たやは

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砂時計ほ音

タロット、四柱推命、風水に姓名判断、たくさんの占い師に占ってもらってきたけど、とれも当たらなかった。インチキだった。私の弱い心に付け入られただけ。
だって、今は恋愛もしてないし、仕事もしていない。

今はニートで引きこもりだ。どの占い師も私が、引きこもりになるなんて言ってなかった。みんな、ハズレだ。
もちろん、あれから占いなんて信じていない。嘘ばかりだと思っている。

ドンドン。ドンドン。

「お姉ちゃん。いつまて引きこもるつもり。いい加減にしてよ。こっちが気が滅入る」

いつも昼過ぎにやって来ては、ドアを叩き、大きな声で私を呼ぶ妹。はっきり言って面倒だ。早く帰れと思っていれば、いつもは適当に帰っていくが、今日はいつも以上に長引いていた。

「お姉ちやんさぁ、暇ならハワイ行こ。
綺麗な海と空、暖かい気候。楽しいよ」

いや。私行かないから。と思っていたのに妹に引きずられるようにハワイまで来てしまった。

推しの強い妹には勝てないなぁ。

でも、本当に綺麗な景色と優しい風、美味し食べ物、日本よりちょっと高いけどショッピング、全てが新鮮で驚きと楽しさの連続だった。

キラキラと輝くお店が並ぶ、ショッピングモールの一角に「fortune telling」、占いの文字。

その場に立ち止まってしまった私に気がついた妹がにこやかな笑みを浮かべながらこちらを見てくる。

「あれ?占い好きだっけ。行ってみよう」

妹に強く引かれ、占い師の前に座らせれた。

「何を占いましようか?あなたかの望みをかなえる近道となりますよ」


占い。
むかしは、よく行って行っていた。上手くいくと言われたのに、今1人の世界にいきている。

「何占い?日本語も大丈夫?」

「ええ。大丈夫ですよ。占いは、タロット、風水、なんでも。あなたの未来をみることもできます。この砂時計の砂が落ちきるまでの間だけ、未来に行くことができます」

未来?
私の未来は変わらないわ。ずっと、あの家で引きこもっているだけ。また、インチキだ。

「お姉ちゃん、占ってもらう?」

「わたしは…」

「さぁ、この砂時計を握って音を聞いてください。当たるも八卦、あならぬも八卦。」

いや。未来なんて見たくない。
ドタン。
急に立ち上がったため、椅子が大きな音をたてて倒れた。音に驚きいた妹と占い師が、私を見つめている。
先に、我に帰ったのは妹だった。

「やっば、占いやめます」

私の手を引き、占いの部屋から出た。

「占い、イヤなら先に言ってよね。まあ、ハワイで当たるも何とかなんて嘘ぽいよね。それに、未来なんて関係ないよ。今、楽しいのが1番でしょ。それより、あそこでご飯食べよう。ハワイフード食べたい」

妹らしい考え方だ。
また、妹に引きずられているが、イヤではない。むしろ、妹に引きずられるように回るハワイは、楽しいことばかりだ。今が1番なら、確かに楽しい。ハワイに来て良かったと思う。未来も、日本に帰ったあとの事も占いも関係ない、今を楽しもう。

占いに振り回される私は終にしよう。

10/17/2025, 7:05:56 PM