秘密の場所
ミーン_ミーン
蝉の鳴き声が響き渡る。
『あ!お姉ちゃん見つけた!!』
「くそぉ、見つかっちゃったか!あおいは、見つけるの得意だね。」
『えへへ〜、でしょ!』
そう言って、姉が妹の頭を撫でる。二人はかくれんぼをしており、今は妹が探す側のようだった。
私は、懐かしいなと感傷に浸っていた。
『次はね、お姉ちゃんがあおいを探してね!!』
「分かったよ。じゃぁ隠れておいで。30数えたらそっちへ行くからね。」
『は~い。』
「い~ち、に〜い…」
姉がカウントし始める。それに気付いた妹は急いで隠れ始めた。けれども私は、隠れる場所を知っている。いつも決まってるあの場所だから。
「も〜いいかい〜?」
姉はそう言い放ち、妹を探し始めた。姉は隠れている場所が分かっているのか足取りに迷いがなかった。やがて足取りはある場所で止まった。それは和室の押し入れだ。姉は勢い良く押し入れを開ける。
_すぅ
「あおい、み〜つけた!!」
大声で姉が言葉を発する。
私は、あ~ぁ見つかっちゃったなとがっくりした。
そんな私とは裏腹に見つかった当本人の妹は、嬉しそうにしていた。
「かくれんぼの意味って知ってる?」
姉は呆れたように、でも何処か愛おしそうに言う。妹はきょとんと首を傾げた。そして元気良く首を縦に振った。それを見て姉はクスリと笑った。それにつられてか妹も笑い始め、二人は一斉に笑った。
大人になったあおいは、姉との秘密の場所の思い出を大事に思い出していた。幼かったあの日のような私と姉のように、私もクスリと笑う。そしてそんな私を見て、呆れた顔をしている姉がいたとさ。
3/8/2025, 12:38:55 PM