宝物
「お前は俺の宝物だ」なんて言ったら、お前はどんな反応を見せてくれるだろうか?お前は俺のことが好きだから、嬉しさのあまり泣いてしまうか?それとも感激のあまり何も言えなくなるか?
夢主に先程の言葉を伝えてみると、予想通り夢主は静かに綺麗な眼から大粒の涙を流し袖に濃い色を付けていた。嬉しすぎたか?とほくそ笑みながら聞くと夢主は大きく頷き俺を抱きしめてきた。ははぁ、夢主の想いに答えてやると存外いい気分になるな
補足
夢主の自分への好意を過信しすぎてる愛に飢えてるogt、夢主は俺が好きだからそばに居るんだろうし、俺が好きだから愛の言葉を囁いて来るんだろう、ならたまにはそれに応えてやるのもいいな?って思ってる。夢主が嫌がるのを想像してないあたり…夢主のこと信じすぎてる。
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キャンドル
自分の誕生日のように浮かれる私を尻目に、彼はショーウィンドウの中、綺麗に飾られたケーキをじっと吟味している。どれも素敵だね、と言いながら少し膝を曲げガラスに顔を近づけ、ケーキを見る。私と同じように彼が膝を曲げ「お前が好きなのはなんだ?」ケーキから目を離さずに問いかけた「私は定番のショートケーキ好きだな」そう答えると彼が、ならそれを買おうかと提案してきたので慌てて「tksmの誕生日なのに私の好きなの食べるなんて」と言うと、tksmはくすりと軽く笑いながら、好きな物食べて幸せそうにしてるお前の顔を見ながら食べた方が俺も幸せだ。なんて恥ずかしげもなく言うので、こちらが顔を赤くしてしまう。
可愛い誕生日用キャンドルも貰っちゃおうか!少し興奮気味に言うと、彼はやれやれと言った感じで了承した。誕生日用のキャンドルを貰い浮き足立ちながら店を出る私に彼は、「俺の誕生日なのにお前が今日1番楽しそうだ」と目を細めて幸せそうに笑うので「好きな人の誕生日ほど幸せな日はないよ」と少し勇気を出して彼の手を自分から繋ぎながら伝えると、彼はそっぽを向いてしまった。彼の耳が赤くなっていたのは見知らぬ振りをしておこう。
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たくさんの想い出
式が終わり各自教室に戻り、担任から最後の言葉を貰う。泣きながら聞いてる子や、少しくすくすしている子、じっと聞き入っている子がいる、私は卒業するという実感が未だわかず、うわの空で先生の話を聞き流しながらちらりと窓の席のnmを見る、彼はじっと凛々しい顔で先生の話を聞いていた。相変わらず絵になる横顔だ。すると、私の視線に気づいたのかこちらに目をやり微笑んだ。恥ずかしくなって急いで目線を外す、ドキドキとうるさい胸に手を当て鎮めようとするが言うことを聞かない私の心臓は、先生の話が終わるまでずっとうるさかった。
先生の話も終わりクラス中が思い出話に花を咲かせている。私もある程度友達と話しながら、先程の出来事を思いだす。nmの事は1年の時から想いを寄せていた、優しく真面目で、時折無表情の顔を崩し冗談を言うnmが好きだった。そんな彼の浮ついた話は全く聞かなかったが、彼はとにかくモテていた、こんな大人しい私にも優しいためモテるのは当然だと納得していた。3年間幸運にもクラスが一緒で、何回か席も近くなり他の女の子よりは仲良くなれたと我ながら自負していた。しかし高嶺の花のような彼に私の想いを伝えるなんて、とても勇気が出なかった。今も部活動の仲間だろうか?彼を囲って笑いながら泣いている。nmをぼんやり見ながら、彼とのたくさんの想い出の更新も今日で終わりかと感じる。そう思うと何ともなかった今日がとても寂しく終わらないで欲しい気持ちが湧き、隣にいた友達の肩を借りボロボロと涙をこぼす、私の涙に釣られたのかその子も泣き始め、周りの子も泣き始めてしまった、連鎖に面白くなって、笑いながら自分の想いを流すよう沢山泣いた。
友と別れを告げ昇降口を出る、もう戻らない高校の正門を出ようとすると、後ろから私の名前を呼ばれる。「おーい!夢主!まってくれ!」後ろを振り返ると、nmが肩で息をしながら走ってきていた、驚きと嬉しい気持ちでまた心臓がうるさくなる、彼が私の前に来て息を切らしながら、私の肩を掴む。「お前が好きだ」
真っ直ぐ私の目を見据え、顔を赤くし息を切らしている。彼の口から出た彼の想いが信じられず、思わず本当?と聞き返す。「本当だ。お前が好きなんだ」また私の目を真っ直ぐ見て嘘偽りのない声で伝えられる言葉に、思わず彼に抱きついた。あぁ、あのたくさんの想い出に、大好きな思い出に蓋をしなくても良かったのか!彼も私と同じ想いを抱いてくれていたのか!彼が私の体に手を回し強く抱き締め返すのを涙を流しながら感じていた。
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冬になったら
冬になったら、徐々に彼が私に近づいてくる。これはもう確信を持って言える。夏でも近いが肩が触れ合う距離では無い、冬になるとこれでもかと言うくらい近づき私の手を少し雑に掴み自分のポケットに入れ込む。「お前が寒いと思ってな」と鼻を鳴らしながら自慢げに言うので少し意地悪をしてみようと考えた。
また別の日彼が同じように近づいてきたので制止する、何をするんだと抗議の顔を浮かべグイッと顔を近づけてくる。「今日はホッカイロがあるから温めなくていいよ」そう言うと彼はキェと小さく猿叫した。すこし意地悪しすぎただろうか?むすくれてしまいそっぽを向く彼の顔を覗き見る。眉をひそめて白い息を吐きながら、こちらをじろりと睨んできた。「ごめんね、いつも私の手が寒いからkitくんに悪いと思って」そう言うと彼はパッと顔を明るくし私に抱きついた。
「わいはほんのこてわっぜむぜね!」強く抱きしめるので苦しくなる、彼の背中を手で叩き痛いと伝える「すまん」と慌てて私を離した彼は眉を八の字に下げていた「大丈夫だよ、家に帰ろうか」笑いながら言うと彼は顔に花を咲かせ私の手を握った。
ki
はなればなれ
遠距離の彼とはなかなか会えないため、はなればなれになるこの瞬間は毎回憂鬱になる。
電車が発車の合図を出す、「もうそろそろ電車動くから危ないよ」優しい彼はそう言って私を電車の中に入るよう促した。「また会えるかな?」別に永遠の別れではないのにおもわず聞いてしまった、恥ずかしくなって下を向く。「なぁに言ってるの!あたりまえだって、今度は俺が君に会いに行くから」絶対にね、帽子から僅かに見える優しい目で真っ直ぐ私を見据えて微笑んだ彼が言う。
パッと顔を赤くしこくこくと頷くと、ドアが閉まり彼との間に壁ができる。ドアの窓越しから手を振る私に彼は両手で小さく振り返し笑っていた
sg