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3/29/2026, 9:49:23 AM

『見つめられると』

嫌いな人を殺したいと思った事はありませんか?

ありますよね?

はい、ありがとうございますっ!

嫌いな人を殺したくてたまらないけど、包丁などの凶器を使えば指紋が残ったり、犯人特定の足がかりにされてしまうかもしれない。
しかもお金もかかる

嫌いな人間を殺すのに、なぜこちらがお金も出さないといけないのか。意味が分かりませんよね。殺した後に凶器代を請求したいくらいです。

コスパよく、証拠も残さずに人を殺したい。

そんなあなたにおすすめなのが、視線という名の凶器です!

人の視線は、最高コスパの殺人道具です。

ただ毎日、じっと、殺したい相手の目だけを見つめ続けましょう。人は見られる、という行為に極度のストレスを感じる生き物です。

相手が勝手に意味を探し始めます。
なぜ見られているのか。自分に好意があるのか、あるいは敵意なのか。毎日は気味が悪い。何かを企んでいるのか?

そんな風に、こちらは感情なく見つめているだけで、相手の心が勝手に乱れ始めます。

それを複数人で行えば、相手はもう耐え難い気分になります。

5人、10人と、協力者を募り、みんなでそいつをただ見つめてあげましょう。

きっと本人が勝手に、所属する社会から拒絶されていると、妄想で苦しみだします。

確実に殺せる保証はありませんが、こちらは手を汚さず、なんのコストもかけずに、見るだけで相手を苦しめる事は可能です。

上手くいけば、見るだけで。

相手を自殺に追い込むことも、不可能ではありません。



3/28/2026, 6:19:48 AM

『My heart』

私の心を傷付けないでください。

怒った顔で私を見ないでください。
呆れたような顔で私を見ないでください。

私の心を傷付けないでください。

私の顔を見て驚かないでください。
私の服を見て笑わないでください。

私の心を傷付けないでください。

私の考えた事を否定しないでください。
私の好きなものをバカにしないでください。

私の心を傷付けないでください。

もう誰も私に関わらないでください。
もう誰も私と目を合わせないでください。

私の心を傷付けないでください。

3/27/2026, 7:21:04 AM

『ないものねだり』

長谷川玲奈にできないことは、何も無かった。

勉強をすれば全教科1位を取れた。
運動をすれば部活生に勝ってしまえた。
作文を書けばコンクールを受賞した。
容姿を整えれば誰よりも完成度が高くなった。
男の子を狙えば確実に彼氏にする事ができた。
仕事をすれば完璧に成果をあげる事ができた。

長谷川玲奈にできない事など、何も無かった。

地位も名誉も金も。
知性も運動神経もコミニュケーション能力も。

彼女は、全てを、持っていた。

しかし長谷川玲奈は、故にこそ、できるという事象に一切の意味を感じなくなった。

触れた事が無い世界でさえ、少し触れれば、全ての構造と攻略方法が透視するように分かり、そして実際に自分の身体を操るように動かす事も容易いので、理解と実行が一致してしまい、現実世界の全てを簡単に攻略できてしまう。

訪れるのは達成感の欠如による奈落の如き虚無と、平均的人類から浴びせられる劣等感と嫉妬の銃弾。

できたことに興味はなく、彼女は成果を全て捨て去り、次の目的地へと向かう。

様々な事を実践する中で、彼女にもできないことが一つだけ見つかった。

それが、自殺である。

彼女は抑えがたき空虚感から、自殺をしたいと願ってはみたものの、痛みと死への恐怖から、自殺を実行する事はできなかったのだ。

自分の首に縄をかけて見た時、あまりにも耐え難き拒絶衝動が沸き上がり、自分の意識とは関係なしに、首にかけたロープを外してしまったのである。

失敗。
それは彼女にとって衝撃的な出来事だった。

自殺に失敗した、その瞬間に。


長谷川玲奈は、悦びに表情を歪めて、大きく笑った。


初めての出来事だったからだ。

自分が構造と攻略法を理解しながら、体を動かせずに、その任務の遂行を果たせなかった事が、たまらなく、嬉しかったからだ。

そしてその日から。

長谷川玲奈の人生の目標は【自殺をする事】になった。

毎日、首にロープをかけて締め付けて、苦しみに慣れる訓練をしている。
毎日、自分の腕を意味もなくリストカットして、痛みに慣れる訓練をしている。

だけど、まだ、まだ、まだまだ、死ねない。

毎日、自殺に失敗する度に笑う彼女は、果たして天才なのか、狂人なのか。

いずれにせよ、彼女の今の心中を汲み取るならば。

「私の人生は、今、最高に充実している」

きっと、こんなところだろう。

3/25/2026, 2:54:29 PM

「好きじゃないのに」

気持ち悪い言葉だ。

好きじゃない、のに、って何だ?

好きじゃないのに気になる、とか。
好きじゃないのに好き、にすらなる。

あまりにも捻れた感情だ。
だが改めて考えると、なぜ人間はこんな意味の分からない感情を持つのだろう。

好きじゃないなら嫌い、で良くないかと思う。
その方が単純に、生存に最適化できる気がする。

嫌なものというのは、自分にとって好ましくないものなのだから、避けるべき対象だ。

それは自分の生存を脅かす可能性を見出したからこそ、嫌いという感情が、その危険物から身を遠ざけさせる。

そう考えると、好きじゃないのに、という言葉の存在は、自分の命を脅かすものに何らかの魅力を感じている、という意味の分からない状態に、人間が陥る事の証左に他ならないのではないか?

人はなぜ、わざわざ自分の命を脅かすものに、惹かれてしまうのか。

私にはやはり、この人間という生物は、愚かで気持ち悪いとしか思えない対象だ。

3/24/2026, 1:35:41 PM

『ところにより雨』

今日は僕たちの番らしい。

姉ちゃんが交通事故で死んだと、父さんから報告を受けたのが、つい10分前の事だった。

婚約者を紹介するため、群馬県にある我が家に、高速道路を使って向かっていた姉と婚約者の男性は、大型トラックに背後から衝突され、即死でこの世を去ったらしい。

遺体は潰れてぐちゃぐちゃで、もはや人の原型も留めていなかったそうだ。

トラックを運転していた54歳の男性は、軽度の打撲で済んだとか、どうだとか。


だけど怒りや悲しみは湧いてこない。

まだ、何も脳が理解していない。
いや、理解したら壊れると、分かっている。

大好きな姉と二度と言葉を交わせない悲愴と絶望。
危険運転で人を殺しながら、自分は軽傷で済んだ社会のゴミクズに対する怒りと殺意。

そんなもの、認識してはいけない。
認識したら壊れてしまう。

だけど、どうにも、抑えきれそうにない。

母が発狂したように泣き叫ぶ声が、家の中に響いている。
父が静かに憎悪と憤怒を燃やす気配が、家屋を震わす勢いで漏れ出ている。

不意に、僕の右頬を、雫が伝っていた。
ポタポタと、畳の上を濡らしていく。

そうか、今日は僕たちの番なのか。

気まぐれに降り注ぐ絶望は。

僕たちの元に落ちる事を、決めたらしい。





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