「君は何で、そんなに人を綺麗に殺すの?
言い方を変えよう。
何故、君は首の皮一枚を残し、首を切断するという技術を身に着けたの?」
僕は、興味本位で彼女に聞いてみた。
「多分、私は人間を殺したく無いからかな。
私を贄にしたのも人間だけど、私を愛したのも人間だからね。」
彼女は、冷静に答えた。
「ふーん、手は赤黒く血に染まっているのに、まだ理性的なんだね。
僕みたいに、ぐちゃぐちゃにしたら良いのに。
僕らが殺る奴は、皆、地獄に堕ちるほどの最低な人間ばかりだから、
酷いようにされても恨まれないよ。」
僕の意見に、彼女は呆れていた。
「まあ、そういう考えが有るのも分かるけど、私は賛同出来かねるな。」
彼女は、冷ややかな眼差しで僕を見た。
「今は容易く武力に傾く世界だよ。大国は武力により問題を治める。」
僕は、そう思った。
「貴男の方が私より戦が強く、私より優れた軍才がある。
私には不可能な事でも、貴男なら可能な事に出来るだろう。」
彼女は、そう呟いた。
僕は、未だにこの言葉を忘れられなかった。
まるで、私には対処不可能な事がこれから起こる。
その現実を示唆しているようにしか、思えてならなかった。
4/11/2025, 1:23:07 PM