「カレンダー」
ベリ!
「こら!何してるんだ、花奈(かな)!」
「う、うるさい!9月なんて大嫌いだ!」
私は、9月が大嫌い。
理由は、お母さんがなくなった月だから。
お母さんは、癌で亡くなった。
お父さんは、そんな私が嫌いみたい。
だから、いつも怒ってる。
だから、私はお父さんなんて嫌い。
私に、味方なんていない。
学校は、お母さんがなくなってから行ってない。
いや、行けない。
だって、皆が「お前の母さん死んだのー?」って言ってくるんだもん。
そのせいで、最近うまく喋れてない。
お父さんが、私を病院に連れて行った。
お医者さんが言っていたことはよくわかんないけど、せいしんてきな?やつらしい。
お父さんは、私が嫌いだからお母さんの方のおばあちゃんたちの家に私を置いていった。
土曜日にいつも、来る。
その日はもう、夜で私は眠っていた。
でも、トイレに行きたくなって目が覚めた。
トイレに行く途中に、襖(ふすま)から光が差していた。
そして、誰か泣いている。
襖に耳をつけると、「お義母さん、どうしたらいいんでしょうか…。僕のせいであの子を傷つけているのかもしれない…。菜月(なつ)に頼まれたやつも渡せていない…。」とお父さんの声が聞こえた。
私は、襖を開けて「おばぁ…ん、とぃ…」
おばあちゃんは、私の声を聞いて「あらあら、花奈ちゃんおといれ?ついていくねぇ。」
お父さんはずっと、喋らなかった。
トイレに行った後、私は眠りについた。
私は夢を見た。
お母さんが、お父さんと手を繋いでいた。
私は、お母さんたちのとこへ走った。
私は、「おかぁさん!」と言おうとした。
だけど声が出ない。
私は、動けなくなってしまった。
それでも、お母さんは遠くへ歩いてしまっている。
気づいたら、朝になっていた。
9月12日、今日は私の誕生日だ。
枕元を見ると、一通の手紙があった。
私は、その手紙を手にとった。
封筒には、たしかに私の名前が書いてあった。
『花奈へ
花奈、お誕生日おめでとう!
もう10歳になったんだね!
学校は楽しい?
はい いいえ
↓ ↓
↓ そっかぁ、辛ければ行かなくてもいいよ!ごめんね、お母さん死んじゃって。
↓
そっかぁ!じゃあ、そのまま楽しく過ごしてね!
お母さん、死んじゃってごめんね。
でもわかっていてほしいことがあるの。
お母さんね、9月が大好きなの。
理由は、可愛いあなたが生まれてきてくれたからだよ。
花奈、お母さんもお父さんもあなたのこと愛してるよ。
お母さんより』
私はそれを読んでいるうちに、9月が好きになった。
何より、嬉しかった。
お母さんとお父さんがちゃんと愛していてくれて。
私、お父さんのこと好きになった。
私は、お父さんのとこへ走って行っていった。
そして私は、「お、おぉとうさぁんだ、だぃすぎぃだよ。」
終わり
『世界に一つだけ』
俺は世界に一つだけほしいと願うのなら、「愛」だろう。
俺はずっと、施設孤児だった。
だから人の暖かさも優しさも知らない。
施設の野郎共は、俺の右目に大きなやけど跡があるからといって俺をいじめた。
罵倒や暴力は日常茶飯事。
時には、「お前は可哀想だ。だからこの俺がその目ごと消してやんよぉ!」と言いながらナイフを取り出してきたこともあった。
だが、かろうじて小、中、高は行かせてもらえた。
小学生のころは、施設の野郎共と一緒で、罵倒を浴びせられた。
まあ、チビの頃からアイツらにひでぇ罵倒を言われてきたから苦でもなかった。
中学生の頃は、時期も時期で自分の目が嫌いで眼帯をしていた。
周りのやつは、俺を中二病扱いしてきやがった。
また、いじめられた。
ある日、プールの授業があった。
俺は、眼帯をしているから一度も入らなかった。
だが、クラスのガキ共が俺を突き落としてきやがった。
俺は、勢い良くプールに落ちた。
起き上がったとき、クラスメイトが唖然として俺を見ていた。
その時、気づいた。
「嗚呼、火傷がバレちまった。」ってな。
その日から、いじめはエスカレートしていった。
ガキ共が、「なんでそんなふうになったんだよぉ?」「お前、施設育ちってマ?なんでw?親に捨てられたw?」「うわーw!可哀そw」
その言葉にたいきれなくなった。
「親は死んだわ!俺が9歳ときに火事でやけどおったんだよ!なにw?そんなんもわかんないのw?馬鹿じゃん!バァーカ!!」
ガキ共は黙った。
その瞬間、俺は殴られた。
だけど痛くなかった。
もう麻痺してた。
俺は、もうどうでも良くなった。
そしたら急に、笑いたくなった。
「アハハハハ!」
ガキ共は、俺の様子がおかしいことに気がついた。
その日からいじめはなくなった。
高校は、Fランに入った。
正直どうでも良かった。
だから、単位だけとって施設に帰った。
その後は、暴力、暴力。
でも最近、アイツらの弱点がわかった
だからまた殴られそうになったときに、ヤれた。
高校に行ってから、一年。
俺に話しかけてくれた、女子がいた。
その子の名前は、由緒(ゆい)といった。
なぜ話しかけてくれたのかは、わからない。
でも、その日から何度も話しかけてくれるようになった。
俺も、少しづつ心を開いていった。
そんなある日俺は聞いてみることにした。
「なぁ、由緒。なんでこんな俺に話しかけてくれたんだ?」
すると、彼女は「だって、幸人(ゆきと)くんが私の事助けてくれたんじゃん。」
「え?」
「覚えてないの?私が9歳の頃私の家が火事になって、幸人くんのご両親と幸人くんが助けに来てくれたんじゃん。」
その時、思い出した。
俺が7歳のときに話しかけた、怖がりな女の子。
そこから、心を開いていってくれた。
親も、その女の子の親と仲良くてよく遊んだ。
でも、ある日その子の家が燃えた。
親は、俺を置いてその子を家に入っていった。
俺は、置いていかれたと思って追いかけたんだっけな。
俺は、確か親を探しているときに助けを求められた。
「ゆっちゃん!た、助けてぇ、、、。」
その子は、足を怪我していた。
俺は、その子をおんぶして家を出た。
その数分後にその子の親が出てきた。
その瞬間、家が崩れた。
そのことを思い出した俺に、彼女は言った。
「ご両親元気?ゆっちゃん」
俺は、「親は、、、死ん…死んだよ、、。」
由緒は一瞬顔を歪めた。
俺はそれに続けて、「俺さぁ、これ、見て。」
そう言って、髪をかきあげた。
そこには、視力の失った火傷した目があった。
由緒は、それを見ていった。
「ごめんねぇ、、。ゆっちゃん。私を助けなければそんなふうに、ご両親も亡くならなかったのに…。ごめん、ごめんねぇ、、。」
俺は、その言葉に親が死んだことに初めて泣いた。
彼女は「ゆぅっちゃぁん、で、でももう大丈夫。私がついているからねぇ。」
と言い、俺を抱きしめた。
俺はその温かみのある事でやっと愛を感じられた。
俺は更に泣いた。
少し経ったあと、俺は施設を出た。
由緒のご両親の養子にしてもらったんだ。
あのあと俺は、由緒の家に行って由緒のご両親に泣いて謝られた。
今は幸せに生きている。
子供にも恵まれた。
俺は、由緒と結婚したんだ。
これで、母さんたちも成仏してくれるかなぁ。
終わり
『自転車に乗って』
私は今、坂を下っている。
私は用事があるのだ。
用事というのはそう、事故にあった流那(るな)に会いに行くのだ。
華側(はながわ)病院についた。
「05××」。
流那のいる病室だ。
流那は、ベットに座って外を見ている。
私は流那に声をかけた。
「るーな!お見舞いきーたよ!」
流那は、私の声にとても喜んでいる。
「璃奈(りな)!来てくれたの〜!ありがとうぅ!僕、寂しくて死にそうだったんだよぉー?散歩もできないし〜…」
「そう、だよね、、。」
休憩!また明日!
「最初から決まっていた」
最初から、決まっていたんだ。
私が、この家に生まれるということが。
過去もそうだった。
死んでは、この家に生まれての繰り返しだった。
今のお母さんが、生まれ変わる時にはひいおばあさんになっていた。
私の名前は毎回変わった。
マリアからリオへリオからナターシャへそれよりも、もっとある。
今の名前は、ハナだ。
私の死に方は、ほぼひどい死に方だった。
マリアのときは病気、リオのときは寿命、ナターシャのときは事故。
今は、姉のライムから階段に落とされそうになった。
だけど、私はすぐに避け姉のライムが落ちていった。
ライムは泣いている。
私は、泣かなかった。
使用人が何人も来て、ライムを手当室に連れて行った。
使用人は、私を異常者だと思っている。
私は、何回も生き返っているうちに感情が薄くなっていった。
そんなところを見て、私の母リーナが医者を読んだ。
医者は、あれこれ聞いてきた。
例えば、「君のお名前は?」とか「今何歳?」などを聞かれた。
私は、スラスラと答えた。
「私の名前はナター…ハナ。」
「年齢は、31さ…8歳。」
医者は不思議そうな顔をしていた。
私の娘、そして私のお母さんは震えていた。
私の娘のリーナは、私に聞いてきた。
「ハナ、なんでひいお祖母様の名前やなくなった年を言おうとしたの?」
私は、「だって、私はナターシャの生まれ変わりだもん」
「!?いい加減にしなさい!」
鋭い痛みが、私の頬へ伝ってきた。
「何なのよ!そんなこと言うんだったら、ひいお祖母様が私を生んだ年と日にちを言ってみなさいよ!」
私は答えた。
「私がリーナを産んだ歳は21歳。あなたが生まれた日は、2月3日21時5分でしょう。」
「…。本当なの?」
「そうよ。」
「お母様ごめんなさい。お母様のことぶっちゃった。」
「そうね。」
「これからは、気をつけなさい。」
こんな事が何回も繰り返された。
娘、息子達はそこから、直していった。
もともと、家族は評判が悪かった。
でも、今はもう評判は悪くない。
私は、ハナでこの家族の生まれ変わりが終わった。
『太陽』
太陽のように明るい彼。
でも、そんな彼にも裏がある。
今は、明るいが昔は違った。
彼はいじめられていたのだ。
上履きは捨てられ、机には落書きされていた。
彼は、何度も泣いた。
泣いても泣いても、いじめは収まらなかった。
俺は、それを見ていた。
言わるゆる、傍観者だった。
俺は、いじめを見ていたんだ。
何度も何度も。
ある日、道徳で学んだ。
「いじめの加害者はもちろんいけない行為だし、防寒者も加害者だ。」
と、先生が言っていた。
俺は、思った。
俺は、いじめの加害者だ。
俺は、いじめているやつと同罪だと。
俺は、彼に謝った。
彼は、気にしてないと言っていたがそれはすぐに嘘だとわかった。
彼は放課後の教室で泣いていたからだ。
「俺は、誰も許さない!謝っていたやつもどうせ嘘だ。バカにしてるんだ!」と。
俺は、彼に謝った、しつこいと思われるほど謝った。
ある日、彼はこんなことを聞いてきた。
「なんでそんなに謝るの?」と。
俺はこう答えた。
「前、道徳の授業があっただろ?あのとき思ったんだ。君が虐められているところを見ている俺もやっているやつと、同罪だって。」
「でも、そんなこと言ったて人はすぐに変わらないでしょ」
「俺は、変わりたいと思ってる!だから…」
「嘘つかないでよ!どうせそう言って馬鹿にしているんでしょ!」
「俺は、そんなこと思ってない!俺は、君の味方になりたいんだ…。だから、信じてくれよ…。」
「ほんとに、信じてもいいの?」
「うん。約束する。俺は、裏切らない。」
「約束して…くれる?」
「うん。約束する!」
「ありがとう…ありがとう…」
気づくと、彼は泣いていた。
俺も泣いていた。
その日から、俺は彼と一緒にいることが増えた。
いじめている奴らは、俺が気に入らないようだった。
だけど、俺は気にしなかった。
彼もだんだん、元気が戻っていっているようだった。
彼のいじめもなくなっているようだった。
逆に、俺がいじめてられるようになった。
俺はいじめている奴らに言ってやった。
「いじめることしかできないバカ共が。自分がやられたらどう思うかなんても、考えられないんだよな。」
いじめている奴らは、黙った。
それから、だんだんいじめがなくなった。
卒業してから、いじめている奴らとは、離れられた。
俺は、彼と一緒のクラスになれた。
彼は、前と違って太陽のように明るくなった。
彼いわく「僕は、君みたいにいじめているやつがいても守れるようになりたい。」と。
2年後。
今でも、俺は太陽のように明るい彼と一緒に仲良くしている。
俺も、彼のように太陽みたいになりたいと思った。