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1/21/2024, 2:03:16 AM

「第六話 龍の真実」
「俺はただのファウシじゃない」
冷たく言った。その顔は不安げなようだ。
「俺は黒龍なんだ」
「なるほどな…」
蛇のファウシはうなずいた。そして口を開いた。
「名前は何て言うんだい?」
「…ハデス」
「!!」
声をつまらせた。まさか、そんな…。
「どうだ?…恐ろしいだろ?」
当然のように答えた。顔は暗く沈んでいた。
「そういえば、まだ私の名前を言ってなかったな」
「…」
「私の名前はオロチさ」

12/15/2023, 9:59:57 AM

「第五話 独りの蛇」
私は蛇のファウシ。小さく貧しい村で生まれた。私が小さい頃に母親が殺された。母親も蛇のファウシだった。でも私を生んで病気になってしまった。弱った母を目の前で殺されたとき私は五歳だった。そのときに自分がこれほどにもない怒りを感じた。自分の力が暴走したのだと。でも、あれは私のファウシが怒ったのだった。ファウシが私を守ってくれた。そいつを殺したあと一人でこの辺りをさ迷った。寒くおなかもすいたなか裸足で。そのときにここのオーナーが拾ってくれたのさ。
龍谷は驚いた。この人もファウシだったのかと。彼女は嘘のことは言っていない。本気だ。
「そのファウシはどうなったのですか?」
少し不安を感じながらも聞いた。
「今では助けあっているよ。何せ琉歌は悪い奴じゃないからね。」
「琉歌?」
「私のファウシの名前だよ。」
「そうなんですか。」
僕は龍と話したことがない。一回も姿をみたことがない。どんな感じなんだろうと疑問に思った。その時だった。自分の体が誰かに乗っ取られる気がした。だが一瞬だったため、冷静を保つことができなかった。
「来たね…」
「グルル…」
唸り声を上げた。だが凛は冷静だ。
「安心しな。」
口調が変わった。目が細く黄色になった。まるで蛇のような目だ。
「ファウシ同士話そうじゃないか…」
「…いいだろう…」

12/13/2023, 12:15:12 PM

「第四話 ファウシ」
僕が目を覚ますとある喫茶店の中にいた。辺りは深いコーヒーの匂いがする。辺りをキョロキョロとみていると後ろから声をかけられた。
「おっ、起きたね」
「凛さん!」
そこには凛がいた。少し凛も安心した顔をしている。
「すみません、僕記憶がなくて…」
「安心して。それより君に聞きたいことがある」
「な、なんですか?」
凛の顔つきが変わった。真剣な顔だ。
「ファウシを知っているかい?」
ゾワッ背筋を寒気が襲った。何故それを?僕は疑問でしかなかった。ファウシとは動物と人間をあわせたようなものだ。生まれたときに人間だけでなく生物と一緒にいることだ。その生物は様々だ。普通の動物、例えばウサギや虎だ。その中でも普通の動物とはかけはなれた存在の幻獣種がいる。僕は龍だ。その力を今まで利用されようとしていた。それで逃げたしたんだ。あそこから。あの施設は地獄だ。利用できるまで拷問する。苦しみがこみ上げる。そんなことを思っていたら凛さんが話しかけた。
「…私の話を聞いてほしい…」
彼女の顔はひどく暗かった。

12/10/2023, 10:54:35 AM

「第三話 隠された秘密」
「さて、こいつらは…」
(恐らくマフィアだな。面倒だ。でも、なぜ龍谷を?)
何かが動く音がした。凛が振り向くと龍谷だった。龍谷が起きたのだ。凛は、ほっとして龍谷に声をかけた。
「良かった!龍谷くん、大丈夫?」
だが返事がかえってこない。凛は不思議に思った。いつもなら明るく返事をしてくれるのに。そして龍谷が話し始めた。
「オレ二チカヅクナ!」
「!!」
凛は驚いて後ろに退いた。その声は優しい龍谷の声ではなく、低く威圧のある声だ。それに唸っている。まるで虎や龍のように。
「コロスゾ!」
龍谷は怒鳴り、辺りが不穏に揺らめいた。彼の腕には鱗が生え、長いしっぽに頭には角が生えた。普通の人が見れば恐怖で動けなくなるだろう。しかし、凛は冷静だった。真剣な顔つきをしていた。
「そうか…君が…」
悲しそうな声で言った。龍谷を哀れむように、そして自分の過去を思い出すように。
「大丈夫、君はまだ…」

      「人間に戻れる」

12/9/2023, 11:59:46 AM

「第二話 狙われた龍谷」
僕の名前は白坨 龍谷。今では凛さんと一緒に暮らしている。凛さんは命の恩人だ。僕が死にかけているところを助けてくれた。でも、まだ凛さんについてはよくわからない。そんなことを思いながらいると凛さんが
「ごめん、龍谷くん。買い物に行ってほしいのだけれどもいいかしら?」
「いいですよ。何がいるんですか?」
「えっと、コーヒー豆とおしゃれなコーヒーカップをお願い。」
「えっ!僕、カップを決めるセンスなんか…」
「大丈夫よ!龍谷くんはセンスいいから!」
「…わかりました。」
憂鬱な気持ちで家を出た。
(まぁ、早く終わらせて帰ろう)
そう思ったときだった誰かから鉄の棒で頭を殴られてしまった。龍谷は気絶した。そしてスーツを着た男性二人が出てきた。
「こいつが白龍ってやつか?」
「そうらしいぜ。早く連れてくぞ。」
「ああ。」
二人が龍谷を連れて行こうとしていると、靴音が聞こえてきた。しかも、段々近づいてくる。
「誰だ!」
男性が銃を抜こうとしたとき目の前に飛んできた。それは凛だった。龍谷の前での明るさとは裏腹に冷たい顔をしていた。男性は声を出す暇もなく殴り飛ばされた。もう一人の男が動揺する。
「お前は…」
「私の可愛い可愛い龍谷に何をしているんだい?」
恐怖でしかない。まるで蛇にでも睨まれたようだ。そして凛は怪しくニッコリと笑った。
「さぁ、どうしてやろうか?」

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