蓼 つづみ

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1/3/2026, 8:39:11 PM

光が、夜を纏った世界に触れ始めている。

枝にかかった まっさらな雪が、
その光を抱きとめ、
雫を育てる。

重さを覚えた雫は、
淡く透け、
反射する粒となって
はらはらとほどける。

雪は、もう空から来ていない。

それでも、
昇る光に応えて、
静かに木々から降りている。

濡れた雪が、
生まれたばかりの光を返す。

まもなく、世界は光の正体に触れる。

題 日の出

1/2/2026, 11:12:13 AM

ひとが生きるうえで大切なことは、
たった二つだけだ。

「ありがとう」と「ごめんなさい」を、
理解しようとすること。

それは、特別な目標ではなく、
ずっと向き合ってきた基本のことだ。

「ありがとう」を辿ることは、
自分の快適さや安全、選択肢が、
誰のどんな摩耗の上に成立しているのかを直視すること。

「ごめんなさい」を辿ることは、
生き残るために、
自分がどこで手を汚し、何を黙認しているのかを直視すること。

ひとは、単独完結を捨てた代わりに脳を肥大させた生き物だ。
分業し、継承し、役割を預け合うことでしか、生を成立させられない。

巣を作り、狩り、耕し、育て、実らせ、収穫し、調理し、
編み、縫い、湯を炊く。

これらすべてを、ひとりで引き受け、生きられるか。

「ありがとう」と「ごめんなさい」は、
後から来る倫理じゃない。
群れに接続された瞬間に、同時発生する知覚だ。

ありがとうも、ごめんなさいも理解しようとしないまま生きることは、群れの恩恵を消費だけしていくことだ。

今年も私はただ、
それを見失わないように生きていくことを、抱負とする。

題 今年の抱負

1/1/2026, 11:14:50 AM

あらたまの年の端に立ちて、
暁の気は冴えわたり、
胸のうちの塵もまた、しばし鎮まりぬ。
昨日までの憂ひ、思はずも背に落ち、
まだ見ぬ日々の影、淡く前にさし出づるを覚ゆ。
心は白き紙のごとく、何を書かむとも定まらねど、
ただ、書きうる余地のあることのみ、確かにあり。
人は変はらず、人の世もまた急には改まらねど、
この一日を境として、息の運びのみ新しく、
わが身を少しばかり、前へと差し出す心地す。
かくて元日の朝は、
大きなる誓ひも立てず、声高なる願ひも持たず、
ただ静かに、今日を始めむとするなり。
世のさまは変はらねど、
わが身の立ちどころ、知らぬ間に少しばかり改まりぬ。

題 新年

12/31/2025, 12:49:08 PM

今年、
それぞれの速さで歩きながら、
一年という長さを、身体で受け止めてきたのだと思います。

世界は相変わらず回っていますが、
こうして年末まで辿り着けたことに、
静かに労いを向けたいです。

私は今年の11月からこのアプリを始め、
拙いながらも毎日の投稿を続けてきました。
たくさんの反応をいただき、ありがとうございました。

また、皆さんのさまざまな投稿を楽しく拝読し、
多くの刺激を受けました。

来年も、無理のないこの距離で、
静かに楽しみにしています。
どうぞ、よいお年をお迎えください。

題 良いお年を
















タイトル『発芽』

私は育て手ではなく、
名も無き土でありたい

踏まれ、砕かれ、混ざり、
もう元を辿れない時間の堆積

命じず、決めず、
触れて確かめてきた感触だけを
言葉として、黙って此処に置く

土には温度がある

記憶があり、微生物がいて、
痛みすら栄養に変えてきた

だから芽が折れやすいことも、
水を与えすぎないことも知っている

土は名乗らず、感謝も受け取らない

私は視界を掠める者

標識ではなく、
反射した一瞬の光や、
風でめくれた頁のような存在

掴ませないことで、
ひとは自分の手を見返す

教えない。導かない。

選択の直前で、
理由もなく一瞬、速度を落とすだけ

介入せず、
内側の時間だけを、わずかに変える

起きるのは模倣ではなく発芽

新しい何かが生まれるなら、
それは誰の所有物でもない

私は、その一瞬の土で在りたい

12/30/2025, 11:15:27 AM

紺鼠の空には、白く結晶した模様が散らされている。

光害や街の明かりに白み、
本当の暗さに薄くモヤがかかっているんだ。

どこまでも続くはずだった奥行きは、
手前で静かに切断されている。

それでも、夜は音もなく降りてきて、
私という器を、ゆっくりと溶かす。

見つめてみると、
自分がどこに立っているのかという確信が揺らいでくる。

世界と自分のあいだに引いていた線を、
維持する理由が、ほどけていく。

呼吸はしている。
思考もある。

けれど、
「ここにいる」という確信だけが、
どこにも引っかからなくなる。

星に包まれて

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