たやは

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10/17/2025, 7:05:56 PM

砂時計ほ音

タロット、四柱推命、風水に姓名判断、たくさんの占い師に占ってもらってきたけど、とれも当たらなかった。インチキだった。私の弱い心に付け入られただけ。
だって、今は恋愛もしてないし、仕事もしていない。

今はニートで引きこもりだ。どの占い師も私が、引きこもりになるなんて言ってなかった。みんな、ハズレだ。
もちろん、あれから占いなんて信じていない。嘘ばかりだと思っている。

ドンドン。ドンドン。

「お姉ちゃん。いつまて引きこもるつもり。いい加減にしてよ。こっちが気が滅入る」

いつも昼過ぎにやって来ては、ドアを叩き、大きな声で私を呼ぶ妹。はっきり言って面倒だ。早く帰れと思っていれば、いつもは適当に帰っていくが、今日はいつも以上に長引いていた。

「お姉ちやんさぁ、暇ならハワイ行こ。
綺麗な海と空、暖かい気候。楽しいよ」

いや。私行かないから。と思っていたのに妹に引きずられるようにハワイまで来てしまった。

推しの強い妹には勝てないなぁ。

でも、本当に綺麗な景色と優しい風、美味し食べ物、日本よりちょっと高いけどショッピング、全てが新鮮で驚きと楽しさの連続だった。

キラキラと輝くお店が並ぶ、ショッピングモールの一角に「fortune telling」、占いの文字。

その場に立ち止まってしまった私に気がついた妹がにこやかな笑みを浮かべながらこちらを見てくる。

「あれ?占い好きだっけ。行ってみよう」

妹に強く引かれ、占い師の前に座らせれた。

「何を占いましようか?あなたかの望みをかなえる近道となりますよ」


占い。
むかしは、よく行って行っていた。上手くいくと言われたのに、今1人の世界にいきている。

「何占い?日本語も大丈夫?」

「ええ。大丈夫ですよ。占いは、タロット、風水、なんでも。あなたの未来をみることもできます。この砂時計の砂が落ちきるまでの間だけ、未来に行くことができます」

未来?
私の未来は変わらないわ。ずっと、あの家で引きこもっているだけ。また、インチキだ。

「お姉ちゃん、占ってもらう?」

「わたしは…」

「さぁ、この砂時計を握って音を聞いてください。当たるも八卦、あならぬも八卦。」

いや。未来なんて見たくない。
ドタン。
急に立ち上がったため、椅子が大きな音をたてて倒れた。音に驚きいた妹と占い師が、私を見つめている。
先に、我に帰ったのは妹だった。

「やっば、占いやめます」

私の手を引き、占いの部屋から出た。

「占い、イヤなら先に言ってよね。まあ、ハワイで当たるも何とかなんて嘘ぽいよね。それに、未来なんて関係ないよ。今、楽しいのが1番でしょ。それより、あそこでご飯食べよう。ハワイフード食べたい」

妹らしい考え方だ。
また、妹に引きずられているが、イヤではない。むしろ、妹に引きずられるように回るハワイは、楽しいことばかりだ。今が1番なら、確かに楽しい。ハワイに来て良かったと思う。未来も、日本に帰ったあとの事も占いも関係ない、今を楽しもう。

占いに振り回される私は終にしよう。

10/16/2025, 11:25:48 AM

消えた星図

「あ!流れ星」

秋はだんだん空気が澄んてきて、流れ星が
よく見えるようになってくる。

「流れ星が消える前にお願いごとをすると叶うって本当なの?」

「本当かどうか聞かないでよ。夢がなさ過ぎでしょ。信じるものは救われるよ」

夜空を見上げれながら、ほろ酔い気分でフラフラと川沿いを歩く。他に歩く人もなく、明かりもほとんどないため、星がよく見える、

「あーあ。救われたい。結婚したい。彼氏欲しい。あーあ。」

「何それ。流れ星見てないじゃん」

「そうね。あ、でも、隣の部署の〇〇さん。長野の星座の見えるホテル?に泊まったら彼氏できたって言ってた。」

「それ関係ないでしょ。あのこ、元々可愛いし、彼氏なんてすぐにできるてしょ。」

他愛もない話しをしながら歩くと、秋の夜風が心地よく、気持ちいい。
空を見上げれば、また流れ星が光る。なんんとか流星群から流れてくる星々なのだろうか。星が次々と消えて行く。

「きれい〜。願い事しきれないよ。」

それから少しして、私たちには彼氏ができた。星に救われたのだろうか。
それは怪しいが、今は幸せだ。

10/16/2025, 3:47:30 AM

愛ー恋=?

愛ー恋=無償の愛というらしい。無償の愛は、見返りを求めない愛。確かに、娘たち、チワワのボタン、どの子も可愛い、可愛い我が子だ。何でもしてあげたい気持ちは良くわかる。

はあー。

味噌汁を作りながら、対面式キッチンの向こう、日当たりのいい場所にベットが置いてあるのが目に入る。
ベットに寝ているのは、脳梗塞で倒れ寝たきりとなった夫。
私たちは、大学のサークル仲間で!バイクの趣味もあい、すぐに恋人同士になった。若い頃は2人でツーリングやキャンプへ出かけ、アウトドア派を自称していた。
今は…。
夫は1日中ベットの上で、リハビリが上手く進まないと怒ってばかり。娘たちだけではなく、チワワのボタンも寄り付かない。むかしは優しい人だったのに病気になってから人が変わってしまった。

「あなた。お昼だから起きましょう」

夫の背中に手を置き、体を支える。

はあー。

私は何をしているのだろう。毎日、毎日、夫の世話で、自分のことなんて何もできない。
愛だ。恋だ。なんて言っていられる状況ではない。夫の世話をしながら、あれこれ愚痴や嫌味を言ってしまう私には、無償の愛は理解できない。
いつまで続くのか。悲しくなってくる。

「…あ、りが…とう…」

今日は機嫌がいいらしい。満面の笑みではなく、口はへの字にまがり、片目しか開いていない不格好な笑みだ。それでも、久しぶりに聞く感謝の言葉と夫の笑顔が見れて、少し気分が上がる。

無償の愛は注ぎきれないが、もう少しだけ頑張れそうな気がする。

10/14/2025, 6:59:49 PM



「好きなくだもの?綾ぱねぇ。リンゴでしょ、イチゴでしょ、みかん、バナナ〜。みーな好き。おねぇちゃんは、何か好き?」

大きな口を開けて笑う妹。なんだかこっちまで嬉しくなる。

「私は梨かな」
「えー。おねぇちゃん、くだものきらいなの〜」

え?
あ、あー。

「梨っていう果物よ。綾知らないの?」
キョトンとしてから、急に怒りだした妹。
「知ってるもん」
プリプリしながら、私の回りをドスドスと大きな足音を立てて歩き回る。分かりやすく拗ねているのだ。

ふ、ふ、可愛い。

あるから二十年近く過ぎて、今日は妹の綾の結婚式。おめでとう。綾。あんなに可愛かった綾がウェディングドレスを着ているなんて、時の経つのは早いものだ。

お色直しをした綾が新郎とテーブルへ回って来る。

「綾、おめでとう!」
「ありがとう。お姉ちやん。それ、好きでしよ」

私の前にはデザートの梨のコンポートが置かれていた。

10/13/2025, 12:10:20 PM

LaLaLa Goodbye

この道をまっすぐ進めば、あんたのいた場所へ戻れる。このまま行け。

確か仕事帰りに電車に乗って、ウトウトしちまって、あ、寝過ごしたって思って飛び起きた。
そしたら、誰も電車に乗っていなくて、慌てて次の駅で電車を降りた。
暗闇の中に佇む小さな駅だった。

やはり寝過ごして、いつも降り駅を越してしまったらしい。仕方がない。
反対側の電車に乗ろう。

いくら待っても電車が来ない。
だいたい今は何時だ?終電も過ぎた時間だろうか。
駅のホームでいくら待っていても埒が明かない。タクシーで帰るか。

駅を出ることにする。
駅前ならタクシー1台くらい停まっているだろう。
そう思ったが、駅前はなーにもなかった。
暗い夜道が続くだけ。

どうするか。だいぶ寝過ごして遠くまできてしまったらしい。
とりあえず、夜道を歩くことにする。
スマホで明かりを取り歩き出す。スマホの位置情報も反応なしだ。
どんだけ田舎なのか。帰れるのか心配になってくる。

どれくらい歩いただろうか。30分、1時間
分からないが、家の明かりらしきものが見えてきた。
良かった。タクシー呼んでもらえるかな。
そんなことを考えながら、その明かりが漏れる大きな茅葺き屋根の家のドアに手をかけようとした時、後ろから男に声をかけられた。

「おい!あんた、どこから来たんだ」

振り向くと軽トラの窓を開けて、若い男が声をかけてきた。

「え?あー。〇〇市です。電車で寝過ごしてしまって。はは」

男は驚いた顔を後に、「そうか」と言い、
途中まで車で送ってくれると言った。

「ありがとうございます。どうしょうかと困っていたんです。助かります」

小さな集落らしき場所のはずれまで車で送ってもらった。車を降りと男が道を指さす。

「この道をまっすぐ進めば、あんたのいた場所へ戻れる。このまま行け。ただし、途中で何が聞こえても無視しろ。振り向くな。いいな。さあ、行け。goodbyeだ」

「え?はい。ありがとうござました」

またスマホ片手に歩き出す。 
なんだよ。もう少し大きな道とか、駅とか、タクシー捕まるとこまで乗せてくれても良かったのに。ヒッチハイクよりひどいだろ。

あの家でタクシー呼んでもらえば良かったよな。
疲れて、愚痴が止まらない。

少し歩くと何か聞こえてくる

LaLaLa〜。

ん?なんだ。歌声?

LaLaLa〜。

やっぱり歌声だ。きれいな声だな。どっから聞こえてくるんだ。辺りをキョロキョロしようといた時、頭の中であの若い男の声が聞こえた。

「見るな!」

ひっ!
驚いて走れ出す。
なんで頭の中で聞こえるんたよ。
怖ぇー。
走りだすと、きれいな歌声もあとを付いてくるように追いかけくる。
なんなんだよ?
ウソだろ。

きれいな歌声を打ち消すように頭の中の声も響き続けた。正直、怖すぎて辺りを見ている余裕はなかった。

どれくらい走った分からないが、ガードレールの向こうに町の明かりが見える。
は?
ここどこの山だよ。
山の中にいたことを確認するために後ろを振り返った。

その時、鎌を振り上げたあの若い男が飛びかかってきた。

え?なんで?

次に気がついた時には、町の病院のベットの上だった。
生きていた。
いや、夢か?
でも頭の傷は大きく何か刃物で切られものだと警察が言っていた。
犯人を探しているらしいが、きっと見つからないと思う。

だってアイツ人間ではないからなぁ。
アイツの忠告聞かず振り返ったから怒ったのかな。
アイツもあの村も本当に存在するのかは分からない。でも、アイツは分かれ際にgoodbyeって言った。「さよなら」だけど、「神のご加護がありますように」って意味もあるらしい。逃がしてくれるつもりだったはずだ。
やっぱり間違えたのは、こちら側なのか。
あちらとこちらの境界線を勝手に越え行ってしまったのに、助けてくれようとしてくれたのに、しくじったのは自分だ。

あの茅葺きの家のドアを開けていたら。
あのきれいな声の主を探していたら。
自分はどうなっていただろう。
痛かったけど、感謝しかない。

おい。鎌鼬よ。
逃がすなら、優しくしてやらんか。

だって、俺は振り向くなって言ったのによ。振り向きやがってよ。人間なんて自分勝手でヘドがでるぜ。

まあ。人間もいろいろさ。
ねぇ。父さんもそう思いませんか。

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