ごく普通の人

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雨が降っている。
ポタ。ポタ。

雨だからかぼやぼやしてくる世界。何でだろう。ぬぐってもぬぐってもぼやぼやするんだけど。嫌だなぁ。そんな目で私をみないで。なんで君がそんな顔するの。驚いたような泣きそうな顔してさ。こっちだってぼやぼやするのやめたいんだから。

「…泣いてるのか?」

「……ぁ、え?」
凄く、納得した。そっかぁ…なんで世界がぼやぼやしてるのかやっと分かった気がする。泣いてるのか、私。

_そんな自分自身に自嘲の笑みを零す。未だに涙は止まらないままだけど、自分でどうにかできるわけじゃないから仕方ない。 なんて考えながらふと顔を上げるとそこには何か言いたげな君がいた。

「……なんで君がそんな顔をするかなぁ」

「…ごめん。」

「どうして謝るの?何か言いたいことがあるんでしょ。どうせ。」

「……まぁな。でも、雨やんだな」

あ…本当だ。いつの間にかぼやぼやも雨もやんでた。
それに虹が出てる。

私が外を見ているのが気になったのか君も外を見始めた。君も外の景色に見入ってたね。

私と君。
どれくらい時間が経ったんだろ。長かったような短かったような静けさを破ったのはどちらだっただろうか。



__はぁっ!!
あ…れ?私はどうやら夢を見ていたようだった。正確には過去の記憶といったほうが正しいだろうか。今日は、あの日と同じ雨の降る日らしい。窓を越え、雨音が鼓膜に響く。

雨の日はあまり好きじゃない。理由は簡単。あの日も雨の降る日だったから。もう好きだった彼はいない。もう二度と会話をすることが出来ないと実感してしまうから。雨の降る虹の日、彼はあの後私のためにアイスクリームを買ってくると言って出かけた後帰らぬ人になったの。

私はずっと後悔してる。もっと話せば良かったと。薄情な事を言うが死人は口無しだ。私もそう思うな。死んでしまったら話せないのだから。
 もっと話したかった。後悔はこの先ずっと残るだろう。けれど、もし死後の世界があるのだとしたら君に会いに行く。

会いに行って私の想いや後悔をぶつけてやるんだ!
人生生きてたら後悔の十個や二十個あるんだからさ。ぶつけてやらないと、生きてるうちに。

後悔しない人生なんてないのかもしれない。現に私がそうだ。だけどたまには肩から重荷を外して、たまに背負って生きていこう。

難しいけどね。どうせ人間終わりは来るんだ。自分の人生、生きたいように生きたって多少は怒られないよ。
今日生きれたんだ。明日も終わりが来るまで生きるぞー!








3/29/2025, 1:31:50 PM