題 光と闇の狭間で
「私って暗いなぁ」
そんなこと考えちゃう私は天使。天界でいつもみんなの陽キャモードについてけない天使。
「ねーねー、今日は神様誘って皆でパーッと雲固めて雲ドッジしようよ~」
「いいね~!その後は純度100パーセントの雪解け水でカンパイね~!あ、ナーシャも来るでしょ?」
「あ、私仕事がまだ残ってるから・・・」
はぁぁぁ
先程の会話を思い出してため息を再び吐く。
なんでみんなあんなに明るいんだろう。
私は何で天使なのに、こんななんだろう。
「あ、今日もいた」
「あ、どうも」
天界と地上界の間の雲で出来た休憩所でいた私
に声をかけてきたのは悪魔。
悪魔だけど、別に仕事が違うだけで、そんなに敵対してる訳じゃない。
普段干渉しないだけだ。
でも、この悪魔とはよくこの休憩所で一緒になる。
・・・なぜなら
「はぁぁ、なんでみんなあんなに元気なんだろ」
「あ、やっぱり?」
悪魔のボキに言われて、私はいつもの展開だと頷く。
「今日は地獄鬼ごっこするらしい、捕まった人は地獄に放り込まれるっていう、みんな楽しそうなんだけど。その後血のカクテルパーティーだって」
「分かる~!なんだろね、毎日のお祭り騒ぎ、本当に疲れちゃう」
「うんうん、そうだよな、悪魔だって、仕事終わったら家でゆっくり眠りたいよ!」
「激しく同意っ、でもさ、家にいるとわざわざ誘いに来るじゃん?」
「そうなんだよ、だからここにいる訳だ」
「同じく」
私たちは顔を見合せて深いため息をついた。
天界と地上界の間は、仕事時間は良く天使と悪魔がそれぞれ干渉せずにグループ作って雑談してるけど、今は仕事終わりだから、まず誰も来ない。
だから、私とボキはよく仕事終わり、打ち上げ?から逃れるべくここで2人になる。
「眠い~!」
いつもの様に私が言うと、ボキも頷く。
「眠いよな、寝る?」
「うん」
手招きするボキの傍に行って一緒にボキの腕枕で眠る。
枕がない安定しない雲の上で寝るのが困難で、困ってたらボキが提案してくれた。
「ありがとうね、いつも」
私が傍にあるボキの顔を見てお礼を言うと、ボキは微笑む。
「こっちこそ、近くに眠ってる人がいる方がよく眠れるから」
私たち、傍から見るとヤバいよね?
天使と悪魔が一緒に腕枕して寝ちゃってるなんて・・・。
でも、こうして眠れる一時はちょっとした癒しの時間なの。
ただ、傍に賑やさもなく、静かな時間。
だからね、光の存在の天使と闇の存在の悪魔が一緒に寝てるなんて変かもしれないけど・・・。
この狭間でだけは・・・。
天界と地上界の狭間でだけは、このかけがえのない時間を持つことを許して欲しいと思っているんだ。
12/2/2024, 2:52:23 PM