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7/20/2024, 2:42:10 PM

【書く練習】
[君と僕の散歩道:9君がいなくなっても]
 
 君がいなくなった
 涙はでなかった
 わかっていたはずなのに
 ただただ呆然として現実を受け入れられなかった
 
 君の好きだったもの、一つ一つ手にとって、そっと撫でる
 君の遊ぶ姿を思い出して胸が苦しくなった
 
 いつもの散歩コースを一人で歩いた
 僕の前にはいつも君が歩いていた 
 
 ああ、いつもこの辺で動かなくなったな
 立ち止まって空を見上げる
 いない君に話しかける 
 
  なんでここで止まってたのさ
 
  お前と一緒にこの景色を見たかったんだよ
 
 風が吹いて、草原がザザザと波打つ
 川辺の水はキラキラと反射していた
 確かに美しい、いつも見ている景色のはずなのに
 
  うん、確かに良い景色だね
  だろっ!
 
  …君が居なくて寂しいよ
  新しい犬を飼えばいいだろ
 
  いやだよ、僕は君がいいんだ
  女々しいやつだな
 
  …君のことが大好きだよ
  はずかしーやつ
 
 ふふっと笑みがこぼれた
 ああ、笑えるんだ、君がいなくなっても僕は笑えたのか
 
  さあ、帰ろうか
 

7/20/2024, 1:46:01 AM

【書く練習】 
[君と僕の散歩道:8老い]
 
 君と出会って何年たっただろう
 
 君はあまり物が見えなくなってきた
 耳も遠くなり呼んでも気づいてくれない
 粗相も多くなり、夜泣きもするようになった
 ごはんだけはしっかり食べてくれるのが救いだ
 おやつも大好きだ
 嗅覚をたよりにしておやつにたどり着く
 見えないのでうっかり指を噛まれることもあった
 
 それでも散歩は毎日いく
 すぐに疲れてしまう時もある
 よたよたとおぼつかない足取りだが、
 それでも外の新鮮な空気や、匂いを嗅ぐのは楽しそうだ
 
 あと、どれくらい一緒にいることができるだろう
 
 そう考えただけで涙がこぼれた
 君がいなくなった世界を想像するだけで胸が押し潰されそうだ
 ただ、今は一秒でも長く君と過ごしたい
 

7/19/2024, 3:03:06 AM

【書く練習】 
[君と僕の散歩道:7いたずら]
 
 家に帰るといつもと違うことに気がついた
 
 スリッパに噛み後がある
 いつもはこんなことないのに
 叱ろうかと思ったが現行犯ではないので意味はないか
 ため息をついて部屋にはいると、部屋一面にティッシュが散乱していた
 鉢植えが倒され土が散らばっている
 フードをいれるボックスが噛られてヒビが入っていた
 
 とにかくひどい状態だった
 
 見回しても君の姿は見当たらない
 叱られるのが怖くて隠れているのか
 
 なぜ?今までこんなことはなかったのに
 ストレスがたまっていたのか?
 散歩の時間が少なかった?
 スキンシップが足りなかった?
 
 混乱しながらキッチンに回った
 そこには君と、割れたカップがあった
 贈り物の大切なカップだった
 
 一瞬頭に血がのぼり、僕は強く叱ってしまった
 君は体をびくりと震わせた
 耳を伏せ上目使いに僕を見上げている
 
 僕は大きく深呼吸をして部屋を片付け始めた
 でも、この時僕はもっと君の異変に気を配るべきだった
 どうしてこんなことをしたのか、もっと考えるべきだった
 
 後に僕は後悔する
 
 君のサインを見逃してしまった
 

7/17/2024, 2:30:08 PM

【書く練習】 
[君と僕の散歩道:6社交性]
 
 君にたくさんの仲間と会わせたくてドッグランへ来た
 
 君は孤高の存在だ、僕と少し似ている
 君は周りには馴染むことはなく
 皆から少し離れたところに仁王立ちしている
 
 君のことを知りたくて周りには集まってきた彼らに
 目も合わさずに距離を取る
 それでも距離を詰めようとする彼らには軽く威嚇をする
 
 でも僕は知っている
 君は恥ずかしがりやなんだよね
 始めましての子にはいつも緊張してるだけなんだ
 その証拠に、いつもの散歩で出会うトイプーのマロンちゃんとは大の仲良しだ
 尻尾の振り幅全開だし唸りもしない
 
 君は大勢と仲良くなりたい訳じゃない
 友人も少数精鋭なだけ
 僕は君に選ばれた友人であることを誇りに思うよ
 
 軽い足取りで戻ってきた君を労おうと頭を撫でた
 とたんに君は唸り声をあげて牙をみせる
 
 友よ、それはあんまりだ…
 

7/16/2024, 10:57:31 AM

【書く練習】
[君と僕の散歩道:5水遊び]
 
 猛暑から逃れるために近所の川にきた
 
 君は川が大好きだ
 シャンプーは大嫌いなのに不思議だ

 君はザブンザブンと飛沫をあげて川へ入っていく
 中頃まで行くと、犬かきでスイスイと泳いでいく
 とても気持ち良さそうでこちらが羨ましくなるほどだ
  
 そんな君を川岸から見ると僕も涼しい気持ちになる
 岸から上がって来た君は2回りくらい小柄になっていた
 
 すっかり別犬だ、笑いたいのを必死でこらえる
 そろそろ帰ろうか
 濡れた体を拭くためにタオルを取って振り返ったとたん…
 
 君は盛大にドリルを放った
 僕は目を閉じ暫し固まる
 大きく深呼吸をして心を静めた
 
 君はそんなことは知らんと言いたげな顔をしている
 ふん、そんな顔をしていられるのも今のうちだ
 家に帰ったらシャンプーがまってるのだから
 隅から隅までしっかり洗ってやるからなっ
 

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