絶対できる。
そんな言葉が怖くなったのは色んな人と関わってからだ。
スポーツをした時、才能に叶わないことを知る。努力で勝ると思って努力しても結局は質と量。
質と量は環境が整えてくれる。
生きていくのも現実をしらされるのも怖い。
いつも何かに怯えて暮らしている。
何かに本気で感動する気がしない。何かに本気で挑戦している気がしない。
どうしてそこまで努力ができるのか、他人が怖い。
どうして見たかった景色を見れているのか、羨ましい。
才能がないのは誰のせいなのだろう。
どうやったらあそこまでいけるのだろう。
自分と決定的に違う何かを他人は持っている気がする
努力とは残酷な言葉だったと改めて分かる。
それが現実でそれを無理矢理正当化しているのが現実だ。
諦めずに成功した人間こそ「才能」の固まりである。
才能のある人の合言葉は「努力」である。
これは才能がないからこそわかる言葉であると思う。
衣替えの時期にクローゼットをあけると思い出の小さい服があった。
あの頃は本気で夢は叶うって思ってたんだよな。
今から思えば悪くないのかもしれない。たとえ叶わない夢でも。あの時は周りが信じさせてくれていたんだって。どんな歌詞にも夢は叶うという曲を小さい子に届けてくれた。今の子供は大人の嫌な部分を知る機会がネットによって多いけどそれがない時代はきっともう来ない。
周りがキラキラして大人になりたいって思わせてくれたのは小さい頃に見たアニメや番組。それが心を震わせてくれていたんだな。
何気なく見ていたアニメも努力して頑張ればきっと夢は叶うって応援してくれていた。それって凄くありがたいことで素晴らしいことなんだ。
夢は叶うなんて信じられない大人になってしまった今。
楽しいって思える未来じゃなかったよ。大金持ちなんかなれなかったし運命の人なんて出会えてないよ。夢だって努力しても叶わない事だっていっぱいあった。
今にも倒れそうで辛くて吐きそう。しんどい!辛い!もういなくなってしまった方が楽だ!こんな世の中生きていたくない!夢なんて何も叶わないかったよ!
心の底から叫んでやってやるよ!!
過去も今も未来も大好きだ。
ふとこの教室から消えてしまいたいなんて思ってしまった。
もし、この教室から私が抜けたら。
給食当番は今よりはやくなる。私は不器用だし
あと係は1人少なくなる。
最近ドラマを見たからこんなこと考えてるのかも。
親友が蘇る話。でも最終的に帰ってくんない?ってみんなが言う。確かにいなくなって不幸になった。日常が楽しくなくなった。
その二年後に帰ってきた親友。楽しく遊ぶ日々。
「でもそれはもう日常では無い」
2年後の日常に慣れてしまった。だから今は親友がいるのが非日常なのだった。
いる方が違和感があります。なんて死んだ時に皮肉な話だな。
でも、放課後の窓に自分の姿がうつった時にすでにそれを理解していた気がしたんだよ。それが皮肉でも同じ気持ちと言えるかもしれない。ここにうつる自分は今を生きている。それはもう過去の日常が繰り返すことは無い。
だからどんなに辛くてもどんなにしんどくても今を生きているというのは大事なことだと思った。過去ばかりに目を向けるのは今を生きていることとは違う。
過去は割と引きずらないほうが楽しいのかも。
別に今を生きていさえいればいい気がするんだよね。呼吸さえしていれば少なくともこの窓に私はうつりつづける。
もし私が死んだらこの放課後の景色を見ることはできないかもしれない。
それだけで呼吸する意味はある。
放課後は色んなことを考える時間がある。この記憶は死んだ後も覚えていたい。仏壇にはセーラー服姿の若い頃の写真も飾ってもらうことにしよう。確かに窓にうつっていた自分と放課後のカネの音が記憶とともに思い出せるように。
呼吸しとけば人生なんとかなる。遺影をみてババアなんて言わせんぞ…。
私は知り合いに目が見えない人がいた。
お母さんはよく知っていて私は会ったのは何度かだけだった。
その人が入院したと聞いて
子供の私はあの人元気かなってついていった。
でも私は手が震えた。
どこか天井を見ていた。目の焦点があっていなくてそしてなにより会話もできていなかった。
「もう耳も聞こえないんだって」
お母さんは泣いていたけど笑っていて、他の人も笑顔だった。
耳も聞こえなくなってあんなに耳の良かった人が聞こえないなんて信じられなかった。
目が見えないのにピアノも弾けて勉強もできて生活もできて、本当に私ならできないと思った。だから凄い人なんだと思った。
痩せ細って、意識があるのかも分からなくて。
耳も目も聞こえないと人間が弱っちゃうって聞いた。
涙が震えた顔からでそうで、
これは初めて死があることを私に伝えた。
最後かもしれない。
でもあの人にとって私なんて覚えていないだろう。
「手を握ってあげて」
そう言われてただ握った。手は震えていたけどちゃんと握った。手は冷たくて震えていいたけど反応はあった。
なんと表したらいいのか。なんと言えばいいのか。
「私って馬鹿だな」
生きているとは本当に素晴らしいことだと思った。
私より何倍も何百倍も優しい人が若くしてなくなってしまう。
凄く悔しくて、怖かった。
死なないでと願うことしかできなかった。
でもその歳でなくなった。
生きていて声が聞けるのは素晴らしいことだとそう思ったのに、私はあの時の母の震えた声でさえ忘れていた。あの人の事も。
都合がいい事だけ覚えているのは確かに生きやすい。そうだよ。生きやすいんだよ。生きやすくてそれがとてつもなく嫌だ。
ずっと覚えていたくても覚えておけない。
もう一度だけなんてない。
声が聞きたい。声を聞かせて。声を聞かせろ。
そんな馬鹿みたいな訴えしか出来なくなる前に
沢山伝えて沢山話して沢山生きて。
沢山沢山声を聞かせてくれる人が私には必要なんだ。
僕の恋人は男だ。そして僕も男だ。
初めて2人で旅行に行った日の事だった。
「どうして僕の告白を受けてくれたの?」
「あははっそれは君がホモだから?」
香水を纏って甘い香り漂う男だった。
「だって今までの恋人は全員女だった」
「...もしさ、僕らのどちらかが女で男でも君を愛していたよ」
「ただ君という存在を愛しているんだ。例え女でも、顔が今と全く違う感じでもさ、愛してる。ただそれだけで十分だと僕は感じるんだ。みんなみんな何かと枠にハマりたがるけど、元々愛なんて曖昧なものに枠なんて僕は感じないよ?んーなんだろう。説明はしにくいんだけど君もたまたま愛した人が男だっただけなんじゃないかな。だからこの先別れても君は1人の元恋人に過ぎない。」
「そういうものなのかな」
プレゼントでくれた香水はレモンの香りがした。
「この匂いを選んだのは、僕らの恋の証。香水って凄く恋と似てるんだ。同じ恋なんてひとつもない。ただ形のないものに名前をつけただけの似たものどうしの感情。匂いも同じものなんてひとつも無いけど同じレモンの匂いって書かれてる。恋も匂いも、信じた証が結婚したりいい匂いになれる。」
今はもう女の人と結婚して子供もいる。彼女の香水はシャンプーの香りがする。
私は妻を愛しているし、もう男は好きじゃない。いや違った、もう元恋人達は好きじゃない。
未だにあの香水を嗅ぐとあの頃に戻った感覚になる。
「なぁいつか結婚したいな」
「僕達の気持ちは僕達にしか分からないよ。似てる気持ちをもっている人はいても同じ気持ちを持っている人なんて1人もいないんだから。理解じゃなくて学んでくれるといいな」
いまだに覚えているあの匂い。愛の匂いもきっとそれぞれ違うのだろう。