狼星

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1/23/2023, 3:09:05 PM

テーマ:こんな夢を見た #72

勝瑠の能力『タイムワープ』でどうにか男から逃げた真。勝瑠はあの紋章について話してくれたーー

『ごめん、真兄さん。全く説明しないでこの前別れちゃって』
勝瑠はそう言って頭を下げる。
『全くだ、ひどい目にあったんだぞ! 真は!!』
シャドウが勝瑠をせめる。
「シャドウ、あまり言い過ぎない。こうなることは予想できなかった。しょうがないことなんだ」
『はぁ? 真もそっちの肩を取るのかよ』
別に勝瑠のことを信用したわけではない。だが、今回ばかりは勝瑠が全て悪いわけではない気がしただけだ。
『ごめんなさい』
「いいよ、謝らなくて」
僕がそう言うと勝瑠は頭を上げる。
『アイツ等は僕たちの船を沈めた奴らなんだ』
「船?」
なんかつい最近、そういう夢を見たような…。
僕は勝瑠の話をひとまず聞くことにした。
やっぱり重なるところがある。というか、そういう段階だったのかと納得までしてしまう。
これが真実なら、僕たちは間違えなく兄弟だ。
「最近こんな夢を見たんだ」
そう夢のことを話すと勝瑠は言った。
『間違えない。それは父さんと母さんだ』
と。


♡900!! ありがとうございます(_ _)
これからもよろしくお願いします。

1/22/2023, 2:04:06 PM

テーマ:タイマシーン #71

勝瑠と別れた真とシャドウ。
彼らを待ち受けていたのは、とんでもない真実だった。

『なぁ、なんか嫌な予感がするんだが…』
「なにそれ」
僕はシャドウの言葉に返す。
『いや! あるだろ! 嫌な予感がする時!!』
「いや、シャドウにはないかな〜って」
『どんなバケモンだよ、俺は!!』
シャドウは僕にいつも通りのツッコミをする。

「…シャドウの嫌な予感。当たったな」
そう言った目の前にいたのは、首元にあの紫の紋章をした男だった。どうしよう、時を止めて逃げるべきか?
僕はそう思いながらもまだ、本調子ではないことに焦りを感じた。
「お前、もしかして…」
そう男に話された途端、時を止める。
『ハハッ。いい気味だぜ』
固まった男を見てシャドウは笑った。
「いや、違う」

ーーバリンっ!
何かが割れるような音がして、男が動く。
『うぉっ! コイツ!!』
シャドウは僕の方に駆けてくる。僕はいち早く反応したが、男の速さは尋常じゃなかった。
「や、めろ」 
僕の頭を持って持ち上げる男。シャドウが何か言っているが聞こえない。
「やっぱりお前も、時止めのー」
『やめろ!!』
そう声が聞こえた。シャドウじゃない。でも聞き覚えのある声。
「あぁ…? お、お前は!!」
『兄さんごめん』
そう言って男の言葉を無視して僕の手を握る。それは、勝瑠だった。勝瑠の手には『閉ざされた日記』があり、それが勝瑠の手から宙に浮く。そして僕の手を握った反対の手で日記内を指差す。
すると僕たちは光に包み込まれた。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
僕は息が上がっていた。そこは静かな路地だった。
第三の目を開け、時止めの能力を解除した。前まで簡単にやっていたことがこんなにも大変だなんて…。
『大丈夫? 兄さん』
勝瑠が言った。正直大丈夫じゃないが、さっきの男にまた見つかるんじゃないかという恐怖があり早く逃げないとという思いが勝っていた。
『兄さん。大丈夫』
何がだよ! そう思い勝瑠を見る。
『ここは数分前の過去だから』
勝瑠は意味がわからないことを言っている。
『だ、か、ら。ここはあの男と出会う数分前! ここにいればあの男と合わなくて住むから!』
そうはっきりと言った勝瑠。
『これが僕の能力。兄さんが時止めの能力を発動しているとき、僕は『タイムリープ』の能力開放が許可される。それも兄さんと手を握っていればの話だけどね』
タイムリープって…。タイムマシーンじゃないんだからそんな現実からかけ離れたことがあるか? そんなことを思ったが自分も人のことを言えない。
だって僕も『時止め』の能力を持っているからだ。

1/21/2023, 1:31:05 PM

テーマ:特別な夜 #70

乗っていた船が海の底へと沈む夢を見た真。
目を覚ますと勝瑠の部屋に戻っていたーー

『大丈夫か?』
シャドウは起きた僕にそう問う。
「あぁ…。変な夢を見ただけだ」
僕がそう言うとシャドウは首を傾げた。
『真が変な夢を見たなんて、珍しいな』
確かにあまり夢を見る方ではない。それも久々に見た夢が変な夢だなんて…。
「……」
そういえば、あの夢の中で男が言っていたな。「勝瑠」って。そういえば、僕を見て「真」とも言っていた。
あの人たちは僕と知り合いなのか…?

『調子はどうだい?』
そう言ってドアを開けたのは勝瑠だった。
「大分いい」
僕がそう答えると勝瑠はニコッと笑った。
『そういえば、さっきトカゲを捕まえたが消えちまったんだ。お前の仕業か?』
僕に笑った勝瑠にシャドウが言った。すると勝瑠の表情が曇った。
『…それってどんな模様のだった?』
シャドウの方を見て言った。
『さぁ…俺はよく見ていなかったから…』
「白いトカゲで、紫の変な紋章がついていた」
僕がそう言うと勝瑠の顔が青くなっていった。
『まさか…アイツ等が』
勝瑠が小さく呟いたのが僕には聞こえた。
「アイツ等って?」
僕がそう聞く勝瑠は、僕の方を見て何も言わなかった。
『真兄さんには、迷惑かけたくない。それに、まだ僕のこと完全に信じてないんだろ?』
確かに、僕は勝瑠のことを信じたわけではない。でも何かに困っているなら話は別だろう。僕はそう言おうと思いながらも、口からは言葉が出なかった。
『もうすぐ夜が明ける。真兄さん、急に家に上がってもらってすみませんでした』
そう言って勝瑠は、笑った。でもその笑顔は部屋に入ってきた時の笑顔ではなく、ナニカを隠すような笑顔だった。

『ここから僕は別方向に行きますね』
僕たちは外へと出ると少し歩いた。
全く知らなかった道だったが、知っている道へと繋がった。それを知っていたかのように勝瑠はそう言って着た道の方向に足を向ける。
勝瑠とは年がそう離れている気はしない。中学生くらいだろうか。僕たちは歩いているときにあまり話をしなかった。シャドウが気を使ってか話を振ってきたことはあったが、軽く返すくらいで個人情報は全く知らない。
『あ!』
勝瑠は僕たちと少し逆方向に歩いてから思い出したように言った。
『真兄さん、あの紋章には気をつけてください』
勝瑠は真剣な顔をしていた。僕はその圧に押されるようにして頷いた。
『では』
そう言って勝瑠は離れていった。
なんだか凄く特別な夜を過ごした気がする。
長い夜が明ける。

1/20/2023, 1:25:03 PM

テーマ:海の底 #69

突然出会った人外と人間のハーフの男の子は、僕たちが兄弟だと言う。急なことで頭が追いついていない僕ーー

「えっと…。君は本当に僕のことを探していたの?」
『勝瑠(すぐる)。僕の名前』
「あ…。勝瑠」
僕はそう言って訂正する。
『やっぱり真兄さんは、僕のこと覚えていないんだね』
やっぱりという言葉に引っかがった。やっぱりってなんだ?
『真兄さんは、自分の両親のこととか知ってる?』
僕は何も言わなかった。
『おいおい…。真の弟だか、なんだか知らないが。いきなり出てきて話を勧め過ぎじゃねぇか? 真だって、まだ状況把握とかできてねぇだろ。あんまり焦らせるなって』
シャドウが珍しくまともなことを言った。
勝瑠は僕を見つめてから、
『そうだね、今言っても疲れているよね。分かった。また後で話そう』
勝瑠はそう言って、部屋を出ていった。部屋にはシャドウと僕の2人きり。
「シャドウー」
『シッ』
シャドウが何かを感じ取ったかのように、ドアの方向を見る。
「なんだ?」
僕はそう言って、ドアの方向を向いたが誰かいるわけでもなかった。
「どうしたんだよ、シャドウ」
『なんか、違和感がある』
シャドウは体を硬直させている。嘘ではなさそうだ。
「僕は何をすればいい」
小声でいうと
『そのままでいろ』
そう囁かれた。
ガタッ!
物音がしてそこに向けて一直線に体を滑らすシャドウ。
『捕まえ…た』
そう言って、シャドウが手にしたものはトカゲのようなものだった。なんだ? トカゲにしては変な紋章…。
そう思ってみていると急にトカゲが姿を消した。
一体何だったんだ…。
僕がそう思っていると、急に僕に眠気が襲う。

「ーこと、真!」
一体どこなんだ、ここは!
僕は目が覚めるとあの部屋ではなく、グラグラと揺れるなにかの中にいた。潮の香りが微かにする。
船? 船に乗っているのか?
僕はなんとか状況を理解しようとした。
「真! よかった。無事か」
そう言って手を握る人は大きい男。
「早く安全なところへ!」
そういう女の人は僕の手を引く。
この船は沈みかけているようだ。よく見たら足元まで水が上がってきていた。
「勝瑠は? 勝瑠はどこだ!」
そう言って、男は誰かを探す。勝瑠…聞いたことある名前だな…。と思っていると一気に波が強くなった。
かと思えば水の中に引きずり込まれた。
暗い、何かが落ちてくる。それを一緒にいた女の人が僕に落ちてこないようにと守ってくれた。
この人は一体誰なんだ。わからない…。わからないけど。何故か安心する。
そんなことを思いながらも、ずっと体は沈んでいく。船とともに。
その時、ボコボコボコボコッ。という音が聞こえた。救助船が来たみたいだ。
女の人は僕を救助船の周辺まで運んでいくと手を離した。そしてまた海の底へと潜っていった。
あなたは一体誰…?
そう思いながらも、視界がだんだん明るくなっていった。
そして、現実に戻されたのであった。

1/19/2023, 2:13:51 PM

テーマ:君に会いたくて #68

能力を使った結果失敗に終わった計画。
人外の子の正体とは…? 

『お、気がついたか?』
気がつくと僕は横になっていた。シャドウが僕の顔を覗き込んでいた。
見慣れない景色が広がっている。ここはどこだ…。
『あ』
ドアが開いてそんな声が聞こえたから、思わずドアの方を向く。
『気がついたんだね』
その声は僕に近づいてくる。体を起き上がらせようとするが全く動かない。
『無理に動かないほうがいいと思うよ。結構な負担がまだ残っているだろうから』
そういったのはビルの屋上で会った人外。
『なぁ、こいつ誰だ? 知り合いか?』
そうシャドウは首を傾げる。知り合いというべきなのだろうか…。
「えっと…」
僕が戸惑っていると
『僕たちは同じ人外と人間のハーフなんだよ。人外くん』
『ゲ…。お前やっぱり、俺のこと見えてるのかよ』
『そうだよ? はっきり見えてる』
僕は二人の会話を聞いていて、違和感でしかなかった。不思議な空間にいる。そんなことを思っていると、
『君の名前は、真だよね』
「え、なぜ僕の名前を…」
『知っているよ。そりゃ…』
人外は、言った。
『だって僕たちは兄弟だもん』
「……は?」
僕の頭にはてなが浮かぶ。兄、弟…?
そんなはずはない僕には兄弟なんて…。
『まぁ、正確に言うと義兄弟なんだけどさ』
知らない。何を言っているんだコイツ。
でたらめ言って、僕たちを混乱させようとしているのか?
『なぁ、コイツおかしくね?』
シャドウもそう言った。
『おかしくない。証明だってあるんだよ』
そう言って取り出したのは、気を失う前に彼が持っていた日記帳だ。確か『閉ざされた日記』だったか…?
『これにはね、兄さんと僕のこと。それ以外にも色んなことが載っているんだ。いや、載っているというよりかはこれが僕の能力なんだけど』
そう言って、さっきはどんなに強く開いても開かなかった日記帳を軽々と開けた。
『兄さんと一緒にいるときだけこの能力は発動できる。つまり兄さんと僕の共同能力でこれは開くってわけ』
「でも屋上では開かなかったじゃないか」
『それは、兄さんの能力と僕の能力がつり合っていなかったから。兄さんが強大な力で能力使うのが悪いんだから!』
さっきから兄さん、兄さんと呼ばれているが本当に僕は兄さんなのか? 兄さんなんだとしたらなんでこの人外と一緒にいたはずの時間を消されている?
『ほらね、兄さんと僕は兄弟だ』
そう言って、見せられたのは確かに小学校の頃の僕と今、目の前にいる彼だった。腕を組んでいる僕たちは仲良さげに笑っていた。
『君に会いたくて、探していたんだよ。真兄さん』
僕はまだ頭がついていくことができなかった。

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