。

そんなこと言わないで欲しかった。

だって、友達だったから。
凄く大好きな友達だったから。

間違いだって言ってくれないかな。
そんな考えすら湧いてきてしまう。

ダメだよね。
相手が真剣に言ってくれたなら考えなきゃ。

そう思うのに・・・そう思うのに、考えられない。

恋愛って何?今いくら考えても答えなんて浮かばないよ。

相手のこと、大事だし、友達としてとても大切にしていきたいけど、それ以上・・・それ以上かぁ。

はぁ、とため息を一つ。

無理だ、私には今気持ちに応えることは出来ない。

でもそしたら友達じゃなくなっちゃうかな?
チラッと相手を見ると、また視線がかち合った。

・・・気まずい。

気まずさ絶好調・・・。

どうしたらいいのっ?!

私は授業中にも関わらず頭を抱えてしまう。

友達として、ずっと仲良くしていたいのに、無理かなぁ?
そう言ってみる?そしたら受け入れてくれるかな?

友達からでいいからって言われちゃうかな?

そしたら・・・また考えなきゃいけないよね。

頭が混乱して仕方ない。

とにかく今分かっていることは一つ。

好きだよって言う言葉は呪いだ。

私の気持ちは今すごーく縛られて囚われている。

この終わりのないように見える答えのタイムリミットはもうすぐ近づいている気がする。

終業のホームルームまでには答えを出さないとなぁ。

私はもう一度ため息をつくと、どうしたらいいのか再び出口のない回答を絞り出すべく考え始めた。

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