小音葉

Open App
3/2/2025, 12:12:33 PM



銀の頂、白亜の塔
忘れ去られた過去の檻
ある日は、止まった針を見つめて
またある日は、小さな物語を棚に収めて
価値なき証を綴る亡霊

鼓動は鳴らず
吐き出す色は透き通る
確かめる足もなく
空洞を抱えて目を擦る
呼び声は久しく聞こえない

これが罰ならば
贖うべき罪の形ならば
しかし、天秤を揺らす手はどこから訪う
眠れない
これでは、込み上げる
まだ、まだ、永遠になりたくない
色付く、広がる、かつてあなたがくれたもの

ああ、あなたは、そう、あなただけを
待っていた

(誰かしら?)

3/1/2025, 12:05:50 PM

昏き底から這いずり穿つ
さあ、さあ、目覚める時が来た
おはよう、朝焼けの城郭、花舞う岬
おはよう、朽ちた花より醜い世界
薄闇に灯せ、燃えろよ炎

そこに根を張り眠っていた頃
天を叩く脚に起こされて
睨んだはずの瞳はたちまち奪われた
忘れもしない
嫋やかな乙女
風と踊る名も知らぬ花
馬骨に手折られるならば隠したのに

残骸は腹の底
地を穿ち、風を裂き、城壁に喰らい付く
這ってでも転ばせて見せよう
いつか花を踏み躙った、乾いた枯れ木
報いならば今燃え上がる
さあ、さあ、銀葉の毒を燃料に
宙の星より苛烈に燃やせ

復讐の時、来たれり

(芽吹きのとき)

2/28/2025, 10:26:59 AM

あなたの肌のような白い布は
私たちを隠して
千夜一夜、二人だけの小さな城へ
けれど風に煽られ、透けて、翻り
いつかあなたを連れて行ってしまった

微かに香る白檀
雲によく似たシーツの中、溺れて
きらり、片耳に揺れる太陽が去ったこと
気付かなかったのは誰のせい?

あの頃からまるで全てが夢のよう
愛も王冠も要らないのに
あなただけが見つからない
寒くて、眠くて、冷たくて
あなたに届けと伸ばした手は雲間を泳いで落ちていく

癖のあるこの髪を掬って、片指で遊んでいたあなた
くるり、くるり
シルクのひとときは遠き春
桜色の唇は、空の瞳は、何を紡いでいたのか

あなたの熱を忘れたくない
まだ、あなたの炎を覚えていたい

(あの日の温もり)

2/27/2025, 2:09:04 PM

柔らかな頬はマシュマロ
苺のように熟れて、容易く歪む
流す涙は金平糖
甘くて甘くて、摘み始めたら止まらない
細い腕は、小さな背は、震える足は
きっとチョコスナックやクッキーで出来ているのね
ほぅら、片手で捻って砕いてしまえる

手のひらで踊る愛しい子
もっと踊って、もっと崩れて
もっと、もっと、もっと
粉になるまで愛しましょう
溶けてしまうまで戯れましょう

(cute!)

2/26/2025, 10:20:15 AM

これが最後、言い聞かせて鍵を開ける
無機質な白
感情のない色
かつて壊れた始まりの場所で

燃える手のひら、守る盾となり
徐々に彩る無数の星々
繰り返す度に増えて、増えて
抱えきれなくても手を伸ばした
愛して、叫んだ
信じて、託した
重なる影に、離れ行く鼓動に
幾度もこの胸は張り裂けて

それでも誇った
我らが虹に光あれ
声を揃えて高々と
黄金の空、柔らかく微笑んだ人を引き留められたなら
愛を告げること、許されたなら

首を振る
もう一度、首を振る
さあ、瞼を開けて
白昼夢はもう見ない
最後、目に焼き付けたなら
私は永遠に戻らない

(記録)

Next