「マッチは要りませんか?」
そう雪の降る街頭でマッチを売ろうとしている少女が居ました。
ですが、売行きは全くと言っていいほど無く、このままでは凍え死んでしまいそうです。
「なにか他の売り方を考えなくちゃ」
そう思い少女は今日の販売は取り止めて裏路地へと向かいます。
人気のない裏路地は治安が良くありませんが家への近道なのです。
少女は時々感じる視線に気付かないふりをしながら、それでも身体は早歩きになって行きます。
もう少しで裏路地を抜け切るかという時、後ろから勢いよく何かにぶつかられました。
おそらく視線を送っていた人でしょうか。
次の日からマッチを売っていた少女は街頭に居なくなり、代わりに路地裏の出口に毎日の様に花束が置かれるようになりました。
いつ置きに来ているのかも分からない永遠の花束は、ここで起きた惨劇を街に知らせているのでした。
(永遠の花束)
マッチ売りの少女のオマージュ、不幸な出来事の証の花束。
目の前で転んだ女性を助け、1番近い安全な場所までサポートする。
その間、必死に腕にしがみつき足をガクガク震わせながらどうにかもう転ばないようにと踏ん張っていた女性。
安全な場所で姿勢が安定するとこちらをキッと睨むように視線を鋭くし
「あなた!私より滑れるからといってやさしくしないで!!」
と文句を言い出した。
意外だった。雪女なのだからウインタースポーツは得意かと思ってスケートリンクへ連れてきたがまさか滑れないとは。
「私は雪山出身よ?雪上なら自由だけど氷は範囲外なのよ」
そう言われて妙に納得がいった。
じゃぁ、今度はスキー場に行こうかと提案する。
「ソリで滑れるところにしてちょうだい!」
………ソリで??
(やさしくしないで)
雪女のオマージュ、運動苦手なようです。
ある日おじさんが店に現れなかった。
不思議に思い、居場所を離れて普段おじさんが立っている辺りに移動する。
すると、おじさんがいつも持っている鏝の下に置かれた手紙がある事に気が付いた。
隠された手紙なのか、ただの重しに鏝を置いただけなのかは分からないが、その手紙を読んでみる。
人の字はあまり得意ではないが、何とか読み解く。
そして、僕は店の出入口を見て少しの躊躇いの後店を飛び出した。急いで跳ねるように移動を続ける。
ただ、このような行動は初めてだし、店の外の事は少ししか知らない。
それもあってか少しの傾斜に引かれ僕は海へ飛び込んでしまった。
もう戻れない。
(隠された手紙)
泳げたいやき君のオマージュ、手紙の内容は知らないがなにかあったのだろう。
包まれた時から一緒に居た仲間が居なくなると案外寂しいもんだなと思いつつゆっくり進む。
仲間は転がって穴に落ちる寸前で『僕はここまでだ。これ以上は着いては行けない。バイバイ』と、あっさりした挨拶をして落ちていった。
おそらく助からないだろう。
かわりに僕は運が良かったのかもしれない。
転がった先で通りがかった貨車に上手く乗ったおかげで今のところは襲われたりしないで済んでいる。
ただ、それも時間の問題だ。体は汚れ所々崩れ、乾き出している。
貨車の上を鳥が飛び狙っている事には気付いている。
貨車が止まった瞬間襲われるのだろう。
あぁ、止まった…
(バイバイ)
おにぎりころりんのオマージュ、おにぎりを想像しながら読んでください。
腹が減ってちょうど流れてた桃に針の剣の刺して実を食っていたのは悪かったが、自分は都へ向けて旅の途中なのだ。桃から出てきたソイツに鬼退治はさせてくれ。あと、出来ればでいいのだが元のお椀の舟の代わりになるお椀を頂けると有難いのだが。
そうして、翌日小さい侍はお椀に乗ってまた流れて行った。
それから数年後、桃から出てきたヤツこと桃太郎は鬼退治に向け旅に出た。途中でお供を増やしつつ港まで来た時に、見知らぬ誰かから声を掛けられた。
数年前、自分が生まれた時に一緒に居たというその人は、針のように細い刀を携えた侍の格好をしており、懐から旅の途中に食べるといいと桃を出てきた。
舟旅は順調に鬼ヶ島へ向けて進むのでした。
(旅の途中)
一寸法師と桃太郎のオマージュ、水上を旅する場面がある2つの物語の邂逅。