永遠なんて、ないけれど
「僕は、故郷を捨てた」
実家の会社を手伝って、約20数年経った。
その間、結婚、息子が生まれ、大きな事故も無く、仕事も儲けも無かったが生きてもいけた。
僕は幸せを噛み締めていた。
休みなんてない。両親の会社だ。朝早く、夜遅く。徹夜、寝ずに、そして、子供にも、全力で向き合った。
肉体的にはボロボロだか、でも仕事のやりがいと息子の成長を近くで見られる。 精神的に幸せだった。
趣味こそ、全く出来なかったので、よく周りに「趣味が仕事」と笑って見せた。それでも 幸せだった。
このまま、永遠に続く 訳は、なかった。
この世に、永遠と形は、長く存在しない。
会社を閉める事になり、僕は選択を迫られた。
僕は、故郷と両親を捨てたのだ。
家族と共に、遥か遠くの土地に、僕は逃げたのだ。
故郷から、親から、友達から 周り全てから
この選択は、間違っていたのか?
今も同じ様な仕事をしている
故郷にも、2年位に1回は、帰っている
新たな人生、新たな幸せを求めて、僕は選択をしたはずなのに
今は、すごく後悔している。読んでる人には、たぶん、最初が贅沢なんだと思う人もいると思うが、小さい会社で生き抜く過酷さを、どう表現すればよいのだろう。
僕は、あの幸せは、永遠に続く、と思っていた。
永遠なんて、ない、けれど、どこか、信じてみたかった。
今更、過去は変えられない、何もしなかった自分が悪いのもわかっている。
だから、僕は今、足掻いている。自分と、人生を変えようと。
永遠なんて、ないけれど、また、信じて頑張っている
幸せを信じる、
新たな人生に向かって
涙の理由
ありふれた言葉だけど
涙の数だけ、物語はあって
流した分だけ、成長する
楽しい時も、悲しい時も、嬉しい時も、辛い時も
いらない涙なんて、まったくなくて
涙を流した物語は、素敵な思い出にかわる
涙の理由も、全部後付けで
理由なんてものは、いつもわからない
僕の涙は、人より多く流すらしく
たぶん、「恥ずかしい奴」と思われるかも知れないけど
そんな自分を、気に入っている
僕の 涙の理由 は、
この世で生きていたんだ、と、
みんなの思い出に残りたい、思い出して欲しい
そんな理由、なのかも知れない。
コーヒーが冷めないうちに 僕のルーティン
さぁ、行こう
いつもの朝がやってくるよ また
さぁ、行こう
いつもの道 今日を始めれば、今日が終わる
いい事あるように、揉め事ないように
1日が早くすぎるように、願いながら、走り出す
僕の人生は、決して幸せではないけれど
決して不幸でもなかった
ありきたりな日常も、平穏な日々も
これから始まる物語の序章に過ぎないと
僕は思うんだ だから
さぁ、行こう
いつもの朝が始まる
お気に入りの豆をひいて、水入れて
コーヒーの香ばしい匂いをかぎながら
今日もがんばろう 明日を迎えよう
コーヒーが冷めないうちに 飲みほそう
苦味のない、これからの未来へ向かうために
パラレルワールド
人生を否定、考えない事によって、僕はその世界に没頭していく。
1日限りの この世界。
標高2000mの世界
天気は目まぐるしく変わり、その大地に僕は立っている
いつもの雑踏や汚染した空気。車の騒音、スマホの着信音もない静寂な世界。
手を伸ばせば雲を掴み、太陽を独り占めし、清らかな空気が僕を包み込んでくれる。
時折会う、人の暖かさと懐かしさに触れ、ただただ、自然と自分に向き合う。
そんな世界に、僕は生きてる。
この世界こそがパラレルワールドなのか?
僕という人間を否定される現実
悩み、苦しみ、悲しみ、そして妬んで、恨んで。
そんな現実世界に帰りたくない
現実の全てが解放され、僕という人間が肯定される。
この世界で、確かに僕は生きてる。そんな実感が湧く。
永遠に旅したい。永遠に留まりたい
1日限りの この世界
でも、1人は、やはりさびしいから
「君も一緒に、歩こう」
ようこそ、僕のパラレルワールドへ
時計の針が重なって
「君が恋しい」
手と手を重ね、寄り添いあったあの日
僕らは、一晩中、愛し合ったね
いつもは見せない、君の泣き顔が
その日は、何故か、嬉しかった
窓から漏れる月の光が、君の素敵な黒髪を照らして
君はまるで、空から降りてきた天女のよう
「ねぇ、今度はいつ?」
君は、めいっぱい、笑ってくれた
泣いてたくせに、僕の為に、笑うなんて、ひきょうだよ
時は少しずつ、僕らを引き裂いていく
朝日は、僕らの別れの時間だ
君は、部屋の時計を巻き戻し、僕に言った
「夜の0時に戻った! 魔法が解けたから、また、一緒にいれる」
朝の光は、再び僕らに魔法をかけた さよならの魔法だ
何回も振り返り、手を振る姿がつらかった
午前0時、君との時間。時計の針が重なるように
今度、僕たちが重なるのは、いつだろう
君が 恋しいよ