「ずっと一緒にいたいね」
約束していたのに。
去年はこの木の下で一緒に帰り難くてずっと話してた。
私は、隣に誰もいないガランとした空間を眺めた。
「一緒にいると幸せだね」
って、瞳を見合わせて笑ったことも・・・
「やっぱ帰したくない」
って、帰ろうとする私を引き止めて抱きしめてくれたことも・・・
全部全部、あなたのあの一言を聞いた瞬間に終わってしまった。
「他に好きな人が出来たから別れて欲しい」
一瞬で地の底に叩きつけられたような衝撃。
その後のことはほとんど途切れ途切れの記憶。
泣いて泣いて泣きつかれて
頭痛がしてそれから・・・。
ねえ、あの時言ってくれた事は・・・嘘だったの?
その質問だけが頭を繰り返し浮かんでいた。
あなたが次の日には冗談だって言ってくれること、期待してたのに・・・もちろんそんなことはなく。
私は今、この木の下に立っている。
好きだったよ。
大好きだったよ、たとえ、私の一方通行だったとしても。
ウソつき。でも好きだった。
今はまだ忘れられないあなたとの記憶。
いつか風花できるのかな?
私はその時が来ることを願いながらただ、ここに立ちつくすことしか出来なかった・・・。
ある冬の日。
私は散歩大好きな愛犬のミルクと散歩に出た。
休日の早朝
お年寄りの夫婦がランニングをしたり、同じ犬を散歩に連れた人がチラホラと見える。
早朝の朝の光は、日光に反射してキラキラ光って見える。
「気持ちいいねー!」
可愛い私の犬に話しかけると、ワンッと元気がいい返事が帰ってきた。
フワフワの茶色い毛の生えた頭を、ナデナデすると、ワン、と嬉しそうにしっぽをふるミルク。
「よーし、今日は天気もいいし、気分いいからちょっと遠回りしようか?」
私が言っている言葉を分かってかどうか、ミルクは、もう一度ワンッ、と元気良く跳ねる。
私とミルクは、勢いよく走り出す。
朝の誰もいない細い道に入り走り出すと、私達二人だけの世界のような気がする。
「このまま、この道を出たらどこか異世界へ出たらどうする?」
私がそう言うと、
「ワーン?」
ミルクは不思議そうな顔で一瞬立ち止まった。
「冗談だよ、さ、行こう!」
私達は細い道を出た。すると・・・。
辺り一面、綺麗な花が一面敷き詰められていた。
「わああ、って、え?本当に、異世界?」
不思議に思っていると、
「新年のセールです!お花、いかがですか?」
と、横からお姉さんに話しかけられた。
「あ・・・買います」
財布がちょうどポケットにあったのと、急に話しかけられた動揺から、ついつい購入してしまう。
「ビックリしたね、でもいい匂いでしょ」
ミルクの鼻に花を近づけると、ミルクはクンクンと匂いをかぎ、ワンッと私を見た。
「よーし、後で飾ろうね。じゃあ、新たな冒険に出発!」
そう行って、私とミルクは再び朝の新鮮な空気の中を走り出したのだった。
「幸せって何だろーね」
学校で私が友達と雑談中ポツリと呟くと、友達は不可解なモノでも見るような顔をして私を見る。
「どうしたの?いきなり」
「うーん、何か、この国に産まれて、住むとこも勉強の環境も整ってて、食べるものもあって、あまり不快を感じることがないのね、私。だからそれが幸せなのかなーって」
「そうだよね、こうしてただ、当たり前にあって気付けないものって意外とあるのかもね・・・」
友達が、感心したように私に言った。
「うん、恵まれてるんだよ。でも、こう幸せだなーって実感もなくて。幸せなのかな、幸せなんだよね、きっとって自分を、言い聞かせてる気がする」
私の言葉に友達が、同意する。
「わかる気がする。まあ、私は、何か落ち込むことがあってこその幸せかな、とは思うよ。ずっと幸せなら、幸せしか知らないことになって、不幸が分からないから、幸せの有難みも分からないって何かで読んだな〜」
友達の言葉に妙に納得する私。
「そっかー、じゃあ、私がこうして、何か落ち込んだり、悩んだりすることにも意味はあったんだね」
「そーだよ、沢山考えるといいよ」
友達にくしゃくしゃ、と髪を撫でられる。
「ちょっとー髪がぁ!」
私の抗議の手を素早くよける友達。
二人でこうしている時間も案外幸せなのかもしれない。
新年の地震、とても驚きましたし、心も痛みました。
皆さんの無事を心からお祈りしています。
寒い日が続いているので、体調にはどうぞ気をつけて下さい。
「大晦日ねぇ、紅白見ましょうか!」
お母さんの弾んだ声。
テレビのリモコンをオンにするお父さん。
机の上には豪華なオードブルと年越し蕎麦と、ケーキ、乾杯用のジュースも揃ってる。
「はーい」
と言いながら、本当は好きな配信者のYouTube配信見たいのにな、と内心思う私。
だけど、たまにの大晦日。今日は家族と過ごすとするか。
小学校の弟が、はしゃいで家族全員のグラスに飲み物を注いでいる。
紅白の歌を聞きながら、家族揃ってグラスを持ち上げる。
お父さんが乾杯の音頭をとる。
「えー、今年も1年お疲れ様でした。掃除もみんな頑張ってくれたので、とっても綺麗になりました。また来年も、健康で、仲よく暮らしましょう!乾杯!」
「乾杯〜!」
チンっ
グラスを弟と両親と軽く合わせる。
中に入っている透明なサイダーがゆらっと揺れる。
「おかーさん!もう食べてもいい?」
弟が、ご馳走に待ちきれなくなったらしくお母さんに聞いている。
「いいよー、沢山たべてね。お父さんと二人の好きなもの沢山買ってきたから」
お母さんがニコニコしながら私と弟を見て言う。
「やった!ありがとう、お母さん」
私と弟は早速ご馳走を取り箸で各々取り出す。
いつもは全員揃うことのない食卓。
四人でわいわい賑やかにご馳走を食べる私は、やっぱり1年のこの、四人で年を越す大晦日が好きだ。
家族三人の顔を見回しながら思う。
今年も1年、ありがとう、来年も、よろしくね!