星乃 砂

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【透明】

 [5/14 失われた時間
[5/15 風に身をまかせ
[5/16 後悔
[5/18 真夜中   続編

登場人物
 勇気
 遥香
 フーリン
 ホムラ
 アクア

『君が勇者ですか』
「はい?」またかよ。
「そ、そうよ。この人が勇者です」
(勇気!もっと自覚しなさいよ)遥香は勇気にヒジテツをした。
「フーリン、この人は?」
「申し遅れました。私は、火炎の里のホムラといいます。ここで勇者をお待ちしてました」
「ホムラもボクと同じ‘選ばれし者’なんだ」
「という事は、火を操れるのか」
「はい、こんな感じです」
ホムラは指先に火を灯し前方へ突き出した。すると、指先から炎が火炎放射器のように噴き出した。
「おお、これは凄い」
「頼もしい仲間がまたひとり増えて心強いわ」
「勇者は、なぜ夜が明けないのかご存知ですか?」
勇気ではなく、ここはしっかり者の遥香が事の経緯を説明した。
「そうでしたか。という事は敵はオークにスケルトンとトロールですか」
「もうひとり居る」フーリンが話し出した。「ただ、気配は感じるのに姿が見えないんだ」
「フーリンはソイツにやられたのか?」
フーリンは無言で頷いて、ハッとした。「こっ、転んだのだ!」
「「まだ、言ってる」」
「トロールにやられたのかと思ってたわ」
「あんなトロイ奴にやられるもんか」
「見えないのは、厄介ですね」
「オバケなの、それとも透明人間かな?」
4人は少し休憩をしてから出発した。
「この前と道が違うな」
「フーリンどういう事?」
「この前は、こんな道は通らなかった」
「道、間違えたのか?」
「そんな筈はない。“風の鈴”は、行くべき場所に導いてくれる」
「大丈夫よ。他の仲間の所かも知れないわよ」
「あそこの泉に村が見えますね」
村の入り口に少女が立っていた。
「お待ちしていました。貴方が...」
「俺が、勇者だ!」勇気は聞かれる前に答えた。「自覚してるからな」
「あんたバカ?そう言う事じゃないのよ」
「ゴメンね。コイツが勇者で私が遥香。そして、フーリンとホムラよ」
「アタイは泉の里のアクア、水の戦士よ」
「凄い水だって、これで風・火・水が揃ったよ。それに、勇者とヒーラー。これだけいれば鬼に金棒でしょ」
「なんか、勝てる気がしてきた」
「急ぎましょう。敵のアジトはもうすぐです」
「よーし、夜明けを取り戻しに行くぞ!」
「「「「オー!」」」」

こうして勇者一行は敵のアジトに着いた。

           つづく

5/22/2024, 9:46:33 AM