テーマ:タイマシーン #71
勝瑠と別れた真とシャドウ。
彼らを待ち受けていたのは、とんでもない真実だった。
『なぁ、なんか嫌な予感がするんだが…』
「なにそれ」
僕はシャドウの言葉に返す。
『いや! あるだろ! 嫌な予感がする時!!』
「いや、シャドウにはないかな〜って」
『どんなバケモンだよ、俺は!!』
シャドウは僕にいつも通りのツッコミをする。
「…シャドウの嫌な予感。当たったな」
そう言った目の前にいたのは、首元にあの紫の紋章をした男だった。どうしよう、時を止めて逃げるべきか?
僕はそう思いながらもまだ、本調子ではないことに焦りを感じた。
「お前、もしかして…」
そう男に話された途端、時を止める。
『ハハッ。いい気味だぜ』
固まった男を見てシャドウは笑った。
「いや、違う」
ーーバリンっ!
何かが割れるような音がして、男が動く。
『うぉっ! コイツ!!』
シャドウは僕の方に駆けてくる。僕はいち早く反応したが、男の速さは尋常じゃなかった。
「や、めろ」
僕の頭を持って持ち上げる男。シャドウが何か言っているが聞こえない。
「やっぱりお前も、時止めのー」
『やめろ!!』
そう声が聞こえた。シャドウじゃない。でも聞き覚えのある声。
「あぁ…? お、お前は!!」
『兄さんごめん』
そう言って男の言葉を無視して僕の手を握る。それは、勝瑠だった。勝瑠の手には『閉ざされた日記』があり、それが勝瑠の手から宙に浮く。そして僕の手を握った反対の手で日記内を指差す。
すると僕たちは光に包み込まれた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
僕は息が上がっていた。そこは静かな路地だった。
第三の目を開け、時止めの能力を解除した。前まで簡単にやっていたことがこんなにも大変だなんて…。
『大丈夫? 兄さん』
勝瑠が言った。正直大丈夫じゃないが、さっきの男にまた見つかるんじゃないかという恐怖があり早く逃げないとという思いが勝っていた。
『兄さん。大丈夫』
何がだよ! そう思い勝瑠を見る。
『ここは数分前の過去だから』
勝瑠は意味がわからないことを言っている。
『だ、か、ら。ここはあの男と出会う数分前! ここにいればあの男と合わなくて住むから!』
そうはっきりと言った勝瑠。
『これが僕の能力。兄さんが時止めの能力を発動しているとき、僕は『タイムリープ』の能力開放が許可される。それも兄さんと手を握っていればの話だけどね』
タイムリープって…。タイムマシーンじゃないんだからそんな現実からかけ離れたことがあるか? そんなことを思ったが自分も人のことを言えない。
だって僕も『時止め』の能力を持っているからだ。
1/22/2023, 2:04:06 PM