たやは

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10/12/2025, 8:02:20 PM

どこまでも

車を停め石段を登始める。
よし!頑張るぞ。

はあ。はぁ
1159段、20分て登れるとか書いてあったけど、まだまだ先が見えない。
見上げれは、どこまでも続く石段。

「あんた。下ばっかり向いてないで振り返って景色見なさいよ~。綺麗よ〜」

前を歩く母の声に促され後ろを振り返ると、今まで登ってきた階段、そして、もう少し目線を上げれば町並みとキラキラ輝く海。

「お〜。海だ〜。確かに綺麗だね」

今日は風もなく、波は穏やかで太陽の光が反射して眩しくらいだ。
どこまでも続く海と空の青が交わり、水平線の境い目がぼやけている。

いい日だなぁ。

「さあ。休憩は終りよ。登りましよう」

母の掛け声でまた登り始める。

登っても、登っても階段。
はあ。はあ。
静かだ。自分の足音と息づかいしか聞こえない。

昨日は、会社でイヤなことがあった。いわゆる、クレームだ。
最初に対応したのは私ではないけど、結局は私にクレーム対応が回ってくる。
いくら謝罪しても「納得できない」を繰り返すお客様。
どうすればいいのか尋ねても「お前が考えろ」と怒鳴る。

これ、カスハラだろなぁ。
でも、横にいる上司もペコペコと謝り続づけている。

あーあ。
イヤなのと思い出した。
忘れよう。せっかくの休日。

また、石段を登り始める。
「良くないことがあるなら、お祓いがてら神社行こう」と母に誘われ石段を登り始めて30分。やっと終着点が見えてきた。

石段を登りきると少し開けた参道に出る

「まだ登るの…」
思わず肩を落とす。

「もう少しよ。頑張って」
母は元気だ。

ふと、参道から右に顔を向けると大きな看板が目に入る。

「ロープウェイ乗り場…。ちょっと、お母さん!ロープウェイがあるよ」

「ロープウェイ?あー。あんた、知らなかった」

「お母さんは知ってたの?言ってよ〜。ロープウェイが良かったよ。なんで石段登ったのよ。もう、疲れたよ」

「あんた。神様にお願いに来たのに楽することばっかりね。しつかり歩きなさい」

確かに母の言う事に一理はあるかもしれないが、ロープウェイ…。ロープウェイが良かたなぁ。

でも、参道に入ってから空気が変わった気がする。
しつかりお祓いして明日から頑張ろう。

10/11/2025, 10:51:06 AM

未知の交差点

あの交差点を曲がれは、逃げられる。
逃げるなら今だ。
あいつが、いないすきに。
楽しげに電話で話しているうちに。
逃げろ。
動け。私の足。そして、走れ!

見つかれば、また殴られる。蹴られる。
いや。殺される。

車の鍵が開いている。
ドアに手をかけ、一気に力を入れる。

「あ?待ちやがれ」

走れ。
走れ。
走れ。

あの交差点を曲がれは、私は自由になれる
未知の交差点だ。

「助けてください」

交差点を曲がった先にあるコンビニに駆け込む。

「私。ずっと監禁されていて…。助けてください」

あの男が慌てて追いかけてくるが、店長さんがバックヤードに隠してくれた。

「あんた。警察くるからな。逃げんなよ」

その後、警察が来て男は逮捕された。

あー。私はやっと解放されたのだ。
頬に一粒の涙が溢れた。

10/10/2025, 11:49:04 AM

一輪のコスモス

「お嬢さん。もう終にしませんか」

彼女は美しく整ったかんばせを私に向けた。強く力のある瞳が印象的な女性だ。

「どういう意味かしら?探偵さん。」

「もう、いいではありませんか。これ以上罪を重ねても意味ありません。イヤ。貴方を止められなかった罪は私にもある」

大きな瞳が瞬きを2回繰り返し、ニコリと笑った。

「私の罪?それはなんですの。私には
分かりかねますわ」

「貴方がコスモス畑に隠した秘密ですよ。
あー。もう警察が掘り起こしているころてすね。もちろん貴方1人では無理だか協力者がいれば少女1人を埋めるなんてたいしたことてはありません」

色白の顔がさらに青白くなる。そして、可憐な女性は、本当の姿を表す。

「私が殺めたとでも!そんな証拠はどこにあるのですか!無礼です」

美しいかんばせは、強く力のある瞳は、跡形もなく消え、そこには般若が佇んでいた。

「お嬢さん。その一輪のコスモスはどちらで手に入れましたか?コスモス畑のコスモスとDNA鑑定をすれば、同一の種類だと分かるはずです。」

屋敷のダイニングテーブルの上の一輪挿しにピンクのコスモスが揺れていた。

「な、何をおしゃっているのかしら。私は関係ないわ。あの男が勝手にやったことよ。そうよ知らないわ。」

「その男も捕まりますよ。貴方の使用人だ。言い逃れはできませんよ。お嬢さん。そんなにあの少女、妹さんがお嫌いでしたか。」

彼女がスカートを握り締めながら叫び声を上げた。

「妹!? 誰のことです。私には兄弟はいません。あれが妹!気味が悪い。あれは妖怪です。そうだわ。あれは妖怪。そうよ。私は妖怪退治をしたたけです。」

「お嬢さん…。」

ドンドン。
「警察です。失礼しますよ」

笑いながら、その場に崩れ落ちる彼女を警察が足早に立ち上がらせる。
連行される彼女は、振り向きながら再び笑った。

「探偵さん。あなたなら私を救ってくれると思っていたのに。あなたもあの妖怪の味方だった。たいした教養もないくせに男に媚びへつらう。あれは妖怪です。穢らわしい妖怪。でも、人を殺めてしまった私も人間ではいられない。さよなら探偵さん。」

探偵である私の罪は、貴女の秘密に気づきながら黙っていたこと。そして、貴女と対峙する勇気がなかったこと。
私はいつでも貴女の味方だ。永遠に。

10/9/2025, 10:43:55 AM

秋恋

秋に始める恋は長続きしやすいという。
本当だろうか。

私の恋はいつも上手くいかない。
なぜか振られる。
私は好きなのに相手は決まって、「俺のこと好きではないよな」と言う。
イヤ。好きです。

コミ障なのか。
口下手なのか。
なにがダメなのか分からないが、いつも上手くいかない。

寂しい。
独り身は寂しいよね。でも、いつも1人だし気楽かな。
おっと…。これがダメな原因らしい。
本当か?怪しい。

でも、前に教授が言っていた。
「秋は日照時間が減ることで、元気ややる気と関係する脳内物質「セロトニン」が減少し、寂しさや物悲しさを感じやすくなると考えられている」と。

そうか。日光浴における体内変化か。
納得できる結論だ。
では、私の失恋も太陽の動きに関係したもなのか。
それなら、仕方がない。
誰も自然には逆らえない。
納得だ。


それでも恋がしたい。
こんな私でも恋がしたい。
秋からの長続きする恋をするために、エステに美容院の予約をしないと。
次にくる恋が本物でありますように。
私の最後の恋になるように。

待ってろ!
秋恋!

10/8/2025, 7:16:58 PM

愛する、それ故に

お前はここにいればいい。
誰にも渡さない。
お前は私だけのものだ。

なあ。
小百合。
お前が生まれた時から、ずっとずっと見てきた。
お前は成長するにつれ、色艶が増し、少しづつふくよかになっていく体。
見ているだけで、ゾクゾクとした喜びが込み上げてくる。

あー。
可愛い。

私が生きているうちは、私の全てをおまえにささげよう。愛する、それ故に、お前をこの家から出すつもりはない。
この平和な私たちの世界で楽しく暮らしていけばいい。他は不要だ。

あー可愛い。
可愛いいなぁ。

「ちょっと。小百合がそっち行ったよ。
お父さん。しっかり捕まえていてよ。
もう、1ヶ月もお風呂入ってないから臭さいよ。あ!小百合逃げないの」

「ナアー」

私の小百合が泣いている。
よしよし。
うるさいバカ娘はほっとおけばいいよ。
お前は気品さは、私たけが知っていれはいいことだからな。
風呂もいいさ。なあ。小百合。

小百合をそっと抱き上げる。
イヤ。少したけ臭うか。
このまま風呂場へ直行だ。

あー。
私の小百合。
あのバカ娘め。もう少し優しく洗わないか。小百合の艷やかな毛並みが…。

「ナァ。ナァ。ナァ。」

小百合が泣いているだろ。
早く戻っておいで。
私の可愛い、可愛い、黒猫の小百合。
私だけがお前の可愛いさを知っていればいいよだから。

「小百合〜。本当可愛いねぇ。綺麗になろえね〜。」

どうやらバカ娘にも可愛さが分かるらしい

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