『失恋』
「なぁ、一人でなにやってんだ?」
私はあの時、あの瞬間、君に恋をした。
陰キャな私に声をかけてくれた、君に。
「ハハハッ、バッカじゃねーの」
君と過ごす日々、っていうのは楽しくて楽しくて。
毎日毎日、前はめちゃくちゃ長いと感じていた日々が、君といるととても短く感じる。
私、君のことが好きだよ。
でも、だから思う。
「あ、幼馴染見っけたからちょい行ってくるわ~」
……この恋は、この感情は、隠しておかないと。
隠して、隠して、鍵を何重も掛けなきゃいけない。
君が君の幼馴染と話していると、私は幸せと不幸せ、同時に感じる。
君が笑っているのは私も幸せになる。
けれど、君の幼馴染と話して笑うっていうのは、とても嫉妬して、不幸せ。
ああ、私の恋は届かない。
初恋は実らないって、どこかで聞いたことがあるけどさ。
「俺、あいつのこと好きになっちゃってさ」
どうすりゃいいかな、なんて君は言うけれど。
私の方こそ、どうすればいいのかなって考えてる。
好きな人から、遠回しに断られるなんて。
気付いてないくせに、さ。
ねぇ、
「……女の子は、ああいうのが好きだと思うよ」
素直に好きだって言えない私だからダメなの?
わからないけど。
__きっとこれが、
私にとって最初の失恋__
とある日。
「髪、切ってください」
……ロングの私は、ショートまで切る事にした。
私の初恋は失恋で終わった。
__貴方の初恋は失恋しませんように。
6/3/2023, 2:15:53 PM