雨はシトシトと、フロントガラスに雨粒を流れ落としてして、零れ落ちる涙、カチカチと車のハザードが明滅を繰り返し。繋いだ手から指が解ける。「お願い」言わないで「ごめん。さよなら」彼は、助手席から黒いこうもり傘を差して出て行った。終わりたく無かった。ただ、それだけ。彼の背中を消えるまで見つめて一頻り泣いてひたすらに波が悲しみを消してくれるまで。
12/4/2023, 12:51:23 AM