「狭い部屋」「誰にも言えない秘密」6/4、6/5
ほぼほぼ完成していたのだが!!!投稿する前に内容が消えてしまったので昨日と今日の分をまとめて投稿するよ!!!なんということだ!!!泣いてもいい?
+゚*。:゚+.゚*。:゚+.゚*。:゚+.゚*。:゚+.゚*。:゚+
ボクが管理する宇宙が危機を迎えたが、なんとか収束させることが出来た!!!あとはどう処理するかを決めるだけ……そう思っていたのに!!!
なんとこの騒動を起こしたのがボクだということになっている!!!アーカイブ管理室からボクが危機の原因となったものを持ち出したという「証拠」もあるらしい!!!
明らかに「改竄された」ログとやらがあるせいで!!!ボクには逮捕状が出されている!!!
全く訳がわからないよ!!!
このまま無抵抗でいれば碌なことにならない!!!
だが動きすぎるとさらに疑われる!!!
ボクはのんびりまったり仕事をしつつ平和に暮らしたいだけなのだが!!!どうやらそううまくはいかないらしい!!!困ったね!!!
だいたい、よりにもよってこの超可愛くて超優秀なボクをこうも大体的に陥れようなんて、真犯人は大胆不敵極まりない!!!許すまじ!!!
そろそろあの狭い部屋で取り調べを受けなくてはならないことだろう。あまり時間は残されていないが、せめてできることはしなければ!!!
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「ねぇ新人くん!!!聞きたいことがあるんだが!!!」
「はい、何でしょうかぁ?」
「事情聴取ってさぁ、リモートで受けちゃダメかな???」
「えぇ……一応聞いてみますがぁ、情報漏洩対策のためにおそらくできないかとぉ……。」
「もうひとつ聞いてみるが、取り調べって100年はかかるよね???2時間ぐらいで終わらせられないかな???」
「100年を2時間で?!……本部に相談はしますがぁ……。」
「……話はしてくれるんだね。というか、キミはボクの身柄を確保しにきたはずだろう?しれっとボクの味方しちゃっていいのかい?」
「あぁ、そうですぅ。ホントはダメなのですぅ。」
「でも、憧れの先輩が窮地に陥っているのを見ていて不安にならずにはいられませんよぉ!」
「よ〜しよし!かわいいかわいい!」「わぁ〜〜!」
「ところで、ボクのデータの解析は済んだのかい???」
「もちろんですぅ!」
「途中で追加データを渡して悪かったね!!!事件発覚以前のデータも渡さないと詳細がわからないから資料としてよろしくないと思ったのだよ!!!」
「賢明なご判断ですぅ!」
「さすがボクだねえ!!!」
「そうそう、で、キミの解析結果を教えてくれたまえよ!!!」
「わたしがデータを解析した結果、あなたがクロである可能性は0.000001%以下なのですぅ!」
「その通り!!!実際は0.000000%なのだが!!!」
「なにを根拠にそう判断したんだい???」
「えぇと、まずは感情のデータを読み取ったところ、ほとんど安定していたのですぅ。それからぁ、事件前に検出されるはずの悪意が確認できなかったことも挙げられますぅ。」
「それからぁ、事件発覚から対象の無力化まで、非常に迅速に対応されていたのですぅ。」
「あとぉ、強いていうならば、成果に対する執着よりも宇宙に対する愛が大きいことも根拠なのですぅ!」
「当〜然っ!!!」
「ただひとつ気になったのはぁ、1ヶ月ほど前でしょうかぁ、とんでもない量の『怨念』を検知したのち、1日近く活動が停止していたことなのですぅ。」
「一体、あなたに何が起こったのですぅ……?」
「あぁ、あれね!宇宙を吸収した原因が宇宙を怨念に変換してボクに全部突っ込んだのさ!ま、今はこの通り元気いっぱいだが!!!」
「宇宙約ひとつ分の怨念を?!そんなことをされたら普通修復不可能になってしまうのですぅ!よくぞご無事でぇ!」
「その時ボクを診てくれた整備士は叩いたら治るとか言っていたが!!!ボク以外じゃそうはいかなかったろうね!!!ハハハ!!!」
「そうだねぇ……キミの解析したデータと整備士くんの証言、それから現在凍結状態にある『証拠品』が出揃えばきっと嫌疑は晴れるはずだ!!!」
「にしても、ボクを亡き者にしようとするなんて!!!相手が悪すぎたねえ!!!」
「まあそれはいいとして、念のためにしておきたいことがあるのだよ!!!」
「しておきたいこと、なのですぅ?」
「そう!!!ボクは絶対にここに戻ってくるつもりではいるが、万が一のことがないとは言い切れない!!!だから、ニンゲンくんに挨拶をしておきたいのさ!」
「なるほどなのですぅ。」
「だから、ニンゲンくんが起きるまでちょっと待ってもらってもいいかい?」
「……少しだけですよぉ。」
「礼を言うよ!!!」
……せめて後悔のないようにしないとね。
狭い事情聴取用の部屋ではうまく立ち回らないと。
宇宙のためにも、キミのためにも。
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ボクは今から事情聴取を受ける。
ただ「詳しい話」を聞かれるだけだから、いきなり危険な目に遭うことはないだろう。
とはいえ、キミにそんなことを正直に伝えたら混乱させてしまうだろう。まあキミのことだから何にも気にしないかもしれないが。
だから、キミには本部に用事が出来たから少し家を空けるという体で外に出た。いつもありがとう、体には気をつけるんだよ。そう言って家を出た。
……逮捕状が出されていることも知られている以上、キミには「ただの用事」だと思われていないかもしれないが、それでも、出来るだけ心配をかけたくなくてね。
……そういえば、ボクがキミの名前を呼ばない理由を説明していなかったなぁ。でも、説明するわけにもいかないから、ここにきて以来そのことをずっと黙っていた。
なんせ、ボクの誰にも言えない秘密、かつ重要な機密事項に触れることになってしまうからね。
本当は、ボクだってキミの名前をたくさん呼びたかったよ。
だが、ボクにとって「誰かの名前を呼ぶこと」は、服従の象徴のようなものなのだ。
だから、もしキミの名前を呼んでしまったがために、キミがボクの傀儡になってしまったら。そう考えると悲しくて、恐ろしくてたまらない。
だから、ボクはキミの名前を呼ぶことができない。
……ボクは本当の名前を呼ばれると、あの旧型の宇宙管理士と同じように、必ずその後の指示に従わなくてはならない。
「眠れ」と言われたら眠るし、「消えろ」と言われたら消える。そんなふうに作られているんだ。
でも、一回くらい、キミに名前を呼ばれたかったなぁ。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎って、呼んで欲しかったなぁ。
……なんて、ね。
「失恋」
あんなに好きだったのにな。
でも、僕は誰が好きだったんだろう。
僕は何が好きだったんだろう。
今じゃもう、何にも分からない。何にも。
゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚
小さい頃、君が人見知りだった僕を遊びに誘ってくれたのが全ての始まりだった。明るくて朗らかな、どこへ行っても人気者の君が、僕なんかと友達になってくれるとは思ってもみなかった。
小学校に入っても、君は僕と仲良くしてくれた。
本ばかり読んで、楽しく話すことも一緒に外で遊ぶこともないからってクラスのみんなからいじめられた時でさえ、君は味方でいてくれた。
こんなことをしたら君だって酷い目に遭うかもしれないのに。
……こんなことを思ってはいけないんだろうけど、いじめられる度に君に守ってもらえると、君にとって僕が大切な人なんだと自覚出来るような気がして、苦痛ながらも嬉しさを感じていた。
実際はただの現実逃避だったのかもしれないが。
中学に上がっても、君は変わらず太陽みたいだった。
キラキラグループに属しながらも、隙を見ては僕と話をしてくれた。
そんな暇なんてなさそうなのに、映画を見に行ったり、夏祭りに行ったりと一緒に出かけてくれて、その時はまるで君を独り占めしてるみたいだった。あれが優越感ってやつだったのかな。
でも、君といると嬉しさと同時に不安も感じていたんだ。
明るい君と暗い僕は、明らかに釣り合わない。
僕が君の足枷になっていないか、不安で不安で仕方なかった。
そんなある日、ふと気付いた。自分の気持ちというか、君に対して抱く感情に。
幼い頃の、友達に対する「好き」とは別のなにか。
それの正体がわかるのにそう時間は要さなかった。
ある時いとこが持ってきた少女マンガに書かれていた「恋心」。
初めて読んだ時は理解できなかったが、今ならわかる。
君に抱いているのはまさしく「恋心」だった。
僕は、生まれて初めての恋をしたんだ。
君の笑顔も、綺麗な黒髪も、大きな手も、優しさも明るさも全部好きだった。
声を聞くたびに、一緒に家まで歩くたびに、嬉しさと苦しさが同時に襲ってくる。
せめて君には気づかれないようにしなければ。
この恋は、きっと実らないから。
だって君も僕も、おんなじ性別だから。
いくら今が多様性の時代だからって、僕のせいで君までそういう目で見られて欲しくない。
君に気味悪がられるのはもっと嫌だ。
この気持ちが届かないって分かってるんだから、せめて少しでも長く一緒にいたい。
恋人になりたいな。
そんな気持ちを抱くのは間違いだ。
一緒にいたい。この気持ちを伝えたい。
君と僕じゃ見た目も中身も全然釣り合わない。
君のためになることをしたい。
今の僕が出来ることは想い人から離れることだろ。
悩んでいるうちに、ついに高校生になってしまった。
そんなある日、君は僕にこんなことを聞いてきた。
「好きな人っていんの?」
僕はうまく答えられなかった。
「君が好きだ」って言いたいのを我慢するだけで精一杯だった。
でももう耐えきれない。この気持ちを伝えなくちゃ。
゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚
そんな話をしてから何日かたった頃の放課後、僕は君に呼び出された。話があるらしい。僕も大事な話があるとなんとか伝えた。
君の後をついていくと、静かな教室に着いた。
教室に入って、僕は後悔した。
君しかいないと思っていた教室に派手な女子がいたのを見て、僕は本当にがっかりした。
その子はかつて僕をいじめていた女子だったんだ。
その時の恐怖を思い出して身体が竦む。
「いや、お前もさ、もう高校生なんだから彼女くらい作っといた方がいいと思って。いいヤツだからお前に紹介しよっかなぁって。」
「ふーん。陰キャくんもおんなじ高校だったんだーw」
「そ、そっか、そうなんだ……。ありが……とう。で、でも気持ちだけ受け取るよ。」
「僕からの提案なんだけどさ……君と彼女の方がお似合いなんじゃないかな……?」
「お、マジ?!いいじゃーん!」
「それじゃ俺たち、付き合っちゃう?」
「ってことでよろしくーw」
「まさかお前が恋のキューピッドになるとは思ってなかったよ!」
「恋愛成就の陰キャ地蔵作んなきゃじゃんw」
「んで、お前の大事な話って何?」
「いや、忘れた……。どうかお幸せに。それじゃあ。」
頭が真っ白のまま、誰もいない自習室に逃げ込んでしまった。
初めての恋、初めての失恋で混乱して、涙すら出ない。
呆然としていると、彼らの話し声が聞こえた。
耳を疑うような内容だったので、夢だと思いたかった。
でも今日できた切り傷と心が痛むのが僕を現実に引き戻した。
「なんでアンタはウチをあんな陰キャに紹介しようとしたん?」
「え、あいつだったら絶対断るだろうと思ったから。なんていうかその、えー……っと正攻法で告ってもムズイかなぁって。」
「なにそれwウチがアンタのこと好きなの知ってるクセにw」
「あとさぁ、俺があいつにお前紹介したらさ、あいつは彼女できて俺もいいヤツになれるじゃんw」
「えーなにそれwサイコパス?www」
あんなに好きだったのにな。
でも、僕は誰が好きだったんだろう。
僕は何が好きだったんだろう。
今じゃもう、何にも分からない。何にも。
明るくて優しい君が好きだったのか。
恋する自分が好きだったのか。
君と過ごした時間が好きだったのか。
でももうそれらは全て粉々に砕け散った。
偽物の優しさ。偽物の笑顔。偽物の、偽物の……。
偽物を好きになってしまった自分。
偽物の時間。利用されるための時間。
失恋と幻滅。
その日から、僕は君と関わるのをやめた。
将来はきっと遠い街で暮らそう。そう決めた。
そして、もう恋なんかしないことも決めた。
僕の欠けて冷えた心には、そんなことしかできない。
もう元通りにはなれないから。
もう君を好きにはなれないから。
「正直」
今日は豪華4本(?)立てだよ!!!
゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚
「宇宙の危機」とやらが発生したせいで自称マッドサイエンティストがうちに住みつき始めて数ヶ月。自分は意図せずやかましい生活を送っている。
あいつは自分と違って、出掛けたり外で遊んだりするのが好きみたいだ。あと料理にも興味があるらしく、毎日のようにオリジナルレシピの開発に明け暮れている。
最近はヤツの後輩まで勝手に住み始めた……というよりも、
あいつに宇宙の危機となるものを勝手に持ち出した疑惑があるとかで、その監視のためにやって来たようだ。
新人だというのに、こんな重要な仕事を、しかも全く知らない土地で任せられて気の毒だな。
そんなこんなで今に至るが……正直言って、この生活はそんなに嫌いじゃない。
あいつらのおかげで……なんていうか、過去の孤独だった自分が救われるような、未来の自分まで満たされるような、そんな気がするんだ。
きっといつかこの生活も終わりを迎えるんだろう。
だから、せめて後悔のないように生きなくちゃ、だな。
゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚
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第712宇宙が質量を吸収されてから早4ヶ月!!!
なんとか原因を特定し、無力化に成功した!!!
しかし!!!なんということだ!!!
宇宙を吸収した存在をボクが勝手に持ち出したことになっているらしい!!!なんと「証拠」まであるんだってさ!!!
本部の連中よ!!!ちょっとは考えたまえ!!!
ボクがそんなことを起こすはずがないだろう?!!
だいたい、これだけ宇宙を愛して守り続けているボクが!!!
宝物を自らの手で傷つけるはずがない!!!
謂れのない罪を着せられ、下手をすればスクラップになりかねない……なんてね。ただボクは宇宙に暮らす彼らの居場所を、最後のその時までずっとそばで守りたい、それだけなのに。
正直、ちょっとやるせないね。
だが!!!こんなところでしょげているわけにはいかない!!!
だってボクはグレートなマッドサイエンティストだからね!!!
下手に動くことはできないが!!!
不正アクセスのログを誰が改竄したのかを調べる……前に、まずはきっちり事情聴取に応じなければならない!!!
事情聴取のために証拠品の準備をしなくては!!!
はぁ……参った。宇宙を吸収した彼女を目覚めさせなければならないが、目覚めの前に完全に宇宙管理機能を止めるのは大変だ。
まぁボクの手にかかればなんだってうまくいくけどね!!!
みんな!!!安心したまえ!!!
ボクが必ずなんとかするから!!!
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憧れの宇宙管理士のマッドサイエンティストさんにお会いできて感激なのですぅ!
ですが、その方の管轄内の宇宙でトラブルがあったようで、なんだかとても大変そうなのですぅ……。
しかも、マッドサイエンティストさんがそんなことをされるとは思えないのですが、アーカイブ管理室から旧式の管理士を盗み出して悪いことをしようとした容疑がかかっているというのですぅ。
というわけで、最後にお話しをしたわたしがその方の居場所まで出向いて、身柄を確保することになったのですぅ!
ですが、マッドサイエンティストさんのご意向でわたしも拠点でトラブルが起こってから現在までのデータチェックと見張りをすることになったのですぅ……。
データチェックは苦手ではないのですがぁ……ものすごい量なのですぅ……。すぐには処理しきれませんよぉ!!
あれぇ……今ふと思ったのですがぁ、もしかしてわたし、人質にとられているのではぁ……?!
「これ以上ボクを疑うような真似をしたらこの子がどうなるかわからないよ……?」とか、そういうのなのですぅ?!
わたし、すごく怖いのですぅ……。
ただ、マッドサイエンティストがしていることで、正直気になることがあるのですぅ。
どうしてマッドサイエンティストさんは食べ物を食べるのでしょう?わたしたちは機械なので食事は必要ないのに……。
それから、すごいことなのは分かった上で思うのは、どうしてこんな小さな生き物たちのためにここまでできるのか、ということなのですぅ。
生き物どころか、星や銀河だっていつかは終わるのですぅ。
宇宙が消滅するのは流石におおごとですが、彼らが活動を停止することは宇宙規模で考えたら深刻なことではないのですぅ。
これらのことが理解できないのは、きっとまだまだ知らないことがたくさんあるからなのですぅ。
もっと勉強を頑張らなくちゃ、なのですぅ!
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2月くらいから続けて書いているこのお話ですが、正直に言えば作者自身がかなりいろんな設定などを忘れているのと、その時のノリで書いているのとで、最近内容がめちゃめちゃになっているような気がして仕方がないです……。申し訳ない……。
読みづらい内容だなぁと思い、反省も兼ねてこれまでの内容を彼らの視点でかなりざっくりとまとめてみました。
設定を忘れたらここを見ることにします( ´•௰•`)。
書くのは楽しくて好きなのですが、時間がなかなかとれずいつも1日遅れで投稿しているので、できればもっと文章を書くための時間を確保したいなぁと思っております。
ここまで読んでいただきありがとうございました✩︎°。⋆︎⸜(ू。•ω•。)
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「梅雨」
いつの間にやら、もう6月に入った。
ほんの少し前までツツジやネモフィラ、チューリップが満開だなんて思っていたのに、今や梅雨の時期に差し掛かっている。
「時の流れのなんと早いこと!!!」
「えっ、そんな長い間居候をされているのですぅ……?」
「居候じゃなくて『共・同・生・活』ね!」
いや、居候でt「黙らっしゃい!!!」はい。
「それはそうと!!!そろそろアジサイが綺麗な季節がやってくるよ!!!というわけで早速見に行こうじゃないか!!!」
「あじさい……とは?」
「あぁ、新人くんは来たばかりだからこの宇宙のことはほとんど何にも知らないよねぇ!!!」
「でも安心したまえ!!!ボクのデータを共有するから、それを参考にするといい!!!」
「ありがとうございますぅ!」
「ふむふむ……分かったのですぅ!アジサイというのはこの地域では今頃花を咲かせるのですねぇ!」
「その通り!!!おとなしい植物だから襲われる心配はない!!!しかし、ニンゲンが食べると中毒を起こしてしまうから気をつけたまえよ!!!」
「とにかく!!!百聞は一見にしかずだ!!!データを見るだけじゃ面白くないだろう?!!一緒に観に行こうじゃないか!!!」
逮捕状を出されている身だとは思えない程大胆なのですぅ……。
「時には大胆であることも大事なのさ!」
あんたは「時に」じゃなくて「いつも」大胆だろ。
「それじゃあ出発だ!!!」
ところで、この辺りにアジサイがたくさん見られる場所なんてあったか?全然心当たりがないんだが……。
「山の麓に土砂崩れを防ぐ目的でアジサイが植えられた場所があるようだよ!!!そう遠くはない!!!ほら、歩くよ!!!」
「あのぉ、ちょっと疑問なのですがぁ……。」
「ん???」
「歩かなくても瞬間移動などをすればよいのでは……?」
「キミ……目の付け所がいいね!!!」
「もちろん!!!瞬間移動でも時間遡行でも、便利なものは使った方が楽だと思うよ!!!」
「だが、あんまりそういうものにニンゲンくんを触れさせてばかりいると、万が一突然ボクらがいなくなった時に相当苦労するだろうと思ってね……ただでも出不精だから。」
へぇ……出不精で悪かったな。
「いやぁ?!!便利な世の中になったからこそ、キミだって出不精でいられるんだ!!!何というべきか、出不精でいられるように文明の利器を駆使している訳だろう?!!」
「出不精なことを悪いことだとはボクは思わないが!!!科学技術の発展に感謝しておいた方がいいと思うよ!!!」
確かに、それはそうかもな。
「それはともかく!!!あくまでボクの方針として!!!この星では、むやみやたらにチョーカガクの力を借りることはしないのさ!!!」
「なるほどなのですぅ!」
「その調子で、気になることがあればどんどん聞いてくれたまえ!!!」
「あ、逆にボクが聞いてもいいかい?!!気になるから!!!」
「はい、なんでしょうぅ?」
「キミ、どうしてボクの居場所が分かったんだい?」
「ここは第712宇宙のバックアップ内だ。バックアップとは名ばかりで、今はこっちが実質本番環境みたいなものとはいえ、そう易々と誰かにアクセスされるようにはしていない。」
「要するに、非常に見つけづらいはずのこの場所を、いとも簡単に発見、そしてアクセスした方法を説明したまえ。」
「えーっとぉ……マッドサイエンティストさんに頂いた桜餅のデータを解析して、どの宇宙のどの辺りで作られたものなのかを突き止めたのですぅ。」
おい。あんたはこんなタイミングで足跡を残しまくったのか。
こんな雑な仕事をボクがするわけない、とか言いながら証拠品をがっつり残してるとか……。ますます疑われるだろ。
「……さすがだね!結果的にキミへのプレゼントが仇となった訳だが!!!よく仕事ができる仲間が出来て、アーカイブ管理士たちも大助かりだねぇ!!!ハハハ!!!」
「一応言っておくが!!!ボクはアーカイブを勝手に持ち出して使用するなんてことはやってないから!!!」
「さて!!!そろそろアジサイが見えてくるはずだ!!!」
やっと山の麓にたどり着いた。土と草のにおいがする。
昨日の夜降った小雨のせいか、じめじめしてぬかるんでいる。
「わわっ!」新任の管理士が足を滑らせる。
足元気をつけるんだぞ。「すみませんですぅ。」
「おや!!!見えるかい?!!あれがアジサイだ!!!」
後輩を置いていくなよ、なんて思いながら目をやった。
紫や青、明け方の空みたいな薄紫、淡いピンクに白と、色とりどりのアジサイが植えられている。
色だけでなく、花びらの大きさやつき方も多種多様だ。
「花びらみたいな部分、実は花びらではなく萼なのですよぉ!」
がく?あぁ、花びらの付け根の部分のアレか。へぇ。
「ねーねー!!!この中にハートの形のアジサイってあると思うかい?!!見つけられたらいいことがあるらしいと聞いたから探したいのだが!!!」
「へぇ!気になるのですぅ!わたしも探すのですぅ!」
仕方ない。探すか。
「お!!!これはどうだろう!!!ハートに近い形に見えるのだが?!!いや……ハートと呼ぶには少々丸っこいか……。」
「なかなか見つからないのですぅ……。」
うーん。何となく思ったが、多分特定の角度から見た時にしかハートっぽくならないんじゃないか?
「そうだね〜……キミの言う通りだと思うよ。……あ!これ!!!」
そう言って指を差した先には、見事なハート型のアジサイがあった。本当にあるのかよ。
「これも写真に撮って保存しておかなくては!!!」
「わぁ!かわいいのですぅ!」
はしゃぐふたりの背中を見つめた。
小さいきょうだいみたいだな。
「ほら、ニンゲンくん!!!キミもちゃんと見たまえ!!!」
「そうですよぉ!せっかく見つかったんですからぁ!」
嬉しそうに笑い合うふたりを見て思った。
この星、というか自分が見ている世界にはもう、喜びも楽しみもないって、そう思ってた。
でも、もしかしたらそれは違うのかもしれない。
無邪気に話をする彼らに対して、何かこう、言い表せない不思議な感情が芽生えてきたんだ。
優しさ?慈悲?母性……はなんか違う気がするが。
とにかく、彼らが見ている世界を守りたい、みたいな感情?
自分にできることなんてたかが知れているだろう。
だが、彼らのためにも、もっと満たされておきたい。
……なんてことを考えていた。
「無垢」
いつも通り朝が来て、いつも通り起きる。
いつも通り自称マッドサイエンティストに挨拶して、いつも通りそいつが作った朝飯を食べる。
ただただありきたりな日常を送っているだけなのに、いつの間にか心が曲がって擦れて汚れる。
ひとの、自分の汚い所ばかり目について嫌になって。
そのうち夢も希望もなくなって。
ただただ日常をやり過ごすだけになる。
それに比べてあんたは、自分よりもずっと長い間宇宙管理の仕事をしているのに、純粋というか、無垢とでも言うべきか。
とにかくまっすぐなままなんだ。
「無垢かあ!!!キミにはボクがそんな風に見えているんだね!!!参考になるよ!!!」
「ボクは宇宙一仕事をしているマッドサイエンティストだ!!!だからいろんなものを見てきたのさ!!!暖かいものも、冷たいものも!!!」
「だからボクはキミの思うような『無垢』な存在とは言えないかもしれないね!!!」
「だが!!!ボクは宇宙を愛して守りたいのさ!!!冷たさにも暖かさを見出し、たとえどれだけ拒絶されたとしても手を差し伸べる!!!そうありたいのだよ!!!」
「ところで無垢といえば、少し前に新任のアーカイブ管理士に会ってね〜!!!まだまだ小さく極めて愛らしい!!!ボクには及ばないが!!!」
「それって、わたしのことですかぁ?」
「そうそう、キミのこと……」
「「え???」」
自称マッドサイエンティストの喉から変な音が出た気がする。
……というかあれは誰なんだ?!お前の知り合いは鍵掛けてるはずなのに勝手に上がってくるやつばっかりじゃないか!
「あああのぉご無礼を働き申し訳ないのですぅ!」
「わたしは新任の公認宇宙管理士ですぅ!アーカイブ管理室に所属しているのですぅ!よろしくおねがいしますですぅ!」
「おやおやおはよう……。さっき会ったばかりだと思うのだが、ボクに何か用かい?」
「はいぃ!あなたに逮捕状が出ているのですぅ!」
「「は?!!」」
お前、何やったんだよ?!逮捕状?!!
「間違いなく濡れ衣だよお!!!」
「えぇ、と……。仮にボクに宛てた逮捕状があったとして、なぜアーカイブ管理士のキミが来たんだい?」
「最後にわたしにお話しされた言葉が変だったから、ですぅ!」
「ボクが話した言葉が?……あっ。」
あってはいけない心当たりがあるのか。
「『急用を思い出したから』っていう言い回しのことだね?」
「さすがマッドサイエンティストさん!大正解なのですぅ!」
「はぁ……全く。」
「アーカイブに不正アクセスして旧宇宙管理士を勝手に持ち出し、罪から逃れようと本部からの逃亡は、流石に看過できない……とのことですぅ。」
お前、そんなことしたのか?
「だから!!!してないって!!!」
「そもそもそんなことをしてボクが得すると思うのかい?!!」
「そんなハイリスクな自作自演など行いたくはないよ!!!」
「新人くん、迅速な対応は評価に値するよ。だが、キミも分かっているはずだ。」
「ボクはやってない!!!や っ て な い ! ! !」
「そうだねぇ……納得がいかない以上、ボクかてそう易々と引き下がるわけにもいかない。とはいえ、このまま放置するのはもっとまずい事になる。」
「よーし!!!ボクも腹を括った!!!」
「新人くん!!!ボクが変なことをしていないことを証明するために!!!ここでボクを見張りたまえ!!!」
「えっ、えぇーっ?!」
「そしてトラブル発生以降のボクの全データをチェックし、本部に転送するといい!!!分かったね?!!」
「よーし……。」
「画面越しにこっちを見ている本部の皆さん!!!今の発言は聞いていたね?!!これから新人くんがボクのことをしーっかり監視する上、データのチェックも行ってくれる!!!」
「この子の初仕事だ!!!暖かく見守りたまえよ!!!」
「う、うわぁーなのです!」
「これでキミも後には引けないね。」
新人……の桜色の髪と深緑の瞳が震えている。気の毒だ。
というか、監視するっていうことは居候がひとり増えるってことだよな……?
本物の無垢と無垢だと思っていた存在を見比べて、これからさらに騒がしくなりそうな生活のことを考えることくらいしかできなかった。