【あの頃の私へ】
[5/3 優しくしないで
[5/5 耳をすませば
登場人物
琴美
葵
昴
響
今日は成人式、琴美たちは2年ぶりに再開した。
「コトちゃん久しぶりー元気だった?雰囲気変わったんじゃない?東京ってどんなとこ?いつもお祭りみたいだってほんと?今度遊びに行ってもいい?こつちにはいつまで...」
「ストップ‼️葵、そんなにいっぺんに言われても答えられないよ」
「あっ、そうだよねゴメン」
「ところで昴は?」
「あっちでバスケ部の連中と話してたよ、あとで来るでしょ。それより、響は?」
「式典には間に合わないが、こっちに向かっている」
「じゃあ、二次会で合流ね。昴が来たわよ」
「琴美、元気そうでな」
「久しぶりね、昴。また背伸びたんじゃないの」
「そろそろ、式典始まるよ」
式典は滞りなく終わり3人は会場の外に出てきた。
「期待はしてなかったけど、退屈だったね」
「琴美は何を期待してたんだ」
「そりゃ、暴れ出す輩がいたら盛り上がるでしょ」
「それは、盛り上がるんじゃなくて大騒動でしょうが」
「相変わらずだな琴美は」
「響はまだ来ないの?」
「こっちに着いたらメールくれることになってる」
「じゃぁ3人で先に店に入ってようか」
3人は高校時代によく通っていた喫茶店に入った。
♪カランコロン♪
「いらっしゃい。これは珍しいお客さんですね。みんな元気そうだね。おや、ひとり足りないね?」
「響は後から来ます」
「みんな綺麗に着飾ってるという事は、今日は成人式だね」
「そう、アタシたち成人しました」
「実感ないけどな」
「これで堂々と酒が飲める」
「コトちゃんは色気より飲み気だね」
「ねェねェ、知ってた?」
「なにを?」
「アタシたちが通ってた幼稚園取り壊しになるんだって」
「マジ?」
「それなら聞いた。なんでも古くて倒壊の恐れがあるから立て直すらしい」
「そうなんだ、昴と初めて会ったのがあの幼稚園だったよね」
「男の癖に、オママゴトやったり」
「琴美が無理矢理やらせたんだろうが」
「私達と一緒にお風呂に入るし」
「風呂⁉️...あぁ、夏休みの」
「「「お泊り合宿❗️」」」
「そうそう、あれ誰が考えたんだろうね」
「私」
「「エッ?」」
「だから私だってば。私が考えて父ちゃんに言ったの。」
「「マジー!」」
「面白かったでしょ」
「もちろん、忘れられない大切な思い出だよ」
「あの時の僕にやめとけって教えてあげたいよ」
ーー16年前ーー
「ねェねェ、明日からお泊り合宿でしょ、最初は誰の家がいい?」
「「昴の家」」
「えー、ボクん家。どうして?」
「「昴の家にはテレビゲームがあるから」」
〈お泊り合宿 初日〉
「「こんにちは」」
「いらっしゃい」
「母ちゃん、今日のご飯はなに」
「今日は琴美の好きなカレーよ」
「今日は昴くんの家じゃなくてコトちゃん家だったね」
「ボクはカレー好きだし3人一緒ならどこでもいいよ」
「みんな一緒にお風呂入っちゃいなさい。パジャマも置いてあるからね」
「「はーい」」
「ボクは後でいいよ」
「昴も入るんだよ」
「みんな一緒ってコトちゃんママが言ってたよ」
「だってー」
「だってじゃない!葵、昴の服脱がすよ」
「わーやめてよー」
「おっ、昴のチ◯コ父ちゃんのと違う」
「本当だ、ちっちゃい」
「そんなに見ないでよー」
「楽しそうねー、みんなで洗いっこするともっと楽しいわよ」
「「はーい」」「えー」
「葵、昴のこと押さえといて」
「うん。でも何するの?」
「母ちゃんが言ってたでしょ、洗いっこしなさいって」
「や、や、やめてー」
「あっ、大っきくなってきた」
「やだー、ボク家に帰る」
昴は大泣きして目を真っ赤にして出てきた。
「あらどうしたの昴くん、目が赤いよ。シャンプーが目に入っちゃった?」
食事は何事もなく無事に終わりトランプをして遊ぶことになった。
「ボクは7並べがいいな」
「アタシはババ抜き」
「じゃあスピードにしよう」
問答無用でスピードに決まった。
「負けた人が交代で、続けてふたりに勝ったら、お菓子食べていいの。
「「OK」」
結果は琴美の一人勝ちだった
「もう食べれない」
「琴美は自分が勝てると思ったからスピードにしたんだろ」
「そうだよ、悪い?」
「コトちゃんはお菓子がかかると強いよね」
「みんな、そろそろ電気決して寝なさい」
「「「はーい」」」
こうしてお泊り合宿初日は幕を閉じた。
ーーー現 代ーーー
「そうだったな、あのお風呂はまいったよ」
「次の日からはタオル巻いてたよね」
「ゴメーン遅くなった」店の扉を開け響が入って来た。
おわり
【逃れられない】
[5/20 突然の別れ 続編]
登場人物
桜井華 (さくらいはな)
恵美
優子
「「「かんぱ〜い」」」
今日は久しぶりに大学時代の親友3人の女子会だ。
「今日は朝迄いっちゃうぞー」
「「おー」」
「ねェ華、半年前の事件の時の姉弟はまだ居るの?」
「桔梗と樹か、もちろん居るよ」
「華も物好きよね」
「ふたりが来てから母も楽しそうで何よりだ」
「恵美はご主人がよく許してくれたな。子供はまだ9ヶ月だろ」
「うん、今日はオレが面倒を見るからたまにはストレス解消して来いってさ」
「優しい旦那さんだな」
「でも、本当に大丈夫かな、すごく不安なのよね」
「優子は、彼氏とはどうなの?」
「別れた」
「またぁ、あんなは長続きしないよね」
「だってネチネチしつこいんだもん」
3人が
女子トークで盛り上がっていた時、恵美にメールが入った。
「どうしたの、ご主人から?」
「そうなの、ナナが泣き止まないんだって。ごめん、心配だから私帰るね」
「分かった」
「早く帰ってやんな」
「ありがとう、またね」
恵美が帰ったからも優子の男グセや職場の愚痴で盛り上がった。
「そろそろ帰るとするか、終電にも間に合いそうだ」
「そうだね、恵美もいないしね。お開きにしますか」
「わたしは二駅だから歩いて帰るね」と言って優子は歩き出した。
「気を付けて帰るんだぞ」
「分かった、じゃあまたね」
優子はほろ酔い気分で自宅へ向かった。
(もう1時ちかいのか、大通りを通って行くか、公園を通って近道を行くか、10分の差だな。お風呂も入りたいし、今日は近道で帰ろう)
優子は公園を歩き出した。
(なんか暗いなぁ、こんなに暗かったかなぁ、あそこの街灯が点いてないから暗いのか)
その時、後ろで人の気配を感じた。振り返っても、誰もいない。気のせいかと思い、また歩き出した。
前方にタチの悪そうなのが4〜5人たむろしているので、仕方なく迂回することにした。
すると、また後ろで人の気配がする。優子は足を速めた。気配はまだ消えない。振り返ると、人陰が見えた。
立ち止まると影も止まった。まずい、明らかに付けられている。
優子は恐怖を感じた。
(どうしよう、助けて華)優子は華にメールを送った。
〈今公園誰か付けられ助けて〉
これだけ打つのがやっとだった。
影は少しずつ優子との距離を狭めて来る。優子は振り返りもせず一目散に走った。
(誰か居ないの助けてお願い)
暗がりを走る中、何かに足を取られ転んでしまった。「痛い」どうやら足を挫いてしまったようだ。
(逃げなきゃ捕まる)優子は必死になって近くの茂みに隠れた。
(もうダメだ逃れられない)
影はすぐ近くまで近付いて来た。やはり優子を探しているようだ。
少しずつ少しずつ、しかし確実に近づいている。(華、早く)
影は優子のいる茂みで止まった。恐怖のあまり声も出ない。
影の伸ばした腕が優子の肩を捕まえた。
「そこまでだ、その手を離せ」
肩を掴んでいた手が離れた。
「わぁー!」ダダーン
華の一本背負いが決まり、男は地面で気を失った。
「優子、大丈夫か」
「華、怖かったよ。どうしてもっの早く来てくれないのよ」
「これでも、全速力で走って来たんだがな」
「うん、ありがとう」
「この男は知り合いか?」
「エッ、やだ、嘘、元彼」
「どうする、警察に突き出すか?」
「そこまでしなくても」
「分かった。おい、起きろ!」
華は男の顔をヒッパタイタ
「うぅー、誰だお前?」
「私は警察のものだ。貴方の行為はストーカーにあたる。近くの交番まで来てもらおうか」
「すいません、僕はただ優子さんと話しがしたかっただけなんです」
「なら、なぜ堂々と話しをしない」
「だって会ってくれないから」
「貴方とは別れたと聞いたが?」
「僕は別れたくないんだ」
「諦めろ、もう彼女に心はない。今度やったら逮捕するぞ」
「わかりました。もうしません」
男は肩を落としながら去って行った。
「家まで送ろう」
「ごめんね、もう終電行っちったよね」
「タクシーでも拾うさ」
「どうせなら、朝まで家で飲まない?」
「うん、そうさせてもらおうか」
「お詫びに、おつまみは私が買うね」
おわり
【また明日】
[5/14 失われた時間
[5/15 風に身をまかせ
[5/16 後悔
[5/18 真夜中
[5/22 透明 続編
登場人物
勇気
遥香
フーリン
ホムラ
アクア
ロック
敵のアジトに着いた。
勇気はフーリン、ホムラ、アクアに周辺の偵察をさせる事にした。
「フーリンたちが戻ってくるまで準備体操でもしておくか」
「ちょっと、あんなり目立つ事はしないでよね。敵に気付かれちゃうわよ」
しばらくしてフーリンたちが戻ってきた。
「どうだった?」
「周りには敵がいませんでした。どうやら、洞窟の中に集まっているようです」
「そうか、まず迅速なフーリンが先頭で...」
「きゃぁ!」
「どうした遥香、何ひとりで暴れてるんだ」
「助けて!」
「しまった、あの見えない敵の仕業だ」
「なんだって!遥香、今助けてやるからな」
「作戦は?」
「そんなもんいるか!みんな突っ込むぞ❗️」
勇気たちは遥香を追いかけた。
フーリンが何かに気づいた。
「ホムラ、周りを明るくしてくれ」
「いいのか、敵が寄って来るぞ」
「もうバレてるだろ」
「わかった」
ホムラは、火の玉を上空に投げた。すると、辺りは昼間のように明るくなった。
「見えた!遥香を捕まえたのは影だったんだ。周りが暗かったから気付かなかったんだ。姿さえ見えれば怖い事はない。この前の仕返しをしてやる」
すると、騒ぎに気付いたスケルトンたちが行く手を塞いだ。
「ザコは引っ込んでろ!」
フーリンの竜巻
ホムラの火炎
アクアの水鉄炮
勇気の雄叫び
スケルトンをあっという間に蹴散らした。
洞窟の中は真っ暗だったがホムラが至る所に火を灯し明るくした。
「居た、あそこだ」
「勇気早く助けてよ、私死んじゃうよー」
「分かったから、もう少し我慢しろ」
次はオークの出番だ。
「ボクは影を追う。オークは任せた」フーリンはそう言い残し飛んで行った。
オークは火炎や水鉄炮を、棍棒で弾き飛ばしてしまう。
「やはりオークには効かないようだな、ならばこれでどうだ」
ホムラは‘業火’と叫び大きな炎を投げ付けた。
アクアは‘激流’と叫び大量の水を一気にオークにぶつけた。
10体程いたオークが次々と倒れていった。
「よし、みんなよくやった。俺たちもフーリンを追うぞ」
その時、いきなりトロールが大きな棍棒を振り下ろしてきた。
「やばい避けられない」と思った時、地面がせり上がり目の前に壁が出来あがった。
「遅くなってすまぬ。拙者(せっしゃ)は岩山の里のロックと申す。勇者殿の助太刀に参った」
「あんたも、選ばれし者なのか」
「いかにも、トロールは拙者が食い止めるゆえ、先を急がれよ」
「かっ、かたじけない」
その頃フーリンは
「ボクが追い付けないなんて、なんで速さだ」
影は男の元に辿り着くと遥香を下ろし、男の影に戻った。
男は人の体をしているが、獣の頭と尻尾を持っている。
「お前がボスか?」
「そうだ」
「遥香と“時の女神”を返してもらおう」
「そうはいくか」
フーリンひとりでは敵わない。仲間が来るまで睨み合いが続いた。
「待たせたな、アイツがボスだな」
「ウッ、お前が勇者だったのか?」
「俺の事知ってるのか?」
「イヤ、知らない。人違いだ」マジか、という事はこのヒーラーの遥香って?...ゲッ!やばいヤバイやばい、まずいマズイまずい、どうしようドウシヨウどうしよう。
「何、動揺してるんだ。遥香と“時の女神”は返してもらうぞ」
「コイツは一筋縄ではいきそうにない、ホムラ、アクア、それに」
「拙者はロックと申す。以後お見知り置きを」
「わかった。ロックも奥義は使えるな」
「もちろんでござる」
すると4人の体が輝き出した。
それぞれの手元には風の渦、業火の玉、激流の渦、鋼鉄の玉を掲げている。
「いくぞ!四精奥義(しせいおうぎ)」
『『エレメンタルショット‼️』』
4人から放たれた必殺奥義はボスに大ダメージを与えたが、まだ倒れない。
「これでとどめだー」
勇気は高々とジャンプをしてボスに襲いかかった。
「必殺・改心の一撃‼️」
勇気のゲンコツがボスの脳天に炸裂した。
「ギェ〜!」断末魔の声を上げボスは倒れた。その時、頭の面が割れ人間の顔が現れた。
「コイツ後輩の榊原じゃないか」
「えっ?ウソ!」遥香は顔を覗き込んだ。
「本当だ。どうして一魔(かずま)が?」
「俺達と同じように夢の世界に入り込んで来たんだろうな」
「一魔、起きなさい」と言って遥香は往復ビンタをお見舞いした。
「せっ、先輩ごめんなさい、許して下さい」
「どうしてこんな事をしたの?」
「はい、2週間ほど前にこの世界に来るようになって、どうせ夢の世界だから魔王にでもなってやろうと思って村を襲ったりしてたんです。
子分も何人か出来ました。そのうちのひとりが“時の女神”の噂を聞いてきて、それを奪えば魔族の住みやすい闇の世界に出来ると思ったんです。すいません」
「全く男って奴は、どいつもコイツも脳みそレベルが低いんだから」
「はい、そして勇者が現れたと聞いて仲間を増やして待ち構えていたんです。すいません」
「分かったわ、ともかく、“時の女神”は返してもらうからね」
「はい、どうぞ、すいません」
こうして勇者一行は無事に“時の女神”を取り返す事に成功した」
「フーリン、ホムラ、アクアそしてロックみんなのおかげで無事に“時の女神”を取り戻せた」
「みんな、本当にありがとうね。私達が責任を持って、時里村の祠に納めて来るわ」
「みんなとも、これでお別れだ」
「お疲れ様でした」とホムラ。
「また、いつか」とアクア。
「拙者の里にも遊びに来て下され」とロック。
「お前たち、時里村までの道わかるのか?」とフーリン。
「そうだな、道案内が必要だな」
「じゃあ、道案内お願いね」
こうして、時里村の祠に時の女神を無事に納めることが出来た」
「とうとうフーリンとお別れね」
「いろいろ世話になったな」
「また会えるか」
「どうだろう、時の女神も戻ったし私達の役目は終わったから、もう来れないかもしれないわ」
「再び災いが起きたら来るんだな」
「約束は出来ないけど、その時は私達が来る事を強く念じてね」
「分かった」フーリンは名残り惜しそうに去って行った。
「やっと夜が明けてきたな。俺達も帰ろう」
「うん、じぁまた明日ね」
「おう!学校でな」
完
【透明】
[5/14 失われた時間
[5/15 風に身をまかせ
[5/16 後悔
[5/18 真夜中 続編
登場人物
勇気
遥香
フーリン
ホムラ
アクア
『君が勇者ですか』
「はい?」またかよ。
「そ、そうよ。この人が勇者です」
(勇気!もっと自覚しなさいよ)遥香は勇気にヒジテツをした。
「フーリン、この人は?」
「申し遅れました。私は、火炎の里のホムラといいます。ここで勇者をお待ちしてました」
「ホムラもボクと同じ‘選ばれし者’なんだ」
「という事は、火を操れるのか」
「はい、こんな感じです」
ホムラは指先に火を灯し前方へ突き出した。すると、指先から炎が火炎放射器のように噴き出した。
「おお、これは凄い」
「頼もしい仲間がまたひとり増えて心強いわ」
「勇者は、なぜ夜が明けないのかご存知ですか?」
勇気ではなく、ここはしっかり者の遥香が事の経緯を説明した。
「そうでしたか。という事は敵はオークにスケルトンとトロールですか」
「もうひとり居る」フーリンが話し出した。「ただ、気配は感じるのに姿が見えないんだ」
「フーリンはソイツにやられたのか?」
フーリンは無言で頷いて、ハッとした。「こっ、転んだのだ!」
「「まだ、言ってる」」
「トロールにやられたのかと思ってたわ」
「あんなトロイ奴にやられるもんか」
「見えないのは、厄介ですね」
「オバケなの、それとも透明人間かな?」
4人は少し休憩をしてから出発した。
「この前と道が違うな」
「フーリンどういう事?」
「この前は、こんな道は通らなかった」
「道、間違えたのか?」
「そんな筈はない。“風の鈴”は、行くべき場所に導いてくれる」
「大丈夫よ。他の仲間の所かも知れないわよ」
「あそこの泉に村が見えますね」
村の入り口に少女が立っていた。
「お待ちしていました。貴方が...」
「俺が、勇者だ!」勇気は聞かれる前に答えた。「自覚してるからな」
「あんたバカ?そう言う事じゃないのよ」
「ゴメンね。コイツが勇者で私が遥香。そして、フーリンとホムラよ」
「アタイは泉の里のアクア、水の戦士よ」
「凄い水だって、これで風・火・水が揃ったよ。それに、勇者とヒーラー。これだけいれば鬼に金棒でしょ」
「なんか、勝てる気がしてきた」
「急ぎましょう。敵のアジトはもうすぐです」
「よーし、夜明けを取り戻しに行くぞ!」
「「「「オー!」」」」
こうして勇者一行は敵のアジトに着いた。
つづく
【理想のあなた】
[5/6 君と出逢って
[5/9 一年後
[5/12 愛を叫ぶ 続編
登場人物
紬 剛志
優斗 雅
愛の告白から一週間後
「優斗さん、先週会った時、剛志と雅ちゃんが、近くで見ていたの知ってますか?」
「えっ、そうなんですか?」
「あの日、家に帰ったら剛志に〈良かったね〉って言われたんです。それで問い詰めたら白状しました。優斗さんは雅ちゃんに何か言われてませんでしたか?」
「女は、ちゃんと言葉にしてほしいのよ。とか、その気がないと思われちゃうわよって言われて気持ちを伝える決心が付いたんだ」
「私も、似たような事を剛志に言われたのよ」
「どうやら、ふたりがキューピットだったんだね」
「ちょっと癪に触るけどね」
今日も公園デート。デート?、デートだ。私達恋人だからデートなんだ。ワーなんか照れるなぁ。
「どうかしました。顔が赤いですよ」
「いえ、何でもありません」
ふたりはゆっくりと歩き出した。
どうしよう、‘手’握っちゃおうかな。無理むり無理!そんな事出来ない。
「本当に、大丈夫ですか?顔が真っ赤ですよ」
「ゴメンない。本当に大丈夫です」...大丈夫じゃないよ。心臓バクバクだよ。
「あそこのベンチで少し休みましょうか」
「は、はい」
困ったな。意識しちゃって何話したらいいか分かんないや。
「紬さん、今日はいい天気ですね」
「はい」紬さんか、‘つむぎ’って呼んでほしいな。恋人なんだから。よし、勇気を出して言ってみよう。
「あのー、出来たら‘つむぎ’って呼んでくれませんか?恋人なんだし」
「そうですね。ちょうと照れるけど、これからはそうします」
「つむぎ」
「はい」?なんか声が違う。振り返るとそこには剛志と雅ちゃんが仲良く手を繋いで立っていた。
「剛志また付けて来たの?」
「違うよ。ボク達もデートで、またまたここに来たんだ。喉が渇いたからジュースを飲もうと思ったんだけど、あそこのお店のジュースが美味しそうで。でもお店に小学生ふたりじゃ入れないし。そしたら、お姉ちゃんを見かけたんだよ」
「それじゃあ、僕達と一緒に入ろう。好きなものを頼んでいいよ」
私達は、4人で食事をしてお店を出た。
「お兄さん、お姉ちゃんの事をよろしくお願いします」
「もちろんだよ。剛志くんも雅の事よろしくね」
「雅ちゃんは、ボクが全力で守ります」
「カッコいい。やっぱり剛志くんはわたしの理想の人だわ」
「それじゃあボクたちはここで。お姉ちゃん遅くなるようだったら、帰って来なくてもいいからね」
「やかましい!剛志は早く帰って来なさいよ」
おわり