「勇気とは、無鉄砲と臆病のちょうど中間のことである。両極端の悪い例と等しく距離をおくことを最善とする。(アリストテレスより)」
無鉄砲だと、何も怖くない状況であるため、不安な気持ちはない。だた無謀な行動を起こすだけで、その行動からなんの学びにもならない。また、臆病すぎると、勇気のある行動を起こすことが困難になる。
不安を感じつつも、それに打ち勝って行動しようとすることが、“勇気”である。
この“勇気”の初めの一歩を踏み出すことが、“小さな勇気”というのではないだろうか。
“小さな勇気“のある行動をしようと思っても、わたしの緊張は大きくなっていき、次第に不安も膨らんでいって、一歩を踏み出すことを何度もためらってしまう。
この一歩を踏み出すまでが、最もエネルギーを使うときだと思う。
また、この一歩を踏み出すのに、多くの時間と心の準備が必要になる。
しかし、一歩を踏み出した後は、”小さな勇気“のある行動をできたという自信になり、心が落ちつかせた状態で冷静に考えることができる。
そのため、一歩を踏み出したあとは、何度か後ろの方向へ戻ることのあるものの、少しずつ前の方へ進んでいっている。そして、進んでいったところで、これまでとは別の、”小さな勇気“のある行動をできると思う。
わたしはこれから、どんな”小さな勇気”のある行動をして、一歩を踏み出していこうか。
__________________小さな勇気___________________。
一年前の冬、わたしは試験を受けた。
試験会場が自宅から遠かったため、宿に前泊した。
宿に着き、テキストを開くが、そわそわしてあまり集中できない。
一人で過ごすなかで、緊張が膨らんでいった。
弟に電話して、たわいのない話をすると少し心が落ち着いた。
夕食をとって、最後の追い込みをした後、翌朝早起きするために早めに床についた。
床についたものの、いつもと寝具が違うこと(特に、まくらがいつもと高さが違うことと、布団が若干薄くて寒いこと)と、なにより緊張していて心音が身体全体に響いていた。
目を閉じていても、なかなか眠れなくて焦った。試験のためにも、少しでも寝ておかなくては。
結局、寝れたのはニ時間くらいだっただろうか。
四時過ぎに、かけていた目覚ましの音で起きた。念の為に二つ目覚ましをかけておいたが、一つ目の目覚ましの音で起きることができた。すぐに二つ目の目覚ましが鳴る前に止めておく。
まだお腹は空いてないが、今食べておかないと食べるタイミングがない。
試験の途中にお腹が空いて、集中できなくなったら困る。
わたしは、先に荷物をまとめて身支度をして、起床後三十分くらい経ったときに朝食をとることにした。
もう今日が試験だから、やるしかないという気持ちになったためか、昨日よりは緊張が和らいだが、それでもかなり緊張していた。
これ試験に出るかな、あれも最後に目を通しておかないとな、いろいろ考えながらテーブルの上に朝食を並べた。
わぁ!なんだこのモチモチした食感は!黒豆と餡子ともちのバランスが最高だ!こんな美味しい食べ物があったんだ!
それは、お母さんが前日に近所の餅屋で買ってきてくれた豆大福だった。
もちはすきでよく食べていたが、豆大福を食べたのは覚えている限り初めてだった。
このときばかりは、試験の緊張よりも豆大福がおいしいことの感動が優った。
豆大福を食べているとき、食べた後しばらく幸せな気持ちに浸ってから、試験に向けて最後の追い込みを始めた。
今でもこの豆大福を食べたときの感動は忘れない。
弟、お母さん、応援してくれた方々、豆大福、豆大福に関わった全ての方と食材に感謝。
__わぁ!______________________________________________。
わたしは幼い頃、だいすきな映画をみている途中に、終わりがこないでほしいと願った。
終わりがくると、“その物語の住人”から、“現実世界の住人”へと”心の引っ越し”をしなくてはいけない。
わたしは、映画がずっと続いてほしい、終わらないでほしいと願った。
映画のエンドロールが流れているときには、”現実世界の住人”に戻ることへの拒否反応からなのか、この物語の続きはどうなるんだろうかと“想像”をして、なんとか”その物語の住人”であり続けようとした。
“想像”することは楽しかった。その反面、“想像”しても現実の世界は何一つ変わらないことに打ちのめされていた。
やがてわたしは気づいた。映画が終わり、物語が終わっても、”その物語の住人”になった“記憶”は残っているということを。その“記憶”がわたしに勇気をくれた。
映画が終わった後に“想像”することは、”その物語の住人”から、”現実世界の住人”へと、”心の引っ越し”をするための、猶予期間なのかもしれない。
すぐに気持ちを切り替えることが苦手なわたしが、現実世界から逃げないようにするために、この猶予期間が必要だったのだと思う。
また、物語がわたしに強く語りかけてくる”想い”が、わたしを”まだ終わらない物語”に連れていってくれた。
この期間を経て、わたしは”現実世界の住人”であることを少しずつ認めて、これからも生きていこう、生きていけると思った。
“終わらない物語”はない。“わたし”という物語にも、いつか終わりが訪れる。
始まりがあるものには、必ず終わりがある。
このことは、絶望のようであり、希望でもある。
必ず訪れる、”わたし”という物語の終わりに向かって、わたしは生きることができる。
“終わらない物語”があるとしたら、それは“想い”だと思う。
“想い”には実体はなく、目に見えるものではない。
しかし、強い“想い”は、実体があり重さがある全てのものよりも、なによりも“重い”。
この“想い”は、いい方にも悪い方にも傾く。そして、軽くも重くもなる。
そして、強い”想い”はいつか、だれかの”記憶”として残る。
わたしは、この人生をかけて、どんな”想い”を、”記憶”を残していこうか。どんな”終わらない物語”を描いて残していこうか。
わたしがだいすきな映画をみたあとに残った“記憶”が、”想い”が、わたしを”まだ終わらない物語”へ導き、現実世界で生きる希望を与えてくれたように。
(END)
_________________________________________終わらない物語__________________________________________。
わたしは、小学校低学年の頃に、“嘘をつくとえんま様に舌を抜かれる”と友達が言っているのを聞き、嘘はついてはいけないのだと思っていた。
しかし、嘘をつかないとだれかが傷ついてしまうような状況が成長とともに少しずつ増えていき、わたしは嘘をつくことを覚えていった。このような嘘を“やさしい嘘”といったんだなと思い返す。
嘘をつくようになっても、“嘘をつくとえんま様に舌を抜かれる”というフレーズは、心のどこかに残っていた。そのため、嘘をつくたびに、悪いことではないはずなのに、罪悪感があった。
しかし、わたしが罪悪感を感じることよりも、だれかを傷つけることがあってはいけないと思った。
わたしはこのようにして“やさしい嘘”を覚えていったが、いつの間にかわたしは、自分の気持ちに嘘をつき続けていた。
わたしは、本当は大丈夫ではないのに、大丈夫だと嘘をついた。大丈夫なふりをした。このような行動の理由として、周りに心配かけたり、迷惑をかけないようしなくてはいけないという思いからだった。
しかし、『わたしは本当はどうしたいのか』ときかれたときに、何も答えられなくなっていた。他人に迷惑をかけないために、今何をすべきかを最優先してきた。しかし、それは”自分の本当の気持ち”に嘘をつき続けているということでもある。
“優しい嘘”と”自分の本当の気持ち”はどちらも大切だ。しかし、自分と向き合うときには、自分に嘘をつかずに正直でありたい。
わたしはこれからは、”自分の本当の気持ち”を伝えられるようにしていきたい。また、”誰かの本当の気持ち”を受け止められる人でありたい。
_____________________________やさしい嘘________。
瞳をとじるとき、そこに広がる景色はどんな景色だろう。
わたしは幼い頃、瞳をとじると、そこに広がるのは“宇宙”なのかもしれないと思っていた。真っ暗だけど、そのなかに輝く星のようものあるようにみえたからだ。
わたしは瞳をとじて“想像”することが楽しかった。”宇宙“の他にも、自分がみたいと思った景色を“想像“すると、そこにあるように思えた。楽しいことを”想像“すると、楽しい気持ちになった。
今、わたしは、辛いこと、悲しいことがあったときに、わたしはずっとそのことについて考え続けてしまうため、さらに辛く、悲しい気持ちになる。
ほんとうは、そんな気持ちにはなりたくない。
だからといって、楽しいこと、嬉しいことを考えると、現実逃避になっているような気がして、現実に戻り、また、辛く、悲しい気持ちになる。
これからは、楽しいことを想像することは、現実逃避ではないと信じたい。
辛いこと、悲しいときがあったときに、そのことをひたすら考えていても仕方がない。そのできごとは変えられない。
また、いくら自分を責めても何も変わらない。自分が自分を裁判することはできない。
楽しいことか辛いこと、どっちか選ぶなら楽しいことだろう。
もっと肩のちからを抜こう。想像するだけだったら、どんなことでも自由だから。
楽しいことやうれしいことを考えることは、すぐには難しいかもしれない。しかし、その割合が、辛いこと、悲しいことを少しずつ上回っていったら良いなって思う。
“想像”はこの地球上で唯一、人間だけができることだ。
わたしは、瞳をとじて、今日も”想像”する。
_____________________瞳をとじて_______________。