レア

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6/3/2023, 2:15:53 PM

『失恋』

「なぁ、一人でなにやってんだ?」

私はあの時、あの瞬間、君に恋をした。
陰キャな私に声をかけてくれた、君に。

「ハハハッ、バッカじゃねーの」

君と過ごす日々、っていうのは楽しくて楽しくて。
毎日毎日、前はめちゃくちゃ長いと感じていた日々が、君といるととても短く感じる。
私、君のことが好きだよ。
でも、だから思う。

「あ、幼馴染見っけたからちょい行ってくるわ~」

……この恋は、この感情は、隠しておかないと。
隠して、隠して、鍵を何重も掛けなきゃいけない。
君が君の幼馴染と話していると、私は幸せと不幸せ、同時に感じる。
君が笑っているのは私も幸せになる。
けれど、君の幼馴染と話して笑うっていうのは、とても嫉妬して、不幸せ。
ああ、私の恋は届かない。
初恋は実らないって、どこかで聞いたことがあるけどさ。

「俺、あいつのこと好きになっちゃってさ」

どうすりゃいいかな、なんて君は言うけれど。
私の方こそ、どうすればいいのかなって考えてる。
好きな人から、遠回しに断られるなんて。
気付いてないくせに、さ。
ねぇ、

「……女の子は、ああいうのが好きだと思うよ」

素直に好きだって言えない私だからダメなの?
わからないけど。

__きっとこれが、

私にとって最初の失恋__



とある日。

「髪、切ってください」

……ロングの私は、ショートまで切る事にした。
私の初恋は失恋で終わった。

__貴方の初恋は失恋しませんように。

6/2/2023, 12:41:50 PM

『正直』

君は、‘嘘’を吐いたことがあるだろうか。

「貴方は元気? 私は元気!」

……元気じゃないよ、別に。

「貴方が笑顔になるなら、私も嬉しいなっ!」

……別に、君が泣いても私はどうでもいいけどね。

今日も、ずっと。
私は、嘘を吐く。
だってそれが当たり前だから。
そうじゃないと、それは私じゃないでしょう?
元気じゃない私は、
優しくない私は、
……私、じゃない。

「あれ貴方、見たことないんだけど、転校生? ……なら、私が案内してあげるっ!」

今日も元気に、嘘をつけ。
私は私だから。

そんな、時だった。

「オマエ、きっしょ」

……え。
案内すると言った私の目を10秒見つめて、そういった君。
……う、そは……バレてない、よね?
ダメだよ、私って優等生でいないとなんだから。
嘘吐きだってバレたら、今までの苦労が水の泡。

「……聞こえなかったの? 無理して笑ってんの気持ち悪ぃつってんの」

君は、正直だ。
グサッと、何かが刺さったような気がする。
……ダメだ、自分の感情は放ってないと。
また、お母さんにすぐに癇癪起こすのは子供だって、そう言われたから。
癇癪起こさないよう、嘘を吐き続けなきゃいけない。

「オマエもうちょっと素直になれば? 気色悪ぃよそれ」

素直、す、なお……。

『素直』って、なんだっけ。


「オレが、嘘吐きを素直吐きにしてやるよ」

素直吐きってなんだよ、ばっかじゃないの、と笑った。
そしたら、

「その調子」

と君はニコニコ言うんだ。
私は、

__素直になるのかな?

5/31/2023, 1:41:31 PM

『天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、』

僕はいつも、君と話す。

「今日天気いいよね」

とか、

「今日は雨だって、面倒臭いなぁ」

だとか、そんな、そんな世間話を君とする。
そんな僕の生活。
今日も、君と話す口実として。

「ねぇ、梅雨入りだって! 梅雨ってジメジメしててダルいよねぇ」

今日も僕は天気の話をしてるんだ。
本当は、聞いて欲しいことなんていっぱいある。
世間話なんかそんなじゃなくって。
僕の愚痴とか沢山、たっくさん君に聞いて欲しい。
君に、知って欲しい。僕、を。
そんな泣きたい僕と合わせてくれたのか、はたまた偶然か。
ポツポツ、と少し降っていただけの雨がザーザーとめちゃくちゃ降ってきた。
……ああ、そういえば今日傘持ってきてないなぁ。

「なにしてんの、マジで。傘ささないなんて小6までにしとけよ」

そう言って君は僕に傘をさしだした。

「い、いいって、」

「大丈夫遠慮すんな俺は折り畳み傘を持っている」

ニカッと君が笑うとき、ドキッと胸がなるんだ。
やめてよ、僕は性格が男の子よりなんだから。
一人称だって僕だから。
そんな、僕を乙女思考にさせないでよ、なんて……。
どうせ君は、僕がどう思ってるか知らないだろうけど。

「ほらー、受け取れ~?」

ぐいぐい、と出してくる君にやはり戸惑ってしまう。

「んー……。今日は大雨だね」

「……っへ?」

今更普通のことを言い出してきた君に、僕は戸惑う。
いきなりなんだよ、いつも天気のこと興味無さそうだったくせにさぁ、もう。

「や、今回は俺が前提話してやろうかなって。ほら、次はお前の番」

いつもの話……方……。
そういえば、僕が話しかけて、いつの間にか君が実体験とかを話してるんだっけ。

「あ、天気の話以外な」

話す気ないよ、君が話しちゃったもん。
でも、きっとこれを僕は待ち続けた。
僕の話を、聞いてくれる人を。


__天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、__


「聞いてよ、僕の話」

一人称が僕で、男よりの性格をした女の話を、さ。

5/30/2023, 1:32:27 PM

『ただ、必死に走る私。何かから逃げるように』

嫌だ、嫌だ、嫌だ……来ないで。
なんで、なんで……?
だって、

「よっ!」

君は、あの時に……死んだじゃん。

嫌だ、嫌だ、来ないで!
なんで、嫌だよ、嫌だよ私。
お願い、来ないで。
なんでもする、なんでもするから……ねぇ、来ないでよ。

「俺と鬼ごっこしよ!」

君はあの笑顔でそう言ったんだ。

ただ、ただ……必死に走った。



ここの学校ではとある噂がある。
それは……何かから逃げるように走る人がいるという噂。
それは、小説化もされた。
題名は……


___ただ、必死に走る私。何かから逃げるように___

5/29/2023, 10:26:13 AM

『ごめんね』

ごめんね。
ごめんね。
ごめんね……。
謝って、
謝って、
謝って……。
私はそれしか話す術を知らないから。
今日も、ずっと謝るの。

「んななんもねーんに謝んなって! 」

君はそう言ったね。
そうしてこうも言ったよね。

「ありがとうの方が嬉しいっつーの!」

んははっ、なんて笑う君は、とても綺麗で。
私には真似出来ないものだった。

「あー、ねっみ、俺と授業サボんねぇ?」

ダリー、なんて。
君ってホントマイペースだよね。
確かに、君みたいに図太ければ謝罪言うこと、少ないかもだけど。

「あ、それ取ってくんね?」

あ、ごめんね。これだよね、はい。

「あっまた謝った~」

あ、っごめんね。

「謝んなっつってんだろ~?」

……そう言われても、癖だし。
まぁでも、ごめんね。
ごめんね。
ごめん……ごめんね。

けど私は‘簡単に謝るな’と君が言った言葉の意味が、わかった。

君と離れてから、いじめを受けるようになって。

ああ、

ごめんね、

ごめんね、

ごめんね__


__私はずっと、謝ることでしか生きる術を知らないから。


「ごめんね」



__今日も、ずっと謝るの__

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