舞桜

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3/21/2024, 9:44:53 AM

夏の夜だった

寝苦しさから目を覚ました私は
家族四人が並んで寝ている足元にいた。

母と、弟二人、そして私。

まっすぐに寝ようと布団をごそごそしていると、

見慣れた、母のものでない大人の足があった。

毛深くて、筋肉質で、浅黒い。

 ああ。お父さんだ。

いつの間にか、居るはずが無いのに
そこにある父の足に安心して寝てしまった。

夢なら覚めなければよかったのに。

3/19/2024, 11:26:43 PM

2年後に、あのベンチで。

ドラマみたいにそう言い残して旅立った君。

2年もたって私も若くなくなったけど。
その日、ベンチに座ってみた。
来るはずのない君を待って。

来ないと分かっているはずなのに、
10分、20分と時間が立つにつれて
不安感と胸の高鳴りは募る。

お昼過ぎ、近くのコンビニで買ったおにぎりを
食べていると、君とは似ても似つかない人が
隣に座ってきた。

 あれ?もうお昼食べちゃってた?
 まぁ甘いものは別腹だよね!

聞き慣れた独特のイントネーションの声。

ベンチに置かれた私の大好きなフルーツサンド。

走り去る小さな背中はきっと君なのだろうか。

3/11/2024, 1:28:33 PM

平穏な日常。

誰もが退屈し、好まないもの。
誰もが忘れてしまった、一番大切なもの。

誰かの目に映る、
ただの木、ただの草、ただの花、ただの人が、

誰かにとっては、
青い空に映える黒い木々で、
生き生きと青く茂る野草で、
透き通るように薄く美しい花びらの花で、
ため息が出るほど大切で大好きな人。

なのかも、しれない。

私は、まだ赤子だったよ。
赤子だった私には、
あなたの恐怖を、
孤独を、
寂しさを知らない。
知れないんだ。

それは、幸せなことかもね。

仕方がなく、無力だった。
私はその代わり今という時を生きなくてはいけない

それは時に、死よりも辛いだろう。
でも、乗り越えてみせるよ。

だから、安心してね。

3/8/2024, 2:20:37 PM

遊びに出かけよう。
車はいらないから。

自転車か、自分の足で。

遊びに出かけよう。
お金はいらないから。

バスケットに、サンドイッチをつめて。

遊びに出かけよう。
行く宛もいらないから。

君が隣りにいてくれるのなら。

いい車なんかより、
君ととなりを歩くのが

高級食なんかより、
君とごはんを食べるのが

君と一緒に歩いて、
一層鮮やかで、
一層艷やかで、
一層あったかい、

桜の舞う中、
そんな、お金より大切なものに心躍らせて。
お昼過ぎ。あの公園の、
桜の木の下で。

3/6/2024, 10:08:24 PM

生まれた時、僕は一人だった。

そのうち、
すりガラス越しの世界みたいに、
世界が、鈍く、速く、回って。
でも、僕らは一人だった。

近くにいた一人の子に、
話しかけて、二人で話した。

僕と君は一人じゃなくなった。
僕と君をつなぐものは、
目には見えない。
でも、それを僕らは大切に、
どこかにしまって生きるのだ。

人は、それを「絆」とでも言うのかな?

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