『天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、』
僕はいつも、君と話す。
「今日天気いいよね」
とか、
「今日は雨だって、面倒臭いなぁ」
だとか、そんな、そんな世間話を君とする。
そんな僕の生活。
今日も、君と話す口実として。
「ねぇ、梅雨入りだって! 梅雨ってジメジメしててダルいよねぇ」
今日も僕は天気の話をしてるんだ。
本当は、聞いて欲しいことなんていっぱいある。
世間話なんかそんなじゃなくって。
僕の愚痴とか沢山、たっくさん君に聞いて欲しい。
君に、知って欲しい。僕、を。
そんな泣きたい僕と合わせてくれたのか、はたまた偶然か。
ポツポツ、と少し降っていただけの雨がザーザーとめちゃくちゃ降ってきた。
……ああ、そういえば今日傘持ってきてないなぁ。
「なにしてんの、マジで。傘ささないなんて小6までにしとけよ」
そう言って君は僕に傘をさしだした。
「い、いいって、」
「大丈夫遠慮すんな俺は折り畳み傘を持っている」
ニカッと君が笑うとき、ドキッと胸がなるんだ。
やめてよ、僕は性格が男の子よりなんだから。
一人称だって僕だから。
そんな、僕を乙女思考にさせないでよ、なんて……。
どうせ君は、僕がどう思ってるか知らないだろうけど。
「ほらー、受け取れ~?」
ぐいぐい、と出してくる君にやはり戸惑ってしまう。
「んー……。今日は大雨だね」
「……っへ?」
今更普通のことを言い出してきた君に、僕は戸惑う。
いきなりなんだよ、いつも天気のこと興味無さそうだったくせにさぁ、もう。
「や、今回は俺が前提話してやろうかなって。ほら、次はお前の番」
いつもの話……方……。
そういえば、僕が話しかけて、いつの間にか君が実体験とかを話してるんだっけ。
「あ、天気の話以外な」
話す気ないよ、君が話しちゃったもん。
でも、きっとこれを僕は待ち続けた。
僕の話を、聞いてくれる人を。
__天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、__
「聞いてよ、僕の話」
一人称が僕で、男よりの性格をした女の話を、さ。
5/31/2023, 1:41:31 PM