ごく普通の人

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3/8/2025, 12:38:55 PM

秘密の場所

ミーン_ミーン
蝉の鳴き声が響き渡る。

『あ!お姉ちゃん見つけた!!』
「くそぉ、見つかっちゃったか!あおいは、見つけるの得意だね。」
『えへへ〜、でしょ!』

そう言って、姉が妹の頭を撫でる。二人はかくれんぼをしており、今は妹が探す側のようだった。
私は、懐かしいなと感傷に浸っていた。

『次はね、お姉ちゃんがあおいを探してね!!』
「分かったよ。じゃぁ隠れておいで。30数えたらそっちへ行くからね。」
『は~い。』
「い~ち、に〜い…」

姉がカウントし始める。それに気付いた妹は急いで隠れ始めた。けれども私は、隠れる場所を知っている。いつも決まってるあの場所だから。

「も〜いいかい〜?」

姉はそう言い放ち、妹を探し始めた。姉は隠れている場所が分かっているのか足取りに迷いがなかった。やがて足取りはある場所で止まった。それは和室の押し入れだ。姉は勢い良く押し入れを開ける。

_すぅ

「あおい、み〜つけた!!」

大声で姉が言葉を発する。
私は、あ~ぁ見つかっちゃったなとがっくりした。
そんな私とは裏腹に見つかった当本人の妹は、嬉しそうにしていた。

「かくれんぼの意味って知ってる?」

姉は呆れたように、でも何処か愛おしそうに言う。妹はきょとんと首を傾げた。そして元気良く首を縦に振った。それを見て姉はクスリと笑った。それにつられてか妹も笑い始め、二人は一斉に笑った。

大人になったあおいは、姉との秘密の場所の思い出を大事に思い出していた。幼かったあの日のような私と姉のように、私もクスリと笑う。そしてそんな私を見て、呆れた顔をしている姉がいたとさ。











3/3/2025, 12:02:53 PM

ひらり

散歩中、ひらりと落ちてくる何かが頬を掠める。何かが落ちる前にキャッチするとそれは桜の花びらだった。僕は、もうそんな時期かと一人笑う。
 冬ももうそろそろ終わりで、お次は春か。この時期には色々な想い出が詰まっている。なぜかと言うと僕はもうじき卒業を控えているからだ。去年まで三年生を送る会や卒業式の準備を面倒臭いなどと言っていた自分がもう卒業するなんて。なんだか不思議な感じだな。
 何だかんだ言って、友達とふざけ合ったり先生に怒られたり、色々あったけど楽しかったな。なーんて、思考を巡らせていると、友達の綾坂にばったり偶然鉢合わせた。
『お!やっほ〜』
綾坂は、自分に気付いたらしく声を掛けてくれた。何だかさっきまで卒業など考えていた自分がバカらしく思えてきてしまうほどお気楽そうな顔でこっちに笑顔を向けていた。綾坂の笑顔につられてこっちまで笑顔になって来たようだ。まぁ、元々綾坂は人を元気にさせるパワーがあり、とてもいい友達だと常日頃思う。なんて一人うんうん頷いていると、綾坂は心配そうに此方を見つめていた。折角だから相談させてもらうことにした。
「突然なんだけどさ、相談させてもらってもいいか?」
綾坂は決して人を馬鹿にするような人ではないとわかってはいるが、少し不安にはなる。しかし、その心配はなかったようだ。綾坂はさも当たり前のようにもっちろんと快く承諾してくれた。では早速言う事にしよう。
「僕さ、さっきまでさ卒業のことについて考えてたんだよね。」
綾坂はきょとんとしながらも頷いた。
「だってさ、卒業したらこの日常も終わりを迎えちゃうかもしれないしさ、悲しいじゃん…。」
綾坂は長くため息をついた。そして一息ついてこう言った。
『勝手に終わりにすんなよな!!』
「ぁ…っいて」
僕は一瞬呆気にとられた。次の瞬間、綾坂が僕のおでこをデコピンしたのだと気付いた。
「なにするんだよ」
ジトっと綾坂を僕は睨んだ。
『だぁ~から!勝手に終わりにするんじゃねぇって言ってんの!!』
「え…?」
『お前は卒業したら俺等の友情がなくなると思ってんの?俺はやだね。ぜってぇ終わりにさせないし!』
綾坂はビシッと僕に人差し指を向けた。
僕は心がじ~んとした。思わず涙が出そうになったが、それを隠すように笑った。すると綾坂も同じように笑い返してくれた。バカみたいに面白くもないのに二人、笑い転げた。
「ぜぇぜぇ」
『はぁはぁ』
二人して笑いすぎて息切れを起こしてましった。
笑ったことでスッキリした僕はある疑問を言うことにした。
「卒業しても友達で居てくれる?」
綾坂はとびっきりの笑顔で答える。
『あぁ!!もちろんだ!』
綾坂のその言葉に僕は救われたのだ。

その後、僕と綾坂はと言うと卒業しても社会人になってもずっと“親友”で居続ける事になるのだがそれはまだ幼い僕等には知る由もないのであった。

3/1/2025, 10:04:34 AM

あの日の温もり

僕は、同じ夢をよく見るんだ。といっても同じなのは顔が黒いもやもや見たいので覆われている彼女が僕に優しく抱擁をしてくれる所までで後の内容はバラバラなんだけどね!なんて一人夢の中で思考を巡らせていると、顔が黒いもやもやで覆われている彼女が此方に来て恒例の抱擁をしてくれた。いつもは喋らない彼女は珍しく『あったかいね』の一言を零した。とても優しくて落ち着く何処か懐かしい声だった。すると次は背中をぽん…ぽん…とリズムよく背中を優しく撫でてくれた。まただ、懐かしい感じがする。これがデジャブって奴かな?ふふ。変なの。夢の中の貴方は一体誰なんだろうね。誰かに似ている気がする。僕は、思い出したくて掴めそうで掴めない記憶の糸を必死にたぐり寄せよせる。なんだか分からないけど思い出さなくちゃ行けない気がする。でも、きっと思い出せば彼女は二度と出てきてくれない気がして。う〜ん、う〜んと彼女の腕の中で悩ましく頭を抱えていると、突然チリンと鈴の音がした。なんだろうと音の方へ顔を向けるとそこには黒猫が、いた。此方をジッと見つめていた。まるでこっちに来いと言っているように、黒猫は歩き出した。僕は彼女の腕の中を抜け出してその猫を追いかけることにした。なんだか追いかけなくちゃいけない気がして。猫は、まるで僕がちゃんと付いてきてるか確認を取るように時々後ろを振り向く。付いてきているのを確認すると満足気に歩き出す。なんだかこれもデジャブな気がする。なんて考えていると黒猫はある部屋の前で止まった。黒猫は開けろとでも言っているようで僕をジッと見つめている。不思議と覚悟を決めろとでも言っているように感じた。ゴクリ。僕は意を決してドアノブに手をかける。そこは至って普通の部屋だった。まただ懐かしい感じがする。部屋の主には悪いと思うが好奇心が勝ち部屋を探索することにした。部屋の左側にはベッドがあり、右側には勉強机が置いてあった。僕は、なぜだか分からないけど勉強机がすごく気になり、部屋の右へ足を進める事にした。そこには写真立てがあり、ほかには何もなかった。写真立てには写真が入れられていた。ぱっと見家族の写真だろうか?僕は写真立てを手に取ろうとするが、…うッ!目眩に襲われた。微かに見えた写真立ての写真には僕と、知らない黒いもやもやをまとった彼に夢の中の彼女が…そこには写っていた。三人仲良く笑っていた。そこで僕は記憶がシャットダウンした。
記憶がシャットダウンする直前、僕は思い出してしまったたのだ。ずっとあった違和感…それはこれは夢なんかじゃなくて走馬灯だと言うことだ。誰の走馬灯なのかって?僕のだよ。顔が黒いもやもやで覆われていたのは僕のお母さんだったんだ。そしてあの写真立てに写っていたのは僕のお父さんで、あの黒猫は僕の家族のくーちゃんだ。とても幸せだったなぁ。
なんて考えていると黒猫のくーちゃんがいつの間にか僕の近くに来ていた。まるで今はどうなの?って聞いてるみたいに。大丈夫。今も幸せだよ。ありがとうね。
どうやら僕はくーちゃんを庇おうとしてくーちゃんと一緒に死んでしまったみたいだね。
それじゃぁ、行こうか。あの日の温もりをくれたお母さんとお父さんがこっちに来るまでね。

その日が来るまではまたね。

2/7/2025, 12:46:56 PM

誰も知らない秘密

誰も知らない秘密って居心地悪くなっちゃうよね。
だから人は、誰かに秘密を共有したくなるんだと思うし、今は誰も知らない秘密かもしれないけど誰かに言いたくなって秘密じゃなくなっちゃう。誰も知らないなんてたかが知れてる。

だって誰かに知ってほしいから。
一人で抱え込まれるほどの強さなんてないし。
誰かに言えるほどの強さもないし。

それでもある時、溜め込んでた誰も知らない秘密がポロッと口から飛び出ちゃうから。

まぁ、どうせ人間死ぬときは死ぬんだし!
大丈夫だよ!!

1/5/2025, 4:45:53 AM

幸せとは

眩しいくらいに光り輝く視線の先には
僕の大切な人達が居る。


息を目一杯はく。

__ふぅ

「お〜い!!」

目の前の大切な人達が呼ぶ声がした。
僕は、その声を頼りに大切な人達のもとへ駆け寄る。
僕の大切な人達は、僕の事を大事そうな目で見てくる。

だから、僕はお返しにそれよりも大事に君たちを見つめる。

「あはは!」

1人の笑い声を中心に皆も笑い出す

僕は思わずきょとんとするが、同じように笑い出す。くだらないことかもしれないが、僕はこの時間がとても好きだ。大切な人達と笑い合うこの時間が!

今なら分かる。
幸せとは、いくつあっても足らないものだ!




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