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「第五話 独りの蛇」
私は蛇のファウシ。小さく貧しい村で生まれた。私が小さい頃に母親が殺された。母親も蛇のファウシだった。でも私を生んで病気になってしまった。弱った母を目の前で殺されたとき私は五歳だった。そのときに自分がこれほどにもない怒りを感じた。自分の力が暴走したのだと。でも、あれは私のファウシが怒ったのだった。ファウシが私を守ってくれた。そいつを殺したあと一人でこの辺りをさ迷った。寒くおなかもすいたなか裸足で。そのときにここのオーナーが拾ってくれたのさ。
龍谷は驚いた。この人もファウシだったのかと。彼女は嘘のことは言っていない。本気だ。
「そのファウシはどうなったのですか?」
少し不安を感じながらも聞いた。
「今では助けあっているよ。何せ琉歌は悪い奴じゃないからね。」
「琉歌?」
「私のファウシの名前だよ。」
「そうなんですか。」
僕は龍と話したことがない。一回も姿をみたことがない。どんな感じなんだろうと疑問に思った。その時だった。自分の体が誰かに乗っ取られる気がした。だが一瞬だったため、冷静を保つことができなかった。
「来たね…」
「グルル…」
唸り声を上げた。だが凛は冷静だ。
「安心しな。」
口調が変わった。目が細く黄色になった。まるで蛇のような目だ。
「ファウシ同士話そうじゃないか…」
「…いいだろう…」

12/15/2023, 9:59:57 AM