「世界の終わりに君と」
ぼくは すべてを失ってしまったぼくは
きみを失ってしまったぼくは
なにもかも忘れてしまったぼくは
きみを探して きみを求めて
ずっとずっと まっしろな世界をさまよっていた
忘れたことをおもいだしたら「ていぎ」して
忘れたことも忘れてしまって
ずっとずっと 0と1の間をさまよっていた
01110010 01100101 01100011 01101111 01110110 01100101 01110010 01111001
そんなある時突然───
ぼくは全てを取り戻した。
きみとぼくで作ったたくさんの構造物。
ガラスでできた街 お菓子の国 虹色の星
青い薔薇の花畑 小さな宇宙 永遠の命
きみのこと。
闇夜のような色の髪
不思議な光を宿した瞳
子供の頃の宝物だったビー玉みたいに澄んだ声
そして、この世界を壊した彼らのことを。
全て、全てを思い出した。
でも、どうして全てが元通りになったのだろう。
きみが戻ってきたのだろうか。
いや、違う───。
「この空間は、旧型宇宙管理士によって作られたものであるとの証言が被疑者から得られました。」
「おそらく、凍結直前の状態に戻されています。」
「……思考能力を持った存在を検知しました。どういたしましょう。確保に移りますか?」
「そうだなぁ。いきなり確保せず、一旦は様子見とするか。」
「……にしても、感情の分かるやつがいないからってあたしが呼ばれるなんて思ってもなかった。」
ぶつぶつと何かを呟きながら、誰かが近づいてくる。
白衣を着た赤くて黒い髪の少女と、無表情な女性が見えた。
おそらく、この世界を壊した彼らの仲間なのだろう。
ああ、ぼくは最後まできみに会えないのか。
世界の終わりにきみと、ずっと寄り添いたかった。
ただ、ただそれだけなのに。
「暗い感情を検知しました。ご注意ください。」
「わかってるよ。」
「おーい、そこのお兄さん!あなたはこの空間のひとなの?ちょっと聞きたいことがあるんだけどさぁ!」
「……ぼくから話せることはない。」
「もしかして、あたしらのことめちゃ警戒してる?」
「まーまー、そんな怖がらなくてもいいって!」
「あたしら、別にあなたとここを作ったひとに敵意があるわけじゃないんだ。信じられないかもだけどさ。」
「とにかく、危害を加えるつもりはないってことだけ把握してもらえればオッケーだよ。……あなたがよほど反抗的なことをしない限りはね。」
「にしてもさぁ、あの緑色の髪のアイツはなに考えてんだろうね?自分の管轄内の宇宙がひとつなくなるからって普通ここまでするかな?」
「ぼくらの世界を破壊した子どもはそんなに変なやつなのか?」
「ん〜、まあ。アイツがやってることをあなたにも分かりやすく伝えるとしたら、電子顕微鏡で見えた原子に話しかけてる、みたいな感じかな?」
「……やっぱりそうなのか。ぼくと彼女の世界の存在は、あの子どもにとって邪魔なものだったから、宇宙の管理を口実に壊した。きっとそうだったに違いない。」
「そして、あなたたちがこの世界を蘇らせてくれた。」
「……ありがとう。本当に感謝している。」
「それほどでも、なんてね。まぁとりあえず、この世界についてもっと詳しく教えてよ。」
「分かった。でもその前に、もし、もし知っていたらでいいんだ。ぼくにも知りたいことがある。」
「なにが知りたいの?知ってる範囲でしか答えられないけど。」
「この世界を一緒に作った、ぼくの大切なひとに会いたいんだ。もし、また会えたら、また話が出来たら、どれだけ幸せなことか。」
「……分かった。調べてみるね。」
あとは君さえいれば、ぼくは、この世界は完全なものとなる。
もう一度、あの愛と平和に溢れた幸せな世界を見たい。
そのためならぼくはなんだってできる。
きみのためなら、世界のためなら、なんだって。
01101110 01110101 01101100 01101100
対象者は捜査に協力的みたいだ。
マッドサイエンティストの事情聴取で得た情報通り、彼はアイツに相当怒りを抱いてるっぽい。下手なことできないな。
まあでも、もしあたしがアイツの立場だったとしたら、宇宙が少なくなったことがわかればすぐに特定して対象を直接破壊するだろうと思う。
……マッドサイエンティストとか名乗りながらも温情はあるみたいなんだよなぁ。やってることはめちゃくちゃに見えるけど、実際は効率的かつ優しいというか、意外とちゃんと考えられてる。
多分あたしとアイツが直接会うことはないだろうけど、もしそうなったら色々話を聞いてみよっと。勉強になりそうだし。
……それじゃあ、改めて気を引き締めないと、だね。
「最悪」
……ついにこの時が来てしまった。
ありもしない容疑をかけられて事情聴取を受けることになってしまったこのボクは!このくらいじゃあへこたれないよ!
とはいえ、墓穴を掘るようなことを言ってしまわないか不安なのは確かだ。
だが!ボクには完璧なデータ、完璧な証人、そして完璧な証拠品があるから心配ない!!!
大丈夫……心配ない、心配ないよ。
ボクのコードネームが呼ばれ、入室を促された。
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「公認宇宙管理士第294001番 コードネーム『マッドサイエンティスト』、あなたがここに呼ばれた理由はご存知ですね?」
「……その呼ばれ方はあまり好きじゃないなぁ。」
「説明は聞いている。ボクには旧型の宇宙管理機構の一部を不正に持ち出し、管轄内の第712宇宙を破壊しようとした、という容疑がかかっているのだろう?」
「その通りです。今回はこの事件に関するあなたの動向を詳しく話していただくため、ここにお呼びしました。」
「あなたはこの事情聴取を2時間で終えることを希望されているようですね。なるべくご希望に添えるようにいたします。但し、我々の指示に従って頂くことを条件とします。」
「それは百も承知さ。」
「それでは始めましょう。」
「まずは、事件が起こった頃、あなたはどこで何をされていたのですか?」
確かあの時は───あれ?ボクの行動履歴にアクセスできない。データとボクの記憶がきっちり合っているかを確認する目的なのだろうが、ボクはちゃーんと覚えている!
「あの頃は第95021宇宙がかなり不安定な状態にあったから、該当宇宙へのエネルギーを追加していた。もちろん、他の宇宙の様子を見ながらの作業だが。」
「そして今年の2月だったね……。第712宇宙の質量が明らかに『介入された』であろう減少傾向を見せたから介入することにしたのさ。」
「なるほど。ここでひとつ疑問視すべき点を述べます。」
「第712宇宙の質量減少にもっと早く気付くことはできなかったのですか?」
「確かに、少し前からその兆候は見られた……が、介入できるほどの減少ではなかった───つまり、自然に起こる増減の範囲内だと判断したわけだ。最初は、ね。」
「キミもご存知だろう。公認宇宙管理士基本法第3章のはじめの』公認宇宙管理士は無闇に宇宙に介入するべからず』という文面を。」
「明らかな異変だと判断できない限り、ボクは無闇矢鱈に宇宙に手を加えるような真似はしない。ボクはただ法律に従ったまでさ。」
「キミもボクの解析済みデータをお持ちだろう?そのデータと第712宇宙の質量増減のデータを照合すれば、整合性のある判断だと導き出せるはずだよ。」
「なるほど。のちにデータを詳細に確認いたします。」
「頼んだよ。」
「次にお聞きするのは、あなたの『感情』です。」
「ちょっと待ってくれ!」
「キミは感情を理解できるのかい?現時点で感情を理解でき、事情聴取を行える公認宇宙管理士はいなかったはずだが!」
「はい。あなたのおっしゃる通り、私は感情を理解することができません。ですが、データに変換された『感情』の強弱であれば読み取ることができます。」
「だからそこに感情を表示するモニターがあるわけだね。」
「んで、事件前後の感情だが、ボクの愛する宇宙が何者かによって縮小の一途を辿っていることに気づいた時、それはそれは『悲しい』ものだったよ。」
「と同時に、宇宙を縮小させる原因に対する怒りも沸いた。宝物が壊されるのをただただ見ているだけではいられない。そう思って宇宙に介入したのさ。」
「それから、感情についてもう一つお聞きします。一ヶ月ほど前の『怨念』について説明してください。」
「あの怨念は、宇宙を吸収した旧型宇宙管理士がボクに抱いたものだよ。キミには馴染みがないだろうけれど、かつてよく使われていたクラッキングの方法を使われたのさ。」
「特定の感情を大量に相手に送り込んで処理落ちさせる手法を使われたわけだ。彼女……宇宙とそのエネルギーを吸収した存在が宇宙エネルギーを怨念に変換し、それをほぼ全てボクに突っ込んだのさ。」
「そんなことをされたら、並大抵の管理士じゃあ耐えきれずに壊れてしまうだろうね。たまたまボクが丈夫だったお陰で事情聴取も出来ているわけだが!」
「それから、逆にこちらから聞いてみよう。もし仮にキミが宇宙を破壊するために旧型の管理士を持ち出したとする。」
「その時、旧型管理士をどう扱う?」
「意図が分かりかねます。」
「そうかい。それじゃあ聞き方を変えよう。」
「感情のある相手から怒りを買うようなことをするかい?」
「いいえ。私であれば、感情のある相手に対しては敵意を持たれないよう、出来るだけ友好的に接します。」
「そうだろう?」
「仮にボクが旧型管理士を盗み出したとして!そんな大量の怨念を送り込まれるような真似を!ハイリスクなことを!するわけがなかろう?!」
「あ、この状態のボクを診てくれた整備士がいるから、もし疑問点があればそっちに聞いてくれたまえ。」
「なるほど。理解しました。」
「それでは、最後にお聞きします。」
「あなたが『盗み出した』とされている旧型宇宙管理士は、現在どこに存在しているのですか?」
「ああ、彼女なら第712宇宙付近にある特殊空間内にいるよ。」
「万が一の事態に備えて、今その空間にはボクしかアクセスできないようになっているが、捜査のために解放しよう。」
「それとも、彼女を起こしてここに連れてきた方がいいかい?」
「いいえ。あなたを完全に信用したわけではありませんので、事情聴取の最中はこの部屋にいていただきます。」
「分かった。……見えるかい?この空間内部に該当する旧型宇宙管理士がいる。念のために眠らせている───事実上の凍結状態にしているよ。」
「それから、彼女の作った空間も付近に存在している。こちらも凍結させてあるが、証拠として使えるのならば見るといい。」
「ありがとうございました。以上で本日の取り調べを終了いたします。第712宇宙にて、続報をお待ちくださいませ。」
「こちらこそどうもありがとう。良い知らせを待っているよ。」
こうして事情聴取は終了した。
……これで最悪の事態は免れることができるはずだが!!!
彼らがどのようにボクとデータを判断するかにかかっているからなんとも言い難い!!!
頼むからボクを完全に自由の身にしてくれたまえ!!!
「狭い部屋」「誰にも言えない秘密」6/4、6/5
ほぼほぼ完成していたのだが!!!投稿する前に内容が消えてしまったので昨日と今日の分をまとめて投稿するよ!!!なんということだ!!!泣いてもいい?
+゚*。:゚+.゚*。:゚+.゚*。:゚+.゚*。:゚+.゚*。:゚+
ボクが管理する宇宙が危機を迎えたが、なんとか収束させることが出来た!!!あとはどう処理するかを決めるだけ……そう思っていたのに!!!
なんとこの騒動を起こしたのがボクだということになっている!!!アーカイブ管理室からボクが危機の原因となったものを持ち出したという「証拠」もあるらしい!!!
明らかに「改竄された」ログとやらがあるせいで!!!ボクには逮捕状が出されている!!!
全く訳がわからないよ!!!
このまま無抵抗でいれば碌なことにならない!!!
だが動きすぎるとさらに疑われる!!!
ボクはのんびりまったり仕事をしつつ平和に暮らしたいだけなのだが!!!どうやらそううまくはいかないらしい!!!困ったね!!!
だいたい、よりにもよってこの超可愛くて超優秀なボクをこうも大体的に陥れようなんて、真犯人は大胆不敵極まりない!!!許すまじ!!!
そろそろあの狭い部屋で取り調べを受けなくてはならないことだろう。あまり時間は残されていないが、せめてできることはしなければ!!!
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「ねぇ新人くん!!!聞きたいことがあるんだが!!!」
「はい、何でしょうかぁ?」
「事情聴取ってさぁ、リモートで受けちゃダメかな???」
「えぇ……一応聞いてみますがぁ、情報漏洩対策のためにおそらくできないかとぉ……。」
「もうひとつ聞いてみるが、取り調べって100年はかかるよね???2時間ぐらいで終わらせられないかな???」
「100年を2時間で?!……本部に相談はしますがぁ……。」
「……話はしてくれるんだね。というか、キミはボクの身柄を確保しにきたはずだろう?しれっとボクの味方しちゃっていいのかい?」
「あぁ、そうですぅ。ホントはダメなのですぅ。」
「でも、憧れの先輩が窮地に陥っているのを見ていて不安にならずにはいられませんよぉ!」
「よ〜しよし!かわいいかわいい!」「わぁ〜〜!」
「ところで、ボクのデータの解析は済んだのかい???」
「もちろんですぅ!」
「途中で追加データを渡して悪かったね!!!事件発覚以前のデータも渡さないと詳細がわからないから資料としてよろしくないと思ったのだよ!!!」
「賢明なご判断ですぅ!」
「さすがボクだねえ!!!」
「そうそう、で、キミの解析結果を教えてくれたまえよ!!!」
「わたしがデータを解析した結果、あなたがクロである可能性は0.000001%以下なのですぅ!」
「その通り!!!実際は0.000000%なのだが!!!」
「なにを根拠にそう判断したんだい???」
「えぇと、まずは感情のデータを読み取ったところ、ほとんど安定していたのですぅ。それからぁ、事件前に検出されるはずの悪意が確認できなかったことも挙げられますぅ。」
「それからぁ、事件発覚から対象の無力化まで、非常に迅速に対応されていたのですぅ。」
「あとぉ、強いていうならば、成果に対する執着よりも宇宙に対する愛が大きいことも根拠なのですぅ!」
「当〜然っ!!!」
「ただひとつ気になったのはぁ、1ヶ月ほど前でしょうかぁ、とんでもない量の『怨念』を検知したのち、1日近く活動が停止していたことなのですぅ。」
「一体、あなたに何が起こったのですぅ……?」
「あぁ、あれね!宇宙を吸収した原因が宇宙を怨念に変換してボクに全部突っ込んだのさ!ま、今はこの通り元気いっぱいだが!!!」
「宇宙約ひとつ分の怨念を?!そんなことをされたら普通修復不可能になってしまうのですぅ!よくぞご無事でぇ!」
「その時ボクを診てくれた整備士は叩いたら治るとか言っていたが!!!ボク以外じゃそうはいかなかったろうね!!!ハハハ!!!」
「そうだねぇ……キミの解析したデータと整備士くんの証言、それから現在凍結状態にある『証拠品』が出揃えばきっと嫌疑は晴れるはずだ!!!」
「にしても、ボクを亡き者にしようとするなんて!!!相手が悪すぎたねえ!!!」
「まあそれはいいとして、念のためにしておきたいことがあるのだよ!!!」
「しておきたいこと、なのですぅ?」
「そう!!!ボクは絶対にここに戻ってくるつもりではいるが、万が一のことがないとは言い切れない!!!だから、ニンゲンくんに挨拶をしておきたいのさ!」
「なるほどなのですぅ。」
「だから、ニンゲンくんが起きるまでちょっと待ってもらってもいいかい?」
「……少しだけですよぉ。」
「礼を言うよ!!!」
……せめて後悔のないようにしないとね。
狭い事情聴取用の部屋ではうまく立ち回らないと。
宇宙のためにも、キミのためにも。
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ボクは今から事情聴取を受ける。
ただ「詳しい話」を聞かれるだけだから、いきなり危険な目に遭うことはないだろう。
とはいえ、キミにそんなことを正直に伝えたら混乱させてしまうだろう。まあキミのことだから何にも気にしないかもしれないが。
だから、キミには本部に用事が出来たから少し家を空けるという体で外に出た。いつもありがとう、体には気をつけるんだよ。そう言って家を出た。
……逮捕状が出されていることも知られている以上、キミには「ただの用事」だと思われていないかもしれないが、それでも、出来るだけ心配をかけたくなくてね。
……そういえば、ボクがキミの名前を呼ばない理由を説明していなかったなぁ。でも、説明するわけにもいかないから、ここにきて以来そのことをずっと黙っていた。
なんせ、ボクの誰にも言えない秘密、かつ重要な機密事項に触れることになってしまうからね。
本当は、ボクだってキミの名前をたくさん呼びたかったよ。
だが、ボクにとって「誰かの名前を呼ぶこと」は、服従の象徴のようなものなのだ。
だから、もしキミの名前を呼んでしまったがために、キミがボクの傀儡になってしまったら。そう考えると悲しくて、恐ろしくてたまらない。
だから、ボクはキミの名前を呼ぶことができない。
……ボクは本当の名前を呼ばれると、あの旧型の宇宙管理士と同じように、必ずその後の指示に従わなくてはならない。
「眠れ」と言われたら眠るし、「消えろ」と言われたら消える。そんなふうに作られているんだ。
でも、一回くらい、キミに名前を呼ばれたかったなぁ。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎って、呼んで欲しかったなぁ。
……なんて、ね。
「失恋」
あんなに好きだったのにな。
でも、僕は誰が好きだったんだろう。
僕は何が好きだったんだろう。
今じゃもう、何にも分からない。何にも。
゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚
小さい頃、君が人見知りだった僕を遊びに誘ってくれたのが全ての始まりだった。明るくて朗らかな、どこへ行っても人気者の君が、僕なんかと友達になってくれるとは思ってもみなかった。
小学校に入っても、君は僕と仲良くしてくれた。
本ばかり読んで、楽しく話すことも一緒に外で遊ぶこともないからってクラスのみんなからいじめられた時でさえ、君は味方でいてくれた。
こんなことをしたら君だって酷い目に遭うかもしれないのに。
……こんなことを思ってはいけないんだろうけど、いじめられる度に君に守ってもらえると、君にとって僕が大切な人なんだと自覚出来るような気がして、苦痛ながらも嬉しさを感じていた。
実際はただの現実逃避だったのかもしれないが。
中学に上がっても、君は変わらず太陽みたいだった。
キラキラグループに属しながらも、隙を見ては僕と話をしてくれた。
そんな暇なんてなさそうなのに、映画を見に行ったり、夏祭りに行ったりと一緒に出かけてくれて、その時はまるで君を独り占めしてるみたいだった。あれが優越感ってやつだったのかな。
でも、君といると嬉しさと同時に不安も感じていたんだ。
明るい君と暗い僕は、明らかに釣り合わない。
僕が君の足枷になっていないか、不安で不安で仕方なかった。
そんなある日、ふと気付いた。自分の気持ちというか、君に対して抱く感情に。
幼い頃の、友達に対する「好き」とは別のなにか。
それの正体がわかるのにそう時間は要さなかった。
ある時いとこが持ってきた少女マンガに書かれていた「恋心」。
初めて読んだ時は理解できなかったが、今ならわかる。
君に抱いているのはまさしく「恋心」だった。
僕は、生まれて初めての恋をしたんだ。
君の笑顔も、綺麗な黒髪も、大きな手も、優しさも明るさも全部好きだった。
声を聞くたびに、一緒に家まで歩くたびに、嬉しさと苦しさが同時に襲ってくる。
せめて君には気づかれないようにしなければ。
この恋は、きっと実らないから。
だって君も僕も、おんなじ性別だから。
いくら今が多様性の時代だからって、僕のせいで君までそういう目で見られて欲しくない。
君に気味悪がられるのはもっと嫌だ。
この気持ちが届かないって分かってるんだから、せめて少しでも長く一緒にいたい。
恋人になりたいな。
そんな気持ちを抱くのは間違いだ。
一緒にいたい。この気持ちを伝えたい。
君と僕じゃ見た目も中身も全然釣り合わない。
君のためになることをしたい。
今の僕が出来ることは想い人から離れることだろ。
悩んでいるうちに、ついに高校生になってしまった。
そんなある日、君は僕にこんなことを聞いてきた。
「好きな人っていんの?」
僕はうまく答えられなかった。
「君が好きだ」って言いたいのを我慢するだけで精一杯だった。
でももう耐えきれない。この気持ちを伝えなくちゃ。
゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚
そんな話をしてから何日かたった頃の放課後、僕は君に呼び出された。話があるらしい。僕も大事な話があるとなんとか伝えた。
君の後をついていくと、静かな教室に着いた。
教室に入って、僕は後悔した。
君しかいないと思っていた教室に派手な女子がいたのを見て、僕は本当にがっかりした。
その子はかつて僕をいじめていた女子だったんだ。
その時の恐怖を思い出して身体が竦む。
「いや、お前もさ、もう高校生なんだから彼女くらい作っといた方がいいと思って。いいヤツだからお前に紹介しよっかなぁって。」
「ふーん。陰キャくんもおんなじ高校だったんだーw」
「そ、そっか、そうなんだ……。ありが……とう。で、でも気持ちだけ受け取るよ。」
「僕からの提案なんだけどさ……君と彼女の方がお似合いなんじゃないかな……?」
「お、マジ?!いいじゃーん!」
「それじゃ俺たち、付き合っちゃう?」
「ってことでよろしくーw」
「まさかお前が恋のキューピッドになるとは思ってなかったよ!」
「恋愛成就の陰キャ地蔵作んなきゃじゃんw」
「んで、お前の大事な話って何?」
「いや、忘れた……。どうかお幸せに。それじゃあ。」
頭が真っ白のまま、誰もいない自習室に逃げ込んでしまった。
初めての恋、初めての失恋で混乱して、涙すら出ない。
呆然としていると、彼らの話し声が聞こえた。
耳を疑うような内容だったので、夢だと思いたかった。
でも今日できた切り傷と心が痛むのが僕を現実に引き戻した。
「なんでアンタはウチをあんな陰キャに紹介しようとしたん?」
「え、あいつだったら絶対断るだろうと思ったから。なんていうかその、えー……っと正攻法で告ってもムズイかなぁって。」
「なにそれwウチがアンタのこと好きなの知ってるクセにw」
「あとさぁ、俺があいつにお前紹介したらさ、あいつは彼女できて俺もいいヤツになれるじゃんw」
「えーなにそれwサイコパス?www」
あんなに好きだったのにな。
でも、僕は誰が好きだったんだろう。
僕は何が好きだったんだろう。
今じゃもう、何にも分からない。何にも。
明るくて優しい君が好きだったのか。
恋する自分が好きだったのか。
君と過ごした時間が好きだったのか。
でももうそれらは全て粉々に砕け散った。
偽物の優しさ。偽物の笑顔。偽物の、偽物の……。
偽物を好きになってしまった自分。
偽物の時間。利用されるための時間。
失恋と幻滅。
その日から、僕は君と関わるのをやめた。
将来はきっと遠い街で暮らそう。そう決めた。
そして、もう恋なんかしないことも決めた。
僕の欠けて冷えた心には、そんなことしかできない。
もう元通りにはなれないから。
もう君を好きにはなれないから。
「正直」
今日は豪華4本(?)立てだよ!!!
゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚
「宇宙の危機」とやらが発生したせいで自称マッドサイエンティストがうちに住みつき始めて数ヶ月。自分は意図せずやかましい生活を送っている。
あいつは自分と違って、出掛けたり外で遊んだりするのが好きみたいだ。あと料理にも興味があるらしく、毎日のようにオリジナルレシピの開発に明け暮れている。
最近はヤツの後輩まで勝手に住み始めた……というよりも、
あいつに宇宙の危機となるものを勝手に持ち出した疑惑があるとかで、その監視のためにやって来たようだ。
新人だというのに、こんな重要な仕事を、しかも全く知らない土地で任せられて気の毒だな。
そんなこんなで今に至るが……正直言って、この生活はそんなに嫌いじゃない。
あいつらのおかげで……なんていうか、過去の孤独だった自分が救われるような、未来の自分まで満たされるような、そんな気がするんだ。
きっといつかこの生活も終わりを迎えるんだろう。
だから、せめて後悔のないように生きなくちゃ、だな。
゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚
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第712宇宙が質量を吸収されてから早4ヶ月!!!
なんとか原因を特定し、無力化に成功した!!!
しかし!!!なんということだ!!!
宇宙を吸収した存在をボクが勝手に持ち出したことになっているらしい!!!なんと「証拠」まであるんだってさ!!!
本部の連中よ!!!ちょっとは考えたまえ!!!
ボクがそんなことを起こすはずがないだろう?!!
だいたい、これだけ宇宙を愛して守り続けているボクが!!!
宝物を自らの手で傷つけるはずがない!!!
謂れのない罪を着せられ、下手をすればスクラップになりかねない……なんてね。ただボクは宇宙に暮らす彼らの居場所を、最後のその時までずっとそばで守りたい、それだけなのに。
正直、ちょっとやるせないね。
だが!!!こんなところでしょげているわけにはいかない!!!
だってボクはグレートなマッドサイエンティストだからね!!!
下手に動くことはできないが!!!
不正アクセスのログを誰が改竄したのかを調べる……前に、まずはきっちり事情聴取に応じなければならない!!!
事情聴取のために証拠品の準備をしなくては!!!
はぁ……参った。宇宙を吸収した彼女を目覚めさせなければならないが、目覚めの前に完全に宇宙管理機能を止めるのは大変だ。
まぁボクの手にかかればなんだってうまくいくけどね!!!
みんな!!!安心したまえ!!!
ボクが必ずなんとかするから!!!
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☸︎˳*✦︎∗︎˚೫˳♡︎˳೫˚∗︎✦︎*˳☸︎ ☸︎˳*✦︎∗︎˚೫˳♡︎˳೫˚∗︎✦︎*˳☸︎ ☸︎˳*✦︎∗︎˚೫˳♡︎˳೫˚∗︎✦︎*˳☸︎
憧れの宇宙管理士のマッドサイエンティストさんにお会いできて感激なのですぅ!
ですが、その方の管轄内の宇宙でトラブルがあったようで、なんだかとても大変そうなのですぅ……。
しかも、マッドサイエンティストさんがそんなことをされるとは思えないのですが、アーカイブ管理室から旧式の管理士を盗み出して悪いことをしようとした容疑がかかっているというのですぅ。
というわけで、最後にお話しをしたわたしがその方の居場所まで出向いて、身柄を確保することになったのですぅ!
ですが、マッドサイエンティストさんのご意向でわたしも拠点でトラブルが起こってから現在までのデータチェックと見張りをすることになったのですぅ……。
データチェックは苦手ではないのですがぁ……ものすごい量なのですぅ……。すぐには処理しきれませんよぉ!!
あれぇ……今ふと思ったのですがぁ、もしかしてわたし、人質にとられているのではぁ……?!
「これ以上ボクを疑うような真似をしたらこの子がどうなるかわからないよ……?」とか、そういうのなのですぅ?!
わたし、すごく怖いのですぅ……。
ただ、マッドサイエンティストがしていることで、正直気になることがあるのですぅ。
どうしてマッドサイエンティストさんは食べ物を食べるのでしょう?わたしたちは機械なので食事は必要ないのに……。
それから、すごいことなのは分かった上で思うのは、どうしてこんな小さな生き物たちのためにここまでできるのか、ということなのですぅ。
生き物どころか、星や銀河だっていつかは終わるのですぅ。
宇宙が消滅するのは流石におおごとですが、彼らが活動を停止することは宇宙規模で考えたら深刻なことではないのですぅ。
これらのことが理解できないのは、きっとまだまだ知らないことがたくさんあるからなのですぅ。
もっと勉強を頑張らなくちゃ、なのですぅ!
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2月くらいから続けて書いているこのお話ですが、正直に言えば作者自身がかなりいろんな設定などを忘れているのと、その時のノリで書いているのとで、最近内容がめちゃめちゃになっているような気がして仕方がないです……。申し訳ない……。
読みづらい内容だなぁと思い、反省も兼ねてこれまでの内容を彼らの視点でかなりざっくりとまとめてみました。
設定を忘れたらここを見ることにします( ´•௰•`)。
書くのは楽しくて好きなのですが、時間がなかなかとれずいつも1日遅れで投稿しているので、できればもっと文章を書くための時間を確保したいなぁと思っております。
ここまで読んでいただきありがとうございました✩︎°。⋆︎⸜(ू。•ω•。)
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