海を渡って本土へ戻ってきた。
荷押し車を借りて舟の荷物を下ろす。
荷押し車はかなりの重量になったが仕方ない。
引き手と押し手に分かれ荷押し車を進ませる。
途中で休み休みの移動は時間がかかる。
数日かけて目的の家に着いた。
久しぶりに見るおじいさんおばあさんはパッと顔を明るくして駆け寄ってきた。
家の横に荷押し車をつけ荷物を下ろす。
今度はこの荷押し車を返しに行かなくてはいけない。
軽くなったとはいえ距離が遠いので時間はかかるだろう。
しばらく荷押し車を引いて歩いて気が付いた。
『もう3匹の家来が居なくても大丈夫じゃないか?』
ある程度港に近付いた時に切り出した。
「家来達よ、もうここまでで大丈夫だ助かった。もう荷押し車を返したら終わりだ。解散しようじゃないか」
家来達は驚きの表情を浮かべ足を止めた。
「解散?」
「そうだ解散だ。いつかまた会うこともあるだろう。それまでゆっくり休んでくれたまえ」
困惑している家来達にまたね!と手を振り荷押し車を1人引き続ける。
家来達の慌てる声が後ろに響いている。
(またね!)
桃太郎のオマージュ、鬼ヶ島から帰還した後は軽薄な桃太郎バージョン
そろそろ雪も解け、笠も必要なくなってきた頃合か?とお地蔵様が並ぶ所へ向かってみる。
お地蔵様達は静かにそこに居て笠はくたびれている。
「お地蔵様、お地蔵様、冬の場をよう耐え忍んで」
そう言いながら笠を外し、タワシで綺麗になるように擦り、新しい前掛けを着ける。
「こんな笠の礼に沢山の食糧を頂いて、助かりました」
と手を合わせる。
『また冬の場を凌ぐ笠を頼むぞ』
という声が春風とともに聞こえた気がした。
(春風とともに)
笠地蔵のオマージュ、その後のお礼参りのようす。
森に迷い込んで何時間経ったのかもう分からないけど、お腹のすき具合から2時間以上経っていることは確かだ。
後ろから着いてくる妹からもお腹の鳴る音がずっと聞こえている。
「お兄ちゃんお腹減った」
と涙混じりの声で言われるが自分も同じなのだ。
そして森の少し開けた場所に辿り着き2人して目を見張った。
「お菓子…だ」
「お菓子の家だよねお兄ちゃん」
壁はクッキー、屋根はチョコ、窓ガラスは飴細工、他にも色々なお菓子で作られた家だ。
いい香りもちゃんとしている。
妹が「我慢出来ない」と壁に齧り付いた。
自分もつられて屋根に齧り付いた。
ちゃんとしたお菓子だ。美味しいお菓子だ。
もう止まらない!とどんどん食べていく。
フードファイトで鍛えられた胃袋はこんな程度では満たされない。
一方その頃、物陰に隠れ「私の家を食ったな!!」と呪いをかけようとしていた魔女。
あまりの暴食っぷりに腰を抜かし、消えていく家を涙を浮かべながら見る事しか出来ないで居ましたとさ。
(涙)
ヘンゼルとグレーテルのオマージュ、フードファイト兄妹に魔女もびっくりのようす。
コロコロと落ちてきたどんぐりを追いかけて捕まえて頬袋にしまう。頬袋にはもう5粒のどんぐりが入っている。
これだけあればおやつ位にはなるかな?と安心安全な巣に向かう。
大好きなどんぐりをゆっくり食べれる小さな幸せにウキウキしてスキップなどをしてしまう。
が、揺らしすぎた頬袋から1粒のどんぐりがポンッと飛び出してしまった。
どんぐりは道から逸れて急斜面の土手を転がって落ちていく。
あぁっ待て待てと追いかけようとするが時すでに遅し。土手の先の池にポチャンと落ちてしまった。
まぁいいやあと4粒あるしまた拾いにこればいくらでもあるんだからと気持ちを切り替えて巣に入る。
(小さな幸せ)
どんぐりころころのオマージュ、どんぐりが転がって池に落ちるまでの話。
「枯れ木に花を咲かしましょー」
と掛け声をしながら、脇に抱えたカゴから大量の灰を撒く。
ただの灰ではない。特別な、特別な灰だ。
撒いた灰は風に乗り辺りの木に飛んでいく。
葉っぱも何も無い、枯れかけた木はたちまちに花を咲かせ春爛漫に参加する。
が、その木はその後一日ともたず根から完全に枯れてしまう。
最後の最期の生命力を無理に使って花を咲かせているのだろう。
散り際、枯れ際の一瞬に儚く春を見る。
(春爛漫)
花咲かじいさんのオマージュ、咲いた後の物語。