秋。
夏に比べると、日差しが徐々に弱くなり始めて、昼間で太陽が出ていても過ごしやすい。
空気もだんだん涼しくなって、外全体が柔らかくなる気がする。
まだ温かさの残ってるこの時期が一番好きだ。
家事をひと通り済ませ、縁側にゆっくり腰を下ろす。
今日は晴れていて雲も少なく、少し青みの強い空が広がっている。
やるべき事を終えて、ここで空を見ながら休憩するのが、主婦である私のルーティン。
ちなみに外に出て心地がいい、春や秋にしかしない。
夏は暑すぎるし、冬では寒すぎるので基本家に引きこもってしまうのだ。
その代わり、この時期にめいっぱい日光浴をしておく。
風がそよそよと流れ、落ち葉を集めてくる。
葉っぱの色が茶色い。
そういえば、近くの公園のイチョウや紅葉が綺麗に色づいていた気がする。
植物の移り変わりも秋の醍醐味の一つだなぁと、見るのが楽しみになる。
コロッ
『ん?』
目の端に何かが転がるのが見えた。
転がってきたものの方を見ると、そこにはどんぐりがひとつ。
なぜこんなところに?と首を傾げる。
ふと当たりを見渡すと、茂みの方からガサガサ音がする。
ガサンッと音の主が茂みから頭を出す。
そこには、顔をキョトンとさせた狸がこちらを見ていた。
驚きつつも、どんぐりを拾い、たぬきに語り掛ける。
『あなたがくれたの?』
人の言葉が通じるタイプの狸ではなかったようで、そのままじーっと見つめられる。
しばらく無言の時間が続いたあと、狸はまた茂みに隠れてしまった。
改めて手の中のどんぐりを見つめる。
ツヤツヤとしていて、不思議と綺麗に思えた。
何か狸を助けた訳でもないのに貰ってもいいのだろうか、そもそもあの狸の仕業なのだろうか、とぐるぐる考えたが答えは出ない。
そのまま縁側に置いたまま何は気が引けて、少しの間玄関に飾ることにした。
かわいい狸さんからの小さなプレゼント。
せっかく頂いたのなら、少しでも大事にしたかったのだ。
こんなこともあるんだなぁと、少し心踊った10月の秋晴れの日でした。
#秋晴れ
僕は日記をつけていた。
高校に入った頃から10年間、毎日欠かさず書いていた。
どんなに忙しくても、その日の出来事や思ったことを書き綴っていた。
最愛の彼女が、病気になるまでは。
難病にかかってしまった彼女は、治療方法が見つからず、薬で症状を押えながら延命措置を施すしかなかった。
余命を宣告されても、徐々に体が思うように動かなくなっていても、彼女は笑顔だった。
そんな彼女を見ていたからか、僕は彼女を支えられるよう努力した。お見舞いもできるだけ行って、色々な事を彼女に話す。仕事の話、同僚の話、家族の話。楽しかったことを彼女に伝えていた。
他愛もない話を、ニコニコと聞いてくれた彼女が大好きだった。
仕事に行って、休日はお見舞いに行ってと目まぐるしい日々を過ごすこと一、二年。
彼女が天国へ旅立っていった。
その日も体調は安定していたが、いきなり様態が急変して、そのまま帰らぬ人になってしまったらしい。
僕は仕事中だったので、夜に彼女の母からの電話で知らされた。
前日も、彼女と話して笑いあっていたのに。
また旅行に出かけたいね、と未来の予定も立てていたのに。
来週本を貸すからねって約束したのに。
あっけなく病魔が彼女の命を奪っていった。
涙は不思議と出なかった。
むしろようやく苦しい闘病生活から開放されたのだ、どうかあっちの世界では安らかに楽しく過ごして欲しい、と安心の気持ちがあった。
でも、もちろん今までいた存在がいなくなるのは大きく、心にぽっかり穴が空いたようだった。
そこからはほとんど記憶が無い。
気づけば彼女の葬儀も一通り終わっていて、時間が過ぎていった。
そして先程、彼女の三回忌が終わった。
電車に揺られ、一人暮らししている家へ帰る。
ゆっくりネクタイを外し、椅子に座る。
部屋を見渡すと、少し物がごちゃごちゃとしていた。
彼女が亡くなってからの三年は自分の事にはもちろん気を遣えていないため、家事もしっかりやれていない。
そろそろ片付けるかと、のそのそと床に散乱している本やカバンを取ろうとしたその時。
バサッ
一冊の本が棚から落ちた。
なぜ今?と思い、拾いに行く。
落ちたのは自分がかつてつけていた日記。
もう何年も開いていないから、埃をかぶっていた。
『こんなところにあったのか。』
埃を手で軽くはらい、日記を開く。
そこには、彼女がまだ元気だった頃の日々が綴られていた。
映画に行った、彼女が家に来た、色々書いてある。
『ふっ、色んなところ行ったよな。』
懐かしいなとペラペラめくり、手が止まる。
あるページから字が違う。
日もだいぶ空いてから書いてあるが、その日付の頃は彼女はもう闘病中だったので、書いてる暇は無い。
これは紛れもなく、彼女の字だった。
彼女は短期間退院する事があった。
その際、よく僕の家に来ていたから、僕の目を盗んで書いたのかもしれない。
彼女の日記はとても短かくて、数ページだけ続いていた。
【 7/22
日記書いてないんだね。代わりに私が続き書いとく。
今日は仮退院日。体調も良いから気分もいいよ。】
『君らしいなぁ。久しぶりに会えてはしゃいでたよね。』
【 12/18
薬で体しんどいけど、君の家来れてよかった。
どうしても会いたかったの。
浮気してないかな。】
『するわけないだろ。僕には君しかいなかったんだから。』
【 3/3
ひな祭り!!ちらし寿司美味しかった〜君の料理好きだな。】
『病人なのに、沢山食べてたね。ちょっと心配だったけど嬉しかったよ。』
【 10/5
体調安定しなくてなかなか来れなかった。今日も朝はしんどかったんだ。私このまま死んじゃうのかな。】
『不安だったよね……言ってくれれば、良かったのに。』
視界が歪む。
ホロホロと涙が頬を伝った。
久しぶりの彼女の言葉たちに、嬉しさと寂しさを感じたのだ。
そして彼女が遺した日記の最後のページを開く。
【君へ。
きっともう私は長くない。
急に苦しくなるし、もしかしたら前触れもなく君の前から消えちゃうかもしれないけど、それでも許してね。
戦ったけど、もう負けそうなんだ。
もしかしたらこれを読む頃には、私はもう死んじゃっているかもしれないね。
私が居なくても、ご飯食べて、寝て、幸せになるんだよ?
私以外の人と付き合うな!なんて言わないから笑 】
彼女らしい文章に、ふっと笑ってしまう。
そういえば、こういう子だったなと。
【 あ、でも一つだけ。】
【誰かを愛していても、私の事はたまにでもいいから思い出してね。】
【2/15 あなたの幸せを願う者より。】
彼女が最後に残した願い。
きっとどんなにたくましい彼女でも、誰かの中に残っていたいと。僕の中で生きていたいと。忘れられたくないと願いたかったのではないか。
その憶測は、一度止まりかけた涙をまた流すには十分だった。
『……っ、忘れるかよ……忘れたくても!!忘れるわけないだろ!!』
日記を抱きしめて、うずくまる。
ただ静かに声を殺して泣いた。
その日初めて、僕は彼女の死に向き合う事ができた気がした。
#忘れたくても忘れられない
冷たい。
ぺたぺたと、冷たい床を裸足で歩いていく。
周りは暗くて何も見えず、一体どこに向かって歩いているのか、皆目見当もつかない。
ただ、足を止めることは出来ず、ひたすらに歩き続けるしかなかった。
『さ、むい。』
ひんやりとした空気が体全体にまとわりつく。
長袖とはいえ寝巻き一枚にはさすがに厳しい寒さだった。
ガタガタと歯が震え、腕を組む。
少しでも暖を取ろうとするが、全く暖かくならない。
それでも何もしないよりはマシなため、肩を強ばらせながら腕を組んで進む。
ぺた、ぺた、
ひたすらに歩く。
周りが暗いのでどんな所にいるのかは分からないが、冷たい無機質な床があるという事は、きっと屋内なんだろう。
だが、いくら屋内とはいえ、空気が冷たすぎる。
外にいるのではないかと言うくらい寒い。
いや、屋内にいるのはあくまで仮定の話だし、本当は外なのでは?とも考えたが、外でこんな土でもアスファルトでもない無機質な床がある場所なんて存在するのだろうか、と悩み始める。
ぽわ、
悩み続けていると、横の方が明るくなったのを感じた。
『あれは、?』
横の方が明るくなっていく。
暗がりの中で明るい場所に行きたくなるのは、生き物の本能な気もするが、それ以前に直感的に、私が向かうべき場所は “あの場所” なんだと思った。
しかし、足は横ではなくまっすぐと進もうとする。
簡単に軌道修正が効かない。
徐々に遠ざかっていく明るい場所。
『ま、って。私、あそこに行きたい!!』
前へ進む足に抗って横に進もうとする。
だが、自分の足のはずなのに言う事を聞かず、進み続ける。
『お願い!!言うこと聞いてよ!!ね、ぇえ!!……わぁっ』
ドサッ
上半身だけ横に向けようとしていたため、バランスを崩し、倒れる。
だが足だけは前へ進もうとする。
明るかった場所は、もうだいぶ遠ざかってしまったせいか徐々に暗くなっていく。
『な、んで、』
ホロホロと、自分の目から涙が出る。
ポタリと床に落ち、這っている自身の手に落ちる。
その涙が少しだけ温かく感じた。
その事が余計に心細さを助長していく。
『ここは……どこなのよ……』
倒れているのに、前だけ進もうとする足。
悴んで感覚が麻痺しつつある指先。
冷たい空気の吸いすぎで、痛く赤くなっているであろう鼻。
全く出口の見えない場所。
もう、体力的にも精神的にも限界になりつつあった。
ふわぁ
この場所全体の空気が変わる。
冷たかったのが急に温かくなり、真っ暗だった場所が徐々に明るくなってきた。
先程見た明かりとは違い、大きく優しく包み込む感じ。温かさも相まって、安心感を強く感じた。
『あったかい……』
ホッとしたせいか、私はそこで、
意識を手放した。
ピッピッピ……
規則的な電子音に目を覚ます。
目を開けると白い天井が見え、カーテンらしきものが見えた。
そして電子音の正体……心電図も見える。
そう、ここは病院だ。
『びょ、う、いん、』
「!!」
周りを見ると人が一人、声でこちらに気づき目を大きく開けて顔をのぞきこんでいる。
「気がついたんだね?」
その人は嬉しそうに涙を目の縁に貯め、いそいそと立つ。
「待ってね!!先生呼んでくるから!!」
病院だと言うのに走って病室を出ていってしまった。
状況が上手く読み取れないまま、私は窓の方を見る。
カーテンが半分閉まっているが、窓が開いているからか、風になびき時折外が見える。
外は快晴で、青空が広がり、日差しが心地よい。
そして、あの時私を助けてくれた、やわらかい光とどこか似ていた。
数日経ち、体力等も戻りつつあると同時に記憶も戻ってきた。
私はどうやら事故に遭い、意識不明の重体だったらしい。
起きた時にいた相手は恋人で、どうやら毎日泊まり込みで面会に来ていたそうだ。
病院関係者の方々にはご迷惑をおかけした……と申し訳なさそうにしていた。
そんな彼とリハビリついでに外を散歩しながら、話すことも増えた。
「でも本当に気がついてくれて良かった。」
『ご心配をおかけしました。』
「一時危なかったんだ。心電図がピーって鳴って本当に死んじゃうんじゃないかって。」
『そう、なんだ。』
ふと、この前見ていた夢を思い出す。
もし最初の光の方に歩いていたら、どうなっていたのだろう。
もしかしたら、あの光は私をあちらの世界へ誘う光だったのかもしれない。
とても魅力的に見えて、あの光に向かう以外の選択肢を考えられなかったほど。
そう思うと、私の足がひたすらに前へ進もうとしたのは、生きようとしていたからかもしれない。
この足に負けてよかったな、と思いながら自身の足を撫でた。
「あ!喉乾いたよね。飲み物買ってくるけど何がいい?」
『じゃあ、お茶を。』
「了解。」
ニコッと爽やかな笑顔を見せながら、自販機のある方へ走っていく。
サワサワと風が吹く。
秋の手前と言えど、とても暖かい気候で、お散歩日和。
太陽も出て、暖かく、光もとてもやわらかかった。
私は、今日も生きていることに感謝している。
#やわらかな光
秋になってくると日も短くなり、仕事から帰宅する頃には外はもう暗い。
家の明かりや街灯がつき始め、夜道を照らすようになる。明るかった帰り道が暗くなり少し寂しさもあるが、住宅街を通ると子供の楽しそうな声が家から聞こえてくる事もあるので、嫌いではなかった。
その日も、定時よりは少し遅れて退勤して、帰る頃にはもう夜になっていた。
一軒家の家から子供のドタバタと走る音やお母さんの声。色々聞こえて来ると同時に平和を実感する。
微笑ましいなと思って歩いていると、とある家が目に入った。
あかりがついていない平屋。
だが、窓は開いていてカーテンが風になびきゆらゆらと揺れている。
不用心だな、と思いつつその部屋を見るとカーテンがめくれ部屋の中が見える。
すると、女の子が泣いているのが見えた。
可哀想に思い、声をかけようかと平屋のそばに行こうとするとふと違和感を覚えた。
部屋の中は真っ暗なためなんにも見えない。
なのにどうして、 “女の子“ だけはっきりと見えるのだろう。
何か嫌な予感がした時にはもう遅く、
窓を見ると女の子がこちらを見ている。
急に寒気がした。
立ち去ろうにも目が合っているせいか、動けなかった。足が地面とくっついてるかのように動かすことが出来ないのだ。
目はクリクリとしていて、髪は長い。
お化けのようにおどろおどろしい姿はしていないが、動きがなんだかゆらゆらとしている。
きっとこの世のものではないのだろう。
そんな心霊経験をした事もなかったので、為す術なくその場に立ちすくんでいた。
ゆらゆらと揺れる女の子の動きがピタリと止まる。
ゴクリと唾を飲むと女の子が口を開いた。
「た、……たすけ、」
ビュオオオッ
女の子が何かを言いかけた途端部屋から風が吹く。
体も動かないので目をつぶって風を凌ぐしかできなかった。
風が止み、窓を見ると女の子の姿はなく何も見えない真っ暗な闇となっていた。
足も動くようになっていたので、早々に家へ帰宅した。
あとから近所の人に聞いた話では、どうやらそこの平屋にはある一家が住んでいたらしい。
最初は平和に暮らしていたものの、父親の浮気から始まり、離婚、そして母親の暴力により一緒に住んでいた娘さんが亡くなったそうです。
母親も逮捕され、その平屋はそれ以来誰も住んでおらず、空き家のままだそう。
一時期ニュースでも取り上げられていたらしいが、だいぶ前のようで見たことは無かった。
そして、父親と離婚したあと、母親が仕事に出ている間の夜は、女の子の鳴き声がここ近所に響いていたらしい。
もしかしたら、亡くなった今でも誰かに助けを求めているのかもしれないと思うと、胸が苦しくなった。
#カーテン
私は、ソフトクリームが好きだった。
バニラを頼むのが定番で、ソフトクリームが売っている場所では必ず買って食べていたのだ。
繁忙期が終わり、久しぶりの休日。
しばらく職場と家の往復でしか外に出ていなかったので、久しぶりに出かけることにした。
こうして家を出るのは何ヶ月ぶりだろうか。
ずっと家に引きこもっていたせいか、出かける時の楽しみ方というのも忘れてしまった。
ふらふらと、宛もなく歩いていると、ある看板が目に入った。
『ソフトクリーム……』
そういえば昔食べていた気がする……。
最近は胃に入ればなんでもいいと、適当にコンビニで買ったものばかり食べていた。
ソフトクリーム屋の誘惑に負け、私はレジカウンターへと進む。
「いらっしゃいませ!!何にしますか?」
ニコニコと店員さんが聞いてきた。
店員さんの眩しい笑顔に狼狽える。
『う……あ、バニラで、』
「バニラですね!!300円になります!!」
私のオドオドとした注文もしっかり聞き取り、笑顔で返してくれる。
急いで財布を取り出し、料金を払うと店員さんは元気よく返す。
「では少々お待ちください!!」
一言一言に元気や明るさを感じる。
接客業の鏡だなぁと、しみじみ思った。
店員のお姉さんに感心していると、あっという間にソフトクリームは完成していた。
「はい!どうぞ。」
ゆっくりバニラのソフトクリームを差し出してきたので、慎重に受けとった。
少し歩いて、道の広いところにベンチがあるのを発見したので、そこで食べることにした。
ぱくりと一口頬張ると、バニラの甘みがふんわり口の中に広がった。
『美味しい。』
ぱくぱくと食べていく。
食べていくうちに、この甘さが好きだったなとか、子供の頃落として大泣きしたなぁと思い出が蘇ってくる。
思い出せば色んな人と食べた気がする。
小さな頃は母と。
学生の時は友と。
そして、
かつて付き合っていた “彼” とも食べていた。
私はバニラ味を頼んで、彼はチョコ味を頼む。
お互い一口ずつもらって、「前のところよりも美味しい」とか『今度はそっちの味にしようかな』と何の変哲もない会話をする。
それがお決まりのデートだった。
『……あ、れ。』
涙がスっと頬を伝う。
そういえば、彼を失ってから泣いたのはいつだったか。
考えてみれば、最後まで笑顔で見送りたくて彼の前では泣かないように気を張っていた。
気づけば一人の時でも涙は出てこなくなった。
そうか、
今初めて、彼を亡くして泣けたんだ。
隣を見ても違う味を食べて笑う彼はいない。
その事実が胸を締め付けた。
『ふっ……うぅ……』
今まで貯めていたからか、涙を止めることは出来なかった。
その中でも、ソフトクリームを頬張る。
甘かったはずのソフトクリームはしょっぱい味がした。
「お姉さん!?大丈夫ですか!?」
先程の店員が血相変えてこちらに走ってきた。
きっと休憩時間だったのだろう。
「すみません!!味美味しくなかったですか!?あ、今からでも作り直しましょうか!?」
店員はアワアワと私の周りで動き回る。
時折、「どうしよう」とか「店長に相談……」と呟いている。
唐突な事だったので私はキョトンと店員さんを見てしまった。
慌てて動き回っている店員をベンチでキョトンと眺めている女性は、傍から見たら余程不思議な光景に見えるだろう。
『ふっ。ふふふ……』
とうとう堪えきれず、つい吹き出してしまった。
店員は急に笑い出した私を見て鳩が豆鉄砲食らったような顔になる。
そして涙を指で拭って答えた。
『いいえ。とっても美味しいです。』
#涙の理由