首都高速を走る。ミッドナイトブルーのR34車体には傷一つ無く路面が反射して回転速度を上げていくテールランプは赤い一筋の光を作り曲がる姿は、後続車を魅了して恰も消える様に曲がる。
そんな美しい走りを見せていたR34今では子供を乗せたファミリカーへと変わってしまった。
灼熱の砂漠で私は、ラクダをつれて
ゆらゆらと揺れる陽炎を見つめていた。
見上げると突然目眩にも似た遠ざかる意識と息苦しさそして喉の乾きを覚えて目を覚ました。
私のお腹の上で唇に2つの肉球を押し付けて幸せそうに眠る猫。どうやら私は、コタツで眠ってしまいそのまま彼女の敷布団にされていたみたいだ。
雨はシトシトと、フロントガラスに雨粒を流れ落としてして、零れ落ちる涙、カチカチと車のハザードが明滅を繰り返し。
繋いだ手から指が解ける。
「お願い」言わないで
「ごめん。さよなら」
彼は、助手席から黒いこうもり傘を差して出て行った。終わりたく無かった。
ただ、それだけ。
彼の背中を消えるまで見つめて
一頻り泣いて
ひたすらに
波が悲しみを消してくれるまで。
薄く開いた襖から姿鏡に写る君は、部屋の中で着替えていた。覗くつもりは無かったのだけど目が離せず。中にいた。女性と目が合って。
僕の前に現れ襖を開いた。
彼女へ何かに言わなきゃ・・・。
「ばぶぅーー!!」
そのまま僕は、彼女に抱っこされて一緒に部屋の中へと連れ込まれた。
これが僕の一番最初の古い記憶。
深夜3:28海に向かう線路の上を走る一両だけの列車は、まるで深夜の海へと吸い込まれる様に走り去る。
ガタンゴトンバシャバシャ、ガタンゴトンバシャバシャそしてそのまま夜の海の水中へと潜って行った。
海面を照らして潜る。車両その線路を辿って逆方向へと進むと一本の仄暗い街灯は、昔ながらの街灯で羽虫や蛾がウヨウヨたかって集まりヒラリと、街灯の熱に焼けて落ちる。小さな羽虫。
そして次の日も一両だけの列車を駅で待ち。
駅名は、三文字の一文字目は、黒く掠れて消えて見えず。ロ月と二文字も汚れ錆だらけの二本足の駅名標識が佇んでいた。
車両のブレーキ音が鳴り響き乗った。車両内は、割合空いていて反対側の隅っこには、白い鍔が広い帽子を被った女性が座っていて。ガタンゴトンと揺られて走りだした。
こんな夜中に赤いワンピースに白い帽子の女性?何だろ?凄く気になって気が付いたらバシャバシャと水を弾いて水中へと吸い込まれていた。
正面を照らす。丸い二つのライトが魚達を目の前を通り過ぎて遠くで聞こえる。僕の名前を呼ぶ声がして
目を覚ました。
どうやら僕は昨日の寝不足が祟って暗く涼しくて開放的な空間で眠ってしまったみたいだ。
そんな深い眠りに付いていた僕を起こしたのは、今日初めてデートする。彼女、そして耳元で聞こえた不可解な囁き。「良かったね起こしてくれて」
ばっと座っている。ベンチから振り向いてまばらな人々の中に消えた。赤いワンピースの白い鍔の広い帽子を被った女性。
「なぁロ月駅って知ってる?」
「ロ月?う~んそれって如月駅なんじゃないの?」
「あ、そうなんや、なぁそれってその車両に乗ったらどうなるか知ってるか?」
「うん。知ってるよ。消えてしまうらしいよ怖い話しですねぇ~」ニコニコと笑って「次はイルカさん見に行こう!!」「あ、ああ、行こ行こ」
知らず知らずのウチに彼女に救われてたと気が付いて背筋が凍りつきました。