ミントチョコ

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題 おわらせないで

「やだ、別れたくない」

「いや、もう遅いから帰れよ」

「やだっ、絶対離れないっ」

わたしはぎゅうううっと彼氏に抱きつく。

ちらっと上を見上げると困惑しきった顔の彼氏。

「門限あるんだろ?送ってってやるからさ」

「だって別れたくないんだもん」

ずっと一緒にいたいから。
会えば離れたくない。

帰る時間にこんなやりとりが続く私達。
困らせちゃってるよね?分かってる。

でもさ、感情ってどうにもならないじゃん。

・・・好きなんだもん。
離れたくないんだもん。

その気持ち、私にはどうしようも出来ないんだもん。 

しがみついていると、彼氏がはぁとため息をつく。

不安になって上を見上げると、彼は優しいちょっと呆れたような顔で、私の頭をポンポンする。

「分かったよ、あと5分だけ座って話そうか?」

「うん!」

いいの、1秒でも別れの時が伸びるなら、駄々こねたかいもあったよ。

困らせてる自覚があるから私も彼氏に罪悪感も沸くんだけど、嬉しさの方が勝ってしまう現金さ。

ちょっと自分が嫌になる。

「・・・ごめんね、いつも別れるのごねて」

そう言うと彼氏はニコッと笑って私を見る。

「そこが可愛いとこでもあるからな」

「ホント?」

「・・・ん〜ホントだけど、5分経ったら帰ろうな?ずっとごねられると俺負けそう・・・」

彼氏が複雑な顔して私を見るのが愛しくてたまらない。

「分かった、ほどほどにごねるようにするね〜」

「方向性間違ってないか?」

そんな風につぶやく彼氏の言葉も耳に入らず、私はこうして一緒に今いられること、そして、ごねるのも可愛いと言ってくれた彼氏に心は舞い上がっていた。

私と彼氏の別れの儀式はこの先も続きそうだ。

11/28/2024, 10:01:25 AM