【また明日】
[5/14 失われた時間
[5/15 風に身をまかせ
[5/16 後悔
[5/18 真夜中
[5/22 透明 続編
登場人物
勇気
遥香
フーリン
ホムラ
アクア
ロック
敵のアジトに着いた。
勇気はフーリン、ホムラ、アクアに周辺の偵察をさせる事にした。
「フーリンたちが戻ってくるまで準備体操でもしておくか」
「ちょっと、あんなり目立つ事はしないでよね。敵に気付かれちゃうわよ」
しばらくしてフーリンたちが戻ってきた。
「どうだった?」
「周りには敵がいませんでした。どうやら、洞窟の中に集まっているようです」
「そうか、まず迅速なフーリンが先頭で...」
「きゃぁ!」
「どうした遥香、何ひとりで暴れてるんだ」
「助けて!」
「しまった、あの見えない敵の仕業だ」
「なんだって!遥香、今助けてやるからな」
「作戦は?」
「そんなもんいるか!みんな突っ込むぞ❗️」
勇気たちは遥香を追いかけた。
フーリンが何かに気づいた。
「ホムラ、周りを明るくしてくれ」
「いいのか、敵が寄って来るぞ」
「もうバレてるだろ」
「わかった」
ホムラは、火の玉を上空に投げた。すると、辺りは昼間のように明るくなった。
「見えた!遥香を捕まえたのは影だったんだ。周りが暗かったから気付かなかったんだ。姿さえ見えれば怖い事はない。この前の仕返しをしてやる」
すると、騒ぎに気付いたスケルトンたちが行く手を塞いだ。
「ザコは引っ込んでろ!」
フーリンの竜巻
ホムラの火炎
アクアの水鉄炮
勇気の雄叫び
スケルトンをあっという間に蹴散らした。
洞窟の中は真っ暗だったがホムラが至る所に火を灯し明るくした。
「居た、あそこだ」
「勇気早く助けてよ、私死んじゃうよー」
「分かったから、もう少し我慢しろ」
次はオークの出番だ。
「ボクは影を追う。オークは任せた」フーリンはそう言い残し飛んで行った。
オークは火炎や水鉄炮を、棍棒で弾き飛ばしてしまう。
「やはりオークには効かないようだな、ならばこれでどうだ」
ホムラは‘業火’と叫び大きな炎を投げ付けた。
アクアは‘激流’と叫び大量の水を一気にオークにぶつけた。
10体程いたオークが次々と倒れていった。
「よし、みんなよくやった。俺たちもフーリンを追うぞ」
その時、いきなりトロールが大きな棍棒を振り下ろしてきた。
「やばい避けられない」と思った時、地面がせり上がり目の前に壁が出来あがった。
「遅くなってすまぬ。拙者(せっしゃ)は岩山の里のロックと申す。勇者殿の助太刀に参った」
「あんたも、選ばれし者なのか」
「いかにも、トロールは拙者が食い止めるゆえ、先を急がれよ」
「かっ、かたじけない」
その頃フーリンは
「ボクが追い付けないなんて、なんで速さだ」
影は男の元に辿り着くと遥香を下ろし、男の影に戻った。
男は人の体をしているが、獣の頭と尻尾を持っている。
「お前がボスか?」
「そうだ」
「遥香と“時の女神”を返してもらおう」
「そうはいくか」
フーリンひとりでは敵わない。仲間が来るまで睨み合いが続いた。
「待たせたな、アイツがボスだな」
「ウッ、お前が勇者だったのか?」
「俺の事知ってるのか?」
「イヤ、知らない。人違いだ」マジか、という事はこのヒーラーの遥香って?...ゲッ!やばいヤバイやばい、まずいマズイまずい、どうしようドウシヨウどうしよう。
「何、動揺してるんだ。遥香と“時の女神”は返してもらうぞ」
「コイツは一筋縄ではいきそうにない、ホムラ、アクア、それに」
「拙者はロックと申す。以後お見知り置きを」
「わかった。ロックも奥義は使えるな」
「もちろんでござる」
すると4人の体が輝き出した。
それぞれの手元には風の渦、業火の玉、激流の渦、鋼鉄の玉を掲げている。
「いくぞ!四精奥義(しせいおうぎ)」
『『エレメンタルショット‼️』』
4人から放たれた必殺奥義はボスに大ダメージを与えたが、まだ倒れない。
「これでとどめだー」
勇気は高々とジャンプをしてボスに襲いかかった。
「必殺・改心の一撃‼️」
勇気のゲンコツがボスの脳天に炸裂した。
「ギェ〜!」断末魔の声を上げボスは倒れた。その時、頭の面が割れ人間の顔が現れた。
「コイツ後輩の榊原じゃないか」
「えっ?ウソ!」遥香は顔を覗き込んだ。
「本当だ。どうして一魔(かずま)が?」
「俺達と同じように夢の世界に入り込んで来たんだろうな」
「一魔、起きなさい」と言って遥香は往復ビンタをお見舞いした。
「せっ、先輩ごめんなさい、許して下さい」
「どうしてこんな事をしたの?」
「はい、2週間ほど前にこの世界に来るようになって、どうせ夢の世界だから魔王にでもなってやろうと思って村を襲ったりしてたんです。
子分も何人か出来ました。そのうちのひとりが“時の女神”の噂を聞いてきて、それを奪えば魔族の住みやすい闇の世界に出来ると思ったんです。すいません」
「全く男って奴は、どいつもコイツも脳みそレベルが低いんだから」
「はい、そして勇者が現れたと聞いて仲間を増やして待ち構えていたんです。すいません」
「分かったわ、ともかく、“時の女神”は返してもらうからね」
「はい、どうぞ、すいません」
こうして勇者一行は無事に“時の女神”を取り返す事に成功した」
「フーリン、ホムラ、アクアそしてロックみんなのおかげで無事に“時の女神”を取り戻せた」
「みんな、本当にありがとうね。私達が責任を持って、時里村の祠に納めて来るわ」
「みんなとも、これでお別れだ」
「お疲れ様でした」とホムラ。
「また、いつか」とアクア。
「拙者の里にも遊びに来て下され」とロック。
「お前たち、時里村までの道わかるのか?」とフーリン。
「そうだな、道案内が必要だな」
「じゃあ、道案内お願いね」
こうして、時里村の祠に時の女神を無事に納めることが出来た」
「とうとうフーリンとお別れね」
「いろいろ世話になったな」
「また会えるか」
「どうだろう、時の女神も戻ったし私達の役目は終わったから、もう来れないかもしれないわ」
「再び災いが起きたら来るんだな」
「約束は出来ないけど、その時は私達が来る事を強く念じてね」
「分かった」フーリンは名残り惜しそうに去って行った。
「やっと夜が明けてきたな。俺達も帰ろう」
「うん、じぁまた明日ね」
「おう!学校でな」
完
5/23/2024, 11:40:51 AM