木漏れ日のなかを歩く。
ずっとずっと続いている道をじっと見つめると、長い長い道に思う。けれど、歩いてみるとそんなに長く感じない。
ここで吸う空気が気持ちいいから、だろうか。
こころの赴くままに任せることは、いつもできることじゃないけれど、たまにやってみると、新たな発見がある。
大したことじゃなくても、発見には違いない。
自分にとって価値があるものかどうかが最も重要だから。
今日も木漏れ日のなかを、いつもより少し足どり軽やかに歩く。
______________________________木漏れ日_________。
特に用もないのに、ふらっとコンビニに立ち寄ったとき。
“あのラブソング”が、わたしの来るのを知っていたかのように、流れ始めた。
お菓子のコーナーで、チョコレートを選ぶふりをしながら、流れ始めた音楽に耳を傾ける。
甘くて、ちょっとだけ苦い。ときには甘さよりも苦さの方が際立つ。そんなチョコレートのような音楽に。
幸せいっぱいで、なんのすれ違いもない。そんなラブソングは、つまらない。
わたしは、恋愛には疎いから、ラブソングを聴いてもいまいちその気持ちがわからないときがある。
けれど、”あのラブソング”を聴くとき、もう会えない大切な人を思い出す瞬間がある。
ときにはその苦い味に、顔をしかめながら、チョコレートのような苦くて甘い、そんな人生を、楽しみながら生きていく。
_______________________________ラブソング____。
小学校卒業のときに埋めたタイムカプセルに、20歳の自分に向けて書いた手紙を入れた。
20歳になり、タイムカプセルに入れた手紙を開く。
そこには、小学6年生の自分がいた。
読んでいると恥ずかしくなってくることも書いてあって、なんでこんなこと書いたんだろうと思うけれど、これを書いたときの自分の気持ちを微かに思い出せるから、不思議だ。
今ではそんなこと思ってないと思うけれど、こころの奥の深いところではそう思っている自分もいることに気づいて、驚く。
10年経って、変わったことの方が多いけれど、変わっていないところもあることに安心する。
今、10年後の自分に向けて手紙を書くのも面白いかもしれない。
きっと10年後、手紙を開いたときに、今の自分に会える気がするから。
____________________________手紙を開くと_______。
街をゆく人々の目は、さまざまな色をしている。
わくわくした色の人もいれば、その近くで顔は楽しそうにしているけど、実はつまらないことを必死で隠している人もいる。
みんなの好きなもの、好きなことに、興味を持ちたいのに興味がもてないことがある。
みんなともっと話したいのに、どうしても興味が持てない。
そんなとき、自分を変えようと、自分の気持ちに嘘をつこうとする。
だけど、”ずっと深い意識のなかにいる自分”が、すぐにその嘘を見破って、嘘をつくことを許さない。
たくさんたくさん悩んで、そのうち、自分を偽ってまで、無理に人と関わらなくていいと、開き直る。
そして少しずつ、自分の芯となるものを見つけていく。
そうやって、自分を貫く生き方を選ぶ。
それが、正解か不正解かわからない。生きていくなかで、後悔するときが来るかもしれない。
だけど、『自分が決めたことは、最期のときが来た時に後悔することはない』と信じて生きていくしかない。
最期は最期のときが来るまでわからないから。
今日も人に揉まれながら、街をゆく。
___________________________すれ違う瞳__________。
空が青い。
果てしない青。
雲が気持ちよさそうに空を泳いで、飛んでいる。
日が暮れると、空は真っ黒になる。
わたしには、空が藍色に染まったようにみえる。
この藍色をみると、悲しみや苦しみが、青のなかに吸い込まれていって、少し気持ちが上を向くような、そんな気がする。
実際の空は藍色ではないのだけれど。
日本で、かつては天然染料として広く定着し、江戸時代から明治時代にかけて衣服に欠かせない色となった藍色。
何百年も前に生きていた人たちのなかで、同じことを考える人はいただろうか。
そんなことを考えながら夜空を見上げる。
日が暮れた空は藍色に染まる。
”藍色の宙”をみて気持ちが上を向く。
時空を超えて、気持ちが通じ合っているように、微かに感じる。
___________________________青い青い____________。