M.E.

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一年前の冬、わたしは試験を受けた。

試験会場が自宅から遠かったため、宿に前泊した。

宿に着き、テキストを開くが、そわそわしてあまり集中できない。

一人で過ごすなかで、緊張が膨らんでいった。

弟に電話して、たわいのない話をすると少し心が落ち着いた。

夕食をとって、最後の追い込みをした後、翌朝早起きするために早めに床についた。

床についたものの、いつもと寝具が違うこと(特に、まくらがいつもと高さが違うことと、布団が若干薄くて寒いこと)と、なにより緊張していて心音が身体全体に響いていた。

目を閉じていても、なかなか眠れなくて焦った。試験のためにも、少しでも寝ておかなくては。





結局、寝れたのはニ時間くらいだっただろうか。

四時過ぎに、かけていた目覚ましの音で起きた。念の為に二つ目覚ましをかけておいたが、一つ目の目覚ましの音で起きることができた。すぐに二つ目の目覚ましが鳴る前に止めておく。

まだお腹は空いてないが、今食べておかないと食べるタイミングがない。

試験の途中にお腹が空いて、集中できなくなったら困る。

わたしは、先に荷物をまとめて身支度をして、起床後三十分くらい経ったときに朝食をとることにした。

もう今日が試験だから、やるしかないという気持ちになったためか、昨日よりは緊張が和らいだが、それでもかなり緊張していた。

これ試験に出るかな、あれも最後に目を通しておかないとな、いろいろ考えながらテーブルの上に朝食を並べた。





わぁ!なんだこのモチモチした食感は!黒豆と餡子ともちのバランスが最高だ!こんな美味しい食べ物があったんだ!





それは、お母さんが前日に近所の餅屋で買ってきてくれた豆大福だった。

もちはすきでよく食べていたが、豆大福を食べたのは覚えている限り初めてだった。

このときばかりは、試験の緊張よりも豆大福がおいしいことの感動が優った。

豆大福を食べているとき、食べた後しばらく幸せな気持ちに浸ってから、試験に向けて最後の追い込みを始めた。





今でもこの豆大福を食べたときの感動は忘れない。








弟、お母さん、応援してくれた方々、豆大福、豆大福に関わった全ての方と食材に感謝。








__わぁ!______________________________________________。

1/26/2025, 2:03:53 PM