『病室』
一人、この世界に取り残されたような気分。
窓を見ると、街の人々はロボットのように働いている。
夜になると、カーテンを閉めるために看護婦が来る。
カーテンを閉められると、嫌な気分になる。
寂しさ、悲しさ、虚しさ。
それだけじゃない。
たまに、誰かの視線を感じる。
そんなときは、布団に潜り込む。
気づくと、寝ている。
また、朝が来て人々はロボットのように働く。
まるで、誰も自分の存在が知らないよう。
たまに、見舞い客が来る。
でも、一時間もしないうちに自分の家に帰る。
家族のいる温かい家に。
僕には、家族はいない。
みんな、どこかに行ってしまったから。
また、夜が来た。
いつもと同じように、眠る。
そして、朝になるの繰り返し。
でも、その日は違った。
見舞い客が、たくさん来た。
しかも、一時間立っても誰一人帰らなかった。
それが、何日か続いた。
その次の日。
なぜか、とても心臓が痛かった。
そのことを、看護婦に言うと看護婦の顔が、真っ青になって廊下に走っていった。
少し立つと、顔が真っ青になった医師と看護婦が来て、僕の腕に何かを刺した。
刺された途端、とても眠くなって眠りについた。
気づくと、お腹の辺が包帯で巻かれていた
ゆっくりと、周りを見るといなくなったはずの家族と医師がいた。
家族と医師はなにか話していて、僕のことには気づいていなかった。
声を出そうとしたけど、うまく声が出なかった。
だから、医師の袖に手を伸ばして袖を引っ張った。
すると、医師と家族がこっちを向いてびっくりしていた。
医師が、「おはよう。」と涙目になりながら言った。
僕もおはようと言おうとしたけど、やっぱり声が出なかった。
医師は、僕の様子を見て声が出せないとわかってくれたらしい。
医師は、また家族の方を向き何かの話をしていた。
僕は、また眠くなって寝てしまった。
僕が起きて、何日か経ったあと何があったか医師が教えてくれた。
僕は、心臓病だったらしい。
見舞い客がたくさん来たときは、余命宣告をされたからだそう。
ても、僕が心臓が痛いといったときに、すぐに手術の準備ができていたから大丈夫だったらしい。
家族は、僕の手術代を払うために働きに出ていたらしい。
僕は、それを聞いて泣いた。
だって、家族が僕を捨てたと思っていたから。
医師の話を聞いたあと、家族が来た。
僕は、泣きながら謝った。
一ヶ月後。
僕は、家族と幸せに暮らしている。
終わり