果川 活露

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10/25/2025, 2:19:04 PM

揺れる羽

興を求める童

その身を取り繕えと

風に揺れる礎

さざなみの風と落ちるなみだ

その先に見へる 比翼の鳥さえ

羽ばたくさまはいとあやしげなり

肥えた乞食に用命を期し

称うるためにお前に応えん

お題 : 揺れる羽根

10/2/2025, 12:48:30 PM

ある男が言った。
「人が離れていくのは、嫌われた時でも、呆れられた時でもない。君が君という性を捨てて、独りよがりな勘違いに魅了させられた時なのだ」と。何の脈略もないのに、まるで説法みたいだなと、僕は思った。
雨が人を襲うように降る真夜中に、僕らはキングだのビショップだのを動員してチェスをした。僕らのチェスには雑兵じみたポーンはいないから、一人のキングに幾万ものルークだとか、純粋なキングに多妻制を提案するが如くクイーンを総動員してみたりと、赤子の積み木遊びみたいな体裁で楽しんでいる。

駒をオセロのように配置しながら、男は続ける。
「白のクイーンに唆されて、黒のビショップは白色の刻印を体にぶちまける。合理主義の黒のキングは、ナイトを派遣してビショップを殺す。情報漏洩を防ぐ。そしてナイトも、純白の女王に喉を刺される。そのナイトは、第三勢力、仮に赤色だとして、そこの忠臣なんじゃないかと噂されていた。けれど、結局それは事実無根のガセネタだった。疑って、負け戦に送られ、生涯を終える。いいかい、息子」

僕は、指南を受ける雛鳥のように頷いた。酒に酔った親父の対処法ぐらい、心得ているつもりだったから。
焦げる香り、開け放たれた窓から入り込む寒風。チェス盤だけが生々しく発熱し、顔を突き合わせた二人の男は炯々とした瞳を互いに向ける。

僕の唯一の忠臣であるポーンが、キングの首に狙いを定めた。

「チェックメイト」

お題 : 遠い足音

10/1/2025, 8:11:20 AM

旅は続く。四肢と思しき何某かを振り回して前進する。もしくは後退する。四次元へと進む。気になるあの子を追いかけるように。だけれど、御涙頂戴の御都合主義からは逃げ切れるように、それなりに速くは進んでいる。
目的は分からない。ベタなことを言いたいわけではない。それなら、なぜお前は風の前の塵よろしくヒウヒウ漂っているのだと、様々な向きから御意見を頂戴することがある。そんなの答えようがないので、こうやって、ここまでの描写に『御』が何回出てきたのか、至極精密な検証によって獲得した答えを送ってやる。幸いなことにクレームは来ない場合が大多数を占めている。どうやってクレームを送るのかだとか、それは誰にも分からない。書き置きを残してやろうにも、旅路はあんまりにも違いすぎる。遠足みたいに足並み揃えるわけにもいかないから当然ではあるが、それにしても協調性に欠けていると上の方に掛け合いたくはなる。
オウムアムアが病的な人気を博していた。宇宙船だとか色々言われているので、僕は心のどこかで、奴が語り出し、「高次元生命体用の葉巻です」なんて言い出すのを期待している。そんなことはどうでもいい。どうでもいいことはどうでも良いから群衆の興味関心を買う。万物の心理である。
旅は続く。こうして雑文をつらつら書いている最中にも続き続ける。

だから、そろそろ頁を破って、ここに置いておこうと思う。

お題 : 旅は続く

9/29/2025, 9:06:23 AM

永遠なんて、ないけれど、なぜだか僕らは永遠を知っている。
ちょいと椅子を引きずってみるみたいに、もしくは、芥子の実を奥歯で嚙み潰してみるみたいに。『右足を前に、その次に左足を当然かのように出してみるみたいに』なんて言っても良いかもしれない。この種の論争に善し悪しの差異はなくて、せいぜいがところ永遠を求めるか拒むかみたいな、さしあたりどうでも良い派閥が生まれるに留まる。
僕らが想像できる永遠はどういう物かと言うと、僕の勘定によれば、それは以下の三つに限られる。

その一、スマホのキーボードを用意してもらって、無能判官よろしく『あ』を連打する。
その二、ロマンチックな恋を想像してみる。
その三、おしまい。

少なすぎるだろうという向きには、苦し紛れの屁理屈みたいになるがご紹介したい。
つまるところ、人の想いは永遠ということになる。
もちろん、矛盾はいくらでも出てくるわけで、過去の人類は現在の人々を恨めないし、仮に僕が蘇我入鹿あたりを恨んだとして、大化の改新みたいな類は僕の仕業ではない。人生間を超えた大恋愛は早々拝める物ではないし、その当事者になる可能性はさらに低い。

だから僕は、もうしばらくは永遠について考え込もうと思う。
ちなみに、そのしばらくという物も永遠ではないとなぜだか僕は知っている。

お題 : 永遠なんて、ないけれど

9/25/2025, 1:47:04 PM

パラレルワールドが存在しているとして、無数に存在する僕を仕切るのは誰なのかと思う。
ベースボール・チームみたく背番号が振り分けられて、一番は起き上がれとか、二番は起きるなとか、三番は二度寝しろみたいに、じゃあ四の五乗番目の僕は何をしているのかというと、やはり何かはしている訳で、そうなってくるとパラレルワールドは無数にあるのである。無限に続く天文学的な数字にプロトタイプを一人足す。その和がパラレルワールドの総数だといって文句を頂戴する義理はない。
自販機で無糖を買う僕、不可思議な暗号を解き明かして聖餅を獲得するアートマンな僕。色々あって、様々にある。

そうなってくると、やはり気になることが一つある。
そんな意味のわからない妄想を繰り広げて、滅多矢鱈に活字を連ねる僕の背番号は一体いくつなのだろうか。

お題 : パラレルワールド

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