星乃 砂

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5/7/2024, 9:50:23 AM

明日世界が終わるなら

登場人物
 綾乃(あやの)紀信(きしん) 
  咲(さき)
 翔(しょう)メイ

「お姉ちゃん、ただいまー」紀信が友達の翔を連れて帰って来た。
「おかえり。いらっしゃい翔君、オヤツ置いてあるから咲たちと一緒に食べてね」
「はーい」「いただきます」
「お姉ちゃん、何か考え事してるの?」綾乃が眉間にシワを寄せているので心配になり聞いてみた。
「来週に行くセミナーの、テーマについて考えてるのよ」
「どんなテーマなの?」
「『明日世界が終わるなら』って言うテーマなのよ。単にやりたい事をするとかじゃありきたりだし、世界が終わるって言う事は自分の人生が終わるって言う事と同意でしょ。貴方は明日死にますよって言われたら?私だったら何も出来無くなると思うのよね。」
「お姉ちゃん、そんな難しいこと言われてもボクたちには分からないよ」
「そうよね、ごめんなさい。つい夢中になっちゃって」
「メイちゃんどうしたの?」咲は真剣な顔をしているメイに聞いてみた。

【明日世界が終われば明後日からはアタシの時代が始まるわ!】

           おわり

5/6/2024, 6:42:25 AM

君と出逢って

登場人物
 紬(つむぎ18) 蓮(れん10)
 剛志(たかし5)
 優斗(ゆうと19) 雅(みやび5)

子供の日の今日、紬は弟の蓮と剛志を連れて遊園地に出かける事になった。「蓮、剛志、支度はできたの?早くしないと置いてっちゃうわよ」
「お姉ちゃん、お兄ちゃんが顔を真っ赤にしてるよ」蓮は這う様にして2階から降りて来た。
「どうしたの蓮、熱があるんじやないの?」
「どれどれ」母さんが熱を測ったら38℃もあった。「こりゃダメだね。残念だけど蓮
はお留守番だね」
「やだやだー。ボクも行くよー」
「行ける訳ないでしょ」蓮は母さんに引きずられて部屋へ戻っていった。
「蓮、お土産買って来るからねー」紬は剛志を連れて遊園地へ出かけていった。

開園15分前に着いたので、入り口に並んで待つことになった。後ろには、わたしと同じくらいの男の人が剛志と同じくらいの女の子を連れていた。
「なんて、カワイイんだ」
「カッコいいー」

入り口が開きやっと中に入れた。
紬  「剛志」
優斗 「雅」
紬・優斗 「「なにから乗ろうか?」」
剛志・雅 「「メリーゴーランド」」
声が揃った。振り返って見るとさっきの男の人だった。
優斗 「よかってら、一緒に周りませんか?」
紬 「そうですね、弟たちも同じくらいの年だし、ひとりで乗り物に乗せるよりは一緒に乗ってくれる子がいたら安心ですしね」
弟たちもすぐに仲良くなり、大喜びだ。
雅 「お兄ちゃんもお姉ちゃんと、なんか乗ってきたら」
剛志 「そうだよ、お姉ちゃんジェットコースター大好きだよね」弟たちに促されジェットコースターに乗ることになった。
紬 「お姉ちゃんが戻ってくるまで、雅ちゃんとここにいてね」
剛志 「大丈夫だよ、雅ちゃんはボクが守る」
優斗 「剛志くんは頼もしいね、雅も剛志くんと一緒にいてね」
雅 「大丈夫よ、アタシは強い男に付いて行くタイプだから」
紬 「まぁ!」

わたしたちは一緒に食事をし、いっぱい乗り物に乗り充実した日を過ごすことが出来た。

優斗 「今日は付き合ってくれてありがとう」
紬 「とっても楽しかったわ。」
優斗 「よかったら連絡先を交換しませんか」
紬 「はい、喜んで」
わたしたちは、また会う約束をした。
剛志 「ボクは、君と出逢えて本当によかった」
雅 「アタシもです」

           

紬 「あっ!蓮のお土産忘れた」
 
            おわり

5/5/2024, 4:10:18 AM

耳を澄ますと

「琴美、3時迄には帰ってくるのよ。」

アタシたちは近くのクズ鉄山(スクラップ置き場)で隠れん坊をすることになった。

「もーいいかい。」
「「まーだだよ。」」

鬼は葵である。

「もーいいかい。」

何たってスクラップ置き場である。かくれる所はいくらでもある。

「「もーいいよ。」」

タイヤ山脈で、みっちゃんが見つかった。悪臭谷で昴を見つけた。
「臭いからこんな所に隠れてないでよ。」葵が昴に文句を言うと、「こんな所だから見つからないと思ったんだけどな。」昴は悔しがっていた。
「あとは、心くんと琴美ちゃんだ。」葵は一生懸命探したがふたりは見つからない。
昴とみっちゃんも一緒に探すことになった。

「「「心くーん、琴美ちゃーん。」」」

「どっかでケガでもしてるのかな?」「どっかに閉じ込められているかもしれない。」3人は必死になってふたりを探した。
「静かに!」昴が叫んだ。「何か聞こえないか?」3人が耳を澄ますと、

“ドンドンドン、ドンドンドン”

と微かに聞こえる。
「あっちだ!」昴が走り出した。そこには冷蔵庫があった。急いでドアを開けると中には大泣きしている心がいた。
「怖かったよー。中からはドアが開かないんだもん。もう死ぬかと思ったよー。」ともかく無事でよかった。
「あとは琴美だけか。」もう3時を過ぎている。みんなは不安になってきた。琴美のお母さんに知らせるために、琴美の家へ急いだ。
「あら、みんな遅かったわね、オヤツ用意してあるから早く上がりなさい。」ぼくたちは訳もわからず部屋へ入っていくと、琴美は大口を開けてケーキを食べていた。
「琴美ちゃん、みーつけた。」

           おわり


5/4/2024, 11:18:41 AM

 『二人だけの秘密』

ぼくは深海梶小学3年生、弟の海里は5才の幼稚園児でお父さんの転勤で海辺の街へ越してきた。

父 「ようし、着いたぞ。」
母 「あなた、ここに住むの?栄転で戸建てだって言うから期待してたのに。」
梶 「なんかトトロが居そうな家だな。」
海里 「トトロ〜❣️わーい、マックロクロスケ出ておいでー!」
父 「走り回るな!お前たちは邪魔だから遊びに行ってこい。」
母 「あんまり遠くに行かないでね。」
父 「海には入るなよ!」
梶・海里 「「はーい」」

海里 「お兄ちゃんどこ行くの?」
梶 「海。」
海里 「えー、お父さんが行くなって言ってたよ。」
梶 「お父さんは海に入るなって言ったんだよ。」
海里 「あっ、そうかー。わーい海だー。」
梶 「よーし海里あそこの岩場まで競争だー。」
海里 「待ってよーお兄ちゃん。」

梶 「あっカニがいた。」
海里 「カワイイー。ボクも見つけるー。」
梶 「いっぱい捕まえようぜ。」
海里 「うん。あっ痛い!カニに挟まれた!」
梶 「大丈夫だ、兄ちゃんが取ってやる。」

海里 「お兄ちゃんあっちに洞窟があるよ。」
梶 「よし、入ってみよう。」
海里 「お父さんに怒られてちゃうよー。」
梶 「大丈夫だよ。海に入るなって言ったんだから洞窟は大丈夫。」

海里 「お兄ちゃん怖く無い?」
梶 「天井に穴が空いてて日差しも入ってくるし平気だから海里も入っておいで。」
海里 「うん、わかった。」
梶 「なんかカッコいいな。」
海里 「秘密基地みたいだね。」
梶 「ようし、ここは俺たちだけの秘密基地にしよう。」
海里 「やったー、わーいわーい。」
梶 「今度は、お菓子持ってこような。」

  ーーしばらくしてーー

海里 「お兄ちゃん、お水が入ってきた。」
梶 「大変だ満ち潮で入り口が塞がって出られなくなってしまった。」
海里 「お兄ちゃん、どうしよう?」
梶 「天井の穴に向かってお父さんを呼ぼう。」
海里 「お父さーん、助けてー、お父さーん。」

  ーー その頃 ーー

父 「疲れたなー、だいぶ片付いたかな。」
母 「お父さん、梶たちがまだ帰ってないのよ。」
父 「ちょっとその辺探しに行ってくる。」

  ーーしばらくしてーー

父 「どこにも見当たらない。近所の人に話したら、一緒に探してくれるそうだ。」
母 「すいません、よろしくお願いします。」
村人A 「困った時はお互い様だ。コイツは息子の源太です。源太、都会の子供が行きそうな所に心当たりはないか?」
源太 「あるよ、引き潮の洞窟だよ。」
父 「じゃあすぐそこへ行ってみよう。」
村人A 「今は満ち潮だから入り口は塞がっている。」
母 「そ、そんなぁ。」
源太 「天井に穴が空いている。」
村人A 「そうか、そこからロープで引っ張り上げられる。」
父 「よろしくお願いします。」

ーー引き潮の洞窟へ向かうーー

母 「梶と海里の声が聞こえる。」
父 「梶、海里そこに居るのか。」
梶 「父さんだ。」
海里 「お父さん早く助けてよー。」
母 「ケガはないの?」
梶 「大丈夫ケガはないよ。」
村人A 「今ロープを下ろすから体に縛って、上から引っ張り上げるからね。」

ーようやく二人は救出されたー

源太 「お前たち、引き潮の洞窟から入ったんだな。」
父 「海に行ってはダメだって言っただろう。」
梶 「違うよ、あの穴から落ちたんだよ。」
海里 「お兄ちゃん?」
梶 「海里、二人だけの秘密な。」

5/3/2024, 12:47:38 PM

『優しくしないで』


 わたしと葵は同じ病院で3日違いで生まれた。ちなみにわたしがお姉さんである。母親同士が友達だったので双子の様にして育った。幼稚園に入ってからは昴とも仲良くなった。家も近かったので3人はいつも一緒にいた。
 葵はおとなしい性格で後から付いてくるタイプだ。
 昴は活発でスポーツ万能タイプである。
 わたし[琴美]はお姉さんタイプで何かを決めるのはいつもわたしだ。
 昴は他の男の子と遊んでいても、声を掛ければすぐに飛んでくる。オママゴトもイヤイヤながら(半強制的ではあるが)付き合ってくれる。
 夏休みには、親同士が話し合い2日交代でわたしたち3人の面倒をみることになった。2日間は嵐のようだが4日間は夫婦水入らずで落ち着けたのだろう。特に葵の親は出来ちゃった婚だったので新婚生活を味わっているようだった。
 当然いろいろなエピソード(
事件・事故?)が勃発したが、それはまたの機会に...。
 小学校3年生の時に響が転校してきた。席が隣り同士になったわたしたちはすぐに仲良くなった。
歓迎会(単なる3時のオヤツ)を開きクラスが違う葵と昴にも紹介した。昴は男友達が加わったので大いに喜んでいた。響はどちらかと言うと内向的な性格で自分から意見を言いタイプでは無いが4人の中では1番頭が良かった。
 響は、誰にでも優しく、そして何かと暴走しがちなわたしを抑えてくれるのも響であった。
中学生になると、昴はバスケットボール部、響は吹奏楽部、葵は美術部、わたしはテニス部に入り4人ではなかなか会えなくなっていた。
 中3の3学期それぞれの進路が決まった後、葵と響が一緒にいるのをよく見かけるようになった。もしかしてふたりは付き合っているのかな?と思った瞬間何かが弾けた!。葵は姉妹同然だ。葵に彼氏ができるのはとっても嬉しい、でもどうして響なの?響は...響はわたしにとって...その時やっと気がついた。いつもそばにいた響が、いつも優しかった響がわたしは好きだったんだ。
 卒業間近にテニス部伝統の卒業生vs在校生の試合が行われた。
琴美は試合に集中出来なかった。響の事が頭から離れないのだ。
 ガキ大将とケンカになった時、助けようとして、代わりに殴られて鼻血を出した響。
 高い場所ではしゃいでいて脚を滑らせて落ちた時、助けようと下敷きなった響。
 テストで0点を取った時、一緒に怒られてくれた響。
 お母さんの化粧品をかってに...
「危ない先輩!」
あっ!っと思ったときにはもうおそかった。後輩のサーブが顔を直撃してわたしの意識は飛んだ。
 
 わたしは、保健室で目を覚ました。周りには葵、昴そして響がいた。
響  「琴美ちゃん大丈夫?痛く無い?。」
琴美 「痛いに決まってるでし
ょ。」
響  「代わってあげられなくてごめんね。」
琴美 「何言ってんのよ。そんなことできる訳ないでしょ。」
響  「分かってるけど、でも、でも、ごめんね。」
琴美 「わたしの事なんてほっといてよ!優しくなんかしないでよ!あんたは葵の事が好きなんでしょ!。」
葵  「えっ、コトちゃん何いってるの?」
琴美 「だって、最近はいつも一緒にいるじゃない。」
葵  「コトちゃん勘違いしてるよ。わたしは響の相談にのってただけだよ。」
琴美 「相談ってなんのよ?」
葵  「それはちょっとわたしの口からは...。」
響  「だって、だって、高校生になったらみんなバラバラになっちゃうんだよ。琴美ちゃんに2度と会えなくなるなんて、ぼく、ぼく、死んじゃうよ〜!」
葵  「ね、わかったでしょ。響が好きなのはコトちゃんなんだよ。そうだよね響?」
響  「うん。」
昴  「お前は、相変わらず人騒がせなやつだな。」
琴美 「てへっ。」

           おわり

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