ぺんぎん

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7/20/2022, 11:09:07 AM

無題

月の匂いが漂う紺色の部屋を抜け出して
かこんかこんと足を鳴らしてうす暗い階段を一段飛ばし
すぐに消えてしまいそうなほどの君と耽美な色をしたビル街に恋焦がれている
こんな日は
綿あめ色にまじわっていく空の行方を知らないままでいいと思った



7/19/2022, 11:17:22 AM

ふにゃりと甘い笑みを溢した君はとんでもない魔法使い
手のひらにぽんと納まるくらいだった胸の火はあっという間、燃え広がって 
心臓がぱんぱんに膨れ上がっては呆気なく引っ込んだりして
ふわふわとおぼつかない足で綿あめの上をのろりのろりと歩いているよう
耳の先まで茹でられて頭のてっぺんまで君のことだらけ
ああ駄目、いまにも身体中、溶けだしちゃいそう

7/18/2022, 11:19:04 AM

綺麗ないろの君を独り占めさせて、ねえいつでも傍に置いていて
二口目のソーダ味が喉を滑っていく、侘しさだけに圧縮されていく
私だけをみて、そのまなじりも、匂いも、声も、まるごと
君以外を瞳に映していたくない、君だけで生きていたい
甘ったるい言葉をうわべだけで食んでは喉を灼いてしまう
ひんやりとした声、身体中浮き彫りになるほど熱の籠った部屋
かぷりと領まで喰ってしまえば、止めどない劣情が溢れだしていく
ぐずぐずに蕩けたアイスみたいな君を温い体温で上塗りする

7/16/2022, 4:17:35 AM

無題

溶けかけのかき氷、毒々しい色のシロップが滲む。
目の前に居座った彼はみるからに甘ったるいフルーツサンドを炭酸飲料で流し込んでいる。彼と食べる、甘い塊が喉を滑る。
――彼はいつだって、どこか変わり者。
ざくざくと冷たい山の形を崩してさくりと食んでほんのり赤い舌を想像してみる。なんだか雪山を登ってるみたい。せいぜい3、400円くらいの。
静まりかえったビルの屋上のテラス、空が一気に近づいたようなそうでもないような。
へらりと笑みを浮かべた彼はひょろりと長い背をもて余すように食べかけのフルーツサンドと炭酸を日の射したテーブルに残して、風にもたれ掛かった。
私もその後を追う。靡いた髪の感触を確かめるように柔らかい色に触れた。その途端に細い手をからめとられて一瞬さっきまで口のなかにあったはずの冷たくて甘い味を忘れた。ぱっと手をほどいてまたへらりと笑った彼を見つめる。なりやまない鼓動の在処を探す。
やっぱり彼は変わり者。そんな彼に顔を赤くした私も大概だろうか。

崩した雪山はぐずぐずになって今頃甘い色を吸って紅くなっているだろうか。私もきっとおんなじ色だろうけど。

7/15/2022, 10:49:06 PM

貴方の柔らかい項に手を添えたときぷちりとなにか縺れた糸が弾けるような
身体中がんじがらめになるくらいの甘美な快楽を拾っていく
ぐっと細長い指を押さえつけた
傷口を舐めあって其れでも生きていたのだけれど
ぐずぐずに甘ったるい恍惚そうなまなじりに雨が滲んだ
薄い声が途切れていく、
彼は愛に淀んだロマンチスト、僕も相当か

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