ぽんこっぅ

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「マッチは要りませんか?」
そう雪の降る街頭でマッチを売ろうとしている少女が居ました。
ですが、売行きは全くと言っていいほど無く、このままでは凍え死んでしまいそうです。
「なにか他の売り方を考えなくちゃ」
そう思い少女は今日の販売は取り止めて裏路地へと向かいます。
人気のない裏路地は治安が良くありませんが家への近道なのです。
少女は時々感じる視線に気付かないふりをしながら、それでも身体は早歩きになって行きます。
もう少しで裏路地を抜け切るかという時、後ろから勢いよく何かにぶつかられました。
おそらく視線を送っていた人でしょうか。

次の日からマッチを売っていた少女は街頭に居なくなり、代わりに路地裏の出口に毎日の様に花束が置かれるようになりました。
いつ置きに来ているのかも分からない永遠の花束は、ここで起きた惨劇を街に知らせているのでした。
(永遠の花束)

マッチ売りの少女のオマージュ、不幸な出来事の証の花束。

2/4/2025, 12:18:43 PM