小音葉

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2/25/2025, 10:34:55 AM

まぁるい天に星が廻る
描き殴れば色落ちて、けれど透明には至らない
塗り重ねれば重く重なり、やがて剥がれ落ちて行く
骸の山、いつか砂となり
大地は子を孫を育んだ

轍を蹴る
指先を伸ばし、躍動する
刹那、鳥になる
空は廻る、転がり、落ちる
変わらない
ゆえにこそ、途方も無い天がある
寝返りを打てば聞こえるだろう
踏み締めた時の声

彼らは君を突き放す
今はまだ血を滲ませ歩め、乾け、飢えて走れと

(さぁ冒険だ)

2/24/2025, 10:58:53 AM

震えて揺れる
舞台は炎に抱かれ
振り落とされた彼らの顔をもう思い出せない

戦火に翻る旗
朽ちた剣は誰かの墓標となりて
怒号すら遠く、手繰る糸は導かない
並ぶ誓いは紛い物、記す私は羽より軽く

運命などくだらないと嘆く
あなたの顔をもう思い出せない
黒焦げの希望、一片も残らず
この身、花冠となりて流れましょう
だからどうか、泣かないで

アザミは贈らない
いつか晴れ渡るなら約束を

(一輪の花)

2/23/2025, 10:36:07 AM

真夜中、よく滑るペン先
苦味を誤魔化してなぞる言の葉

白は染まる、隙間から睨む
綴る形の正誤を問う
綻ぶキャンバスと残骸の海

誰もが願う世界
誰にも望まれない明日
美しいだけの結晶に飽いた舌先
知った顔して噛み砕く

シャンデリアから溢れた炎
やがて灰が降り積もる
差し込む朝日に目を閉じれば

めでたし、めでたし
お帰りはあちら、リンドウの道
一雫の心と青い目を、駄賃に置いてゆきなさい

(魔法)

2/22/2025, 12:21:45 PM

在りし日の君を覚えている
穿つような雨の中、振り上げた拳を

肩を組んで笑い合った日々、
澄んだ瞳で囁く愛、
全て裏切る紫煙の味を、知っている

こんな日が来なければ良いと願っていた
膠灰に褪せた色が、いつか消えても
斜陽を超えて、嘘だと笑う君を待っていた

瓦礫の下から届けよう
墓無き君へ捧ぐ七色、記憶の大樹を焼いた劫火
今度は遮るもののない世界で、漣を聴こう

(君と見た虹)

2/21/2025, 12:38:51 PM

例えばこれは最後の瞬き
次の呼吸で点火して
この身が燃えて落ちるとして
流星のように心を裂いて
ひとすじ、傷を残せるのなら
悪くないね、とあなたは笑う

雲のドレスを渦巻いて
銀の瞳であなたは踊る
五線譜を跨いだ足跡は
煙のように、影も残さず
私の願いは叶わない

星になどならなくて良かったのに
身を焼く痛みで帰ってほしかったのに
あなたは地で生まれ、這って育った
神になどならない
神になどならない

私を見て、立ち止まれ
天を嘲り銀を手に取る

(夜空を駆ける)

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