今もこれからも、ずっと、ただ君だけを想っている。
そう思うけれど、ときどき不安になる。
季節が移り変わって、冬から春になったときに、君は僕を想っていないのではないかと。
人のこころは複雑で、自分でコントロールできなくなるときがある。
君は、僕のこころを奪って、僕の心の操縦権を手に入れた。
ときどき、些細なことで口けんかしてしまうけれど、君の声をききたいと思う気持ちが、プライドを押し切って、気がついたらどうでもいい話が始まっている。
君と一緒に生きていきたい。
強要はできないから、もし君が僕とおんなじ気持ちだったら、どうかな、考えてみてといったらプロポーズになっちゃうね。
正直、これからのことはわからない。
僕は今、ただ君だけを想っている。それだけは確かなことだ。
_____________________________ただ君だけ________。
僕たちは、産声をあげたと同時に、”人生という船旅”も始められていた。
自我が芽生えた頃には、この世界が既にあった。
最初は世界が大海原のように広いと思って生きてきた。
しかし、小学生になると同時に、学校や教室という”いけす”に入ることになり、テストの点数という明らかな基準があるものや、友達と打ち解けあっているかどうかなどという、基準が曖昧なものなどから、”他人”と比べ始める。
船の外見や設備、航路、舵がどれだけ計画通りに取れるかなど、比べる項目は数多ある。
比べるようになっても、比べる程度をコントロールできる人は、それを生きるエネルギーに変えて、船が嵐にあって故障しても、それを修理して再び航海を始める。
比べて、ただ自分の不甲斐なさに嘆く人は、生きるエネルギーがどんどん減っていって、船が嵐にあって故障したときに、それを修理する気力もなくなって、航海が止まってしまう。
後者の人は、生きるエネルギーが減っていき、もう食料も尽きてしまい、生活がままならなくなってしまう。
もうこれまでなのかと思ったとき、はっとなる。ううん、そうじゃないとつぶやく。
そうつぶやいたとき、船上には仲間が、僕を、ともに航海をする仲間であることに加えて、一人の大切な存在として”ずっと”思っていてくれた気がつく。
大海原のなかで”自分の透明な殻”に閉じこもっていたから、殻の外の人との関わりもあったけれど、そのときは自分のことばっかり考えていて、そんな思いにすら気がつくことがなかった。
僕を見捨てないで、僕がそのことを気がつくまでに見守ってくれた人は、確かにいる。そのことに気がついたら、木が突然急成長し始める夢のなかの魔法のように、生きるエネルギーがメキメキと湧いてくる。
その仲間といっしょに、船を修理し始める。
なかなか修理はうまくいかないんだけど、一つひとつだと互いに言い聞かせて、故障したところを直していく。
その間、食料は船長がこっそりとっておいてくれた乾燥したビスケットを食べてしのぐ。
そして、陸に向かって舵をとり始める。
舵を大きく右に動かしていても、面舵いっぱいにはなかなかならないときもたくさんあって、その度に、がんばってもうまくいかないことってたくさんあるんだと気付かされる。
途中で励まし合いながら、ときに泣き笑いして、少しずつ目的地に近づいていく。
やがて、着陸を果たす。
“自分で自分のことを信じること”は、自分にしかできないことだ。
だけど、いつのまにか始められていた、”人生という船旅”のなかで、僕を信じてくれる人がいるから、時間はかかったけれど、僕は自分のことを信じられるようになったのだと思う。
これからもきっと、気づかないうちに自分の殻に閉じこもってしまったり、一筋縄ではいかないこともたくさんあると思う。
だけど、どうか、”これまでの船旅”を忘れないでほしい。
それが、これから先の航海を”僕にとってよい航海”にするための秘訣だ。
ここで注意が必要なのは、良い旅というのは、完璧な旅のことを言うのではないということだ。
つまり、自分自身に対してなにが言いたいのかというと、「人生いろいろあると思うけど、まあ、あまり重くとらえないで、気長にいこう。」
Take it easy。
________________________________未来への船_____。
森のなかを歩く。
不規則だけど、どこかハミングしているように聞こえてくる、鳥のさえずり。
コポコポ、さらさらと川を流れる雪解け水。
雨にも風にも負けずに、見たことないくらい、たくましく、大きく、伸び続ける木。
ずっとずっと、先の先まで続いている森。
森はこんなに落ち着くのはなんでなんだろう。
人の波に揉まれて、都会の喧騒に戸惑いながらも、いつの間にか慣れていったことも忘れて、全身でこの空気を汲みとる。
汲み取った空気は、こころの泉に放出する。
この空気が、ほんの0.01%くらいの割合で、こころの空気の仲間になるだけで、不思議と息がしやすくなる。
ふと思い立って、気がついたら、もう森のなかを歩いている。
自然にふれると、枯れてしおれたこころも、きっと上に向かって少しずつ動き始めるから。
_____________________________静かなる森へ______。
夢が叶うときよりも、夢を描いているときが一番わくわくする。
夢が叶ったら、すごくうれしい。ずっと前から思い描いていた夢なら、なおさらうれしい。
夢が叶ったその日はうれしい気持ちに浸る。
次の日の朝起きたときに、いつも通り取り掛かろうとする。
そのときに、もうしなくていいことだったと思い出して、なんだかこころにぽっかり穴が空いたような気持ちになる。
この穴を埋めるために、新たな夢を描く。
夢が叶うまでは、もどかしくて、ぐちゃぐちゃな気持ちのときもあるんだけど、随分時間が経ってからは、なんだかそれも含めて全部よかったなと思える。
今日も夢を描く。
今すぐには叶わないことが、こころをゆっくり満たしていく。
______________________________夢を描け_________。
君を想う僕のこころは、止めることができない。
僕は君のことが好きだけど、君はまさか僕が君を想っているとは思ってもないみたいで、僕に恋人の話を照れくさそうにしてくる。
この思いを伝えたら、僕と君との関係は終わってしまうんだろうな。
そう思ったら、隠す以外の選択肢はない。
君から恋人の愚痴が出てきたときはちょっとうれしくなる。
だけど、その愚痴がノロケだとわかったとき、顔は笑っていても、こころは真逆になってしまうのを、僕は制御できない。
僕のこの思いを、絶対に君が察しないように、細心の注意を払って、笑顔をつくる。
君には幸せになってほしいなと思う。
君には笑っていてほしいから。
でも、僕にもその笑顔を、みせてほしい。
たとえ、それが恋人の話をするときに見せる笑顔でも。
君とファミレスへ行き、恋人の話をして盛り上がったあと、僕は時間潰しだと君に嘘をついて、君が帰ったあとしばらくファミレスに居る。
僕はさっきまで君が座っていた席をみる。
僕のこころの奥から、哀愁が押し寄せてきているのを感じる。
君が帰ったあとは、この気持ちを隠そうとしなくてもいいから、気が楽だ。
哀愁をコーヒーに溶かして、ゆっくり飲む。そのコーヒーは、思ったよりも苦くなかった。
___________________________届かない……________。