舞桜

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夏の夜だった

寝苦しさから目を覚ました私は
家族四人が並んで寝ている足元にいた。

母と、弟二人、そして私。

まっすぐに寝ようと布団をごそごそしていると、

見慣れた、母のものでない大人の足があった。

毛深くて、筋肉質で、浅黒い。

 ああ。お父さんだ。

いつの間にか、居るはずが無いのに
そこにある父の足に安心して寝てしまった。

夢なら覚めなければよかったのに。

3/21/2024, 9:44:53 AM