夢は、かつて眠る時に見るものという意味しか無かったと聞く。
dreamという言葉に影響され、
将来の目標や未来の理想像などの意味を含むようになったと記憶している。
夢は、好いものだと思う。
夢を持てば、生きる覚悟が固まるように思うから。
必ずや叶えたい、そう心から望み欲すことで人生は変わると、
私は信じている。
夢は歴史を通じ、何度ども繁栄を齎し、何度ども廃れを齎し、
何度ども良くも悪くも、世界を変化させてきた。
それは、紛れも無い事実だと思う。
そして、私は夢を叶える為に努力する、
全ての人を尊敬し、応援し、信じている。
もし夢が叶わなくとも、その夢の為に努力した日々は、
決して無駄では無い。
寧ろ、それは生きる糧であり、宝なのだから。
だから、夢は気が済むまで、存分に努めて描くと好い。
私にとって、異性とは美しい。
同性に比べて、ずっと穏やかで聡く、何よりも魅力的だ。
しかし、異性とは毒や棘などを有せることを忘れてはならない。
それらすら、異性は魅力にしてしまうことも忘れてはならない。
やはり、異性とは、聡く強く美しい。
これだから、私は異性に惹かれ惚れ込んでしまう。
嗚呼、なんと魅力的なのだろうか。
私も異性として、生まれたかったものである。
時折見られる、友人の横顔が私は好きだ。
友人の横顔は、同性ながら異様なほどに美しい。
一見すると唯、目を閉じて微笑む、
どこか宗教画を思わせる、上品で柔和な表情だ。
しかし、閉じられたように見える上品な目蓋からは、
全てを見定めるような冷え切った眼差しが覗き、
微笑んだように見える柔和な唇からは、
全てを見切ったように冷笑が浮かべられていた。
これこそ、友人の本来の姿なのかも知れない。
私は、そう感じる。
友人は、この国の高貴な方の血を僅かに引く身の上だ。
憶測だが、友人は周りが求める虚像の型に収まりながらも、
友人の性分を現しているように思った。
「器用だな。」
私は、小さく呟いた。
「鋭いね。」
友人は、小さく応えた。
どうやら、私が友人の性分を感じ取っているように、
友人は私の考えている事が解っているようだった。
かつて、私が人を愛した時の話をしよう。
人を愛する事くらい、我々にとっては珍しくないことだ。
恋は良いもので、短い時を共に過ごしても鮮明に思い出せる。
何百年と経った今でも共に過ごした人の体温、香り、声すらも憶えている。
しかし、顔はもう忘れてしまった。
唯、あの人の背中や仕草は朧げながら憶えている。
時とは非情なもので確実に少しずつ、あの人の忘れていってしまう。
あの人のことを、もう思い出せなくなる日が訪れるのやもしれない。
それだけは、永遠に近い月日を生きている欠点だろう。
だから、私はもう人を愛せない。
あの人と共に過ごした、愛しい日々を忘れてしまいそうだから。
『過去に執着など、人のようだな。』
そう同胞に嘲笑われる、しかし、私は彼らより幾分繊細なので仕方ない。
『死すれば、次に愛する者を見つければ良い。』
そう同胞に励まされる、しかし、もうあの人は居ないのだ。
それを私は、受け入れられない。
僅か数十年、本当に短い月日だった。
あの人と、もっと過ごしたかった。
それを数百年、引きづっている。
やはり、私は思うのだ。
この感覚を大切に紡ぎたいと、そう願っているのだ。
私は繊細だが、時など永遠に等しい月日あるのだから、
滑稽にも思える、この思いを大切にするよ。
愛する者が現れる、その日まで。
「君は何で、そんなに人を綺麗に殺すの?
言い方を変えよう。
何故、君は首の皮一枚を残し、首を切断するという技術を身に着けたの?」
僕は、興味本位で彼女に聞いてみた。
「多分、私は人間を殺したく無いからかな。
私を贄にしたのも人間だけど、私を愛したのも人間だからね。」
彼女は、冷静に答えた。
「ふーん、手は赤黒く血に染まっているのに、まだ理性的なんだね。
僕みたいに、ぐちゃぐちゃにしたら良いのに。
僕らが殺る奴は、皆、地獄に堕ちるほどの最低な人間ばかりだから、
酷いようにされても恨まれないよ。」
僕の意見に、彼女は呆れていた。
「まあ、そういう考えが有るのも分かるけど、私は賛同出来かねるな。」
彼女は、冷ややかな眼差しで僕を見た。
「今は容易く武力に傾く世界だよ。大国は武力により問題を治める。」
僕は、そう思った。
「貴男の方が私より戦が強く、私より優れた軍才がある。
私には不可能な事でも、貴男なら可能な事に出来るだろう。」
彼女は、そう呟いた。
僕は、未だにこの言葉を忘れられなかった。
まるで、私には対処不可能な事がこれから起こる。
その現実を示唆しているようにしか、思えてならなかった。